第52話 セリーヌの里帰り−4
運転をアレンに任せて、後ろのデスクでセリーヌと遅めの昼食をとる。
ドリスが【次元収納ボックス】のマナバイソンステーキと野菜サラダ、コンソメスープを出してくれて昼食の準備をしてくれた。
未だ、王都に行く時に準備したステーキが残っているがハヤトはステーキが好きなので飽きることは無いようだ。
アレンは調整するようにゆっくり車を走らせて午後4時ごろトロルの街の冒険者ギルドの横に車をつける。
ハヤトが受付嬢のところに向かい、カードを提示して、お勧めの宿を聞いて来る。
「ギルドから100メートル行った右側に”トロルの広場”という宿がお勧めだそうだよ』とアレンに言って車を移動させる。
例のごとく、宿の裏庭に車を止めて【結界】を掛けて、ハヤトとセリーヌが宿の入る。
「いらっしゃいませ!お泊まりですか?」と中年のオバさんが出て聞いて来る。
「はい、1泊ダブルの部屋をお願いできますか?」
「大丈夫ですよ、1泊でしたら銀貨1枚です。210号室で2階の突き当りの部屋でお風呂とトイレが付いてます」
「夕食は5時から10時まででラストオーダーは9時半です。朝食も同じで5時から10時です。はいこれが210号室の鍵です」
「おかみさん、後ろの空き地に魔動車を止めたけど良いよね?」
「ああ、構いませんよ、盗難等は個人責任でね!」
「はい、わかりました」
ハヤトとセリーヌはゆっくり久しぶりにお風呂に浸かって体を温め疲れを癒した。
もっとも二人とも【回復魔法】を使えるので疲労は残らないがお風呂に入る気持ちよさは魔法では味合えない。
二人で背中を流しあって、風呂から上がりコーヒーとケーキを食べる。
夕食まで間が有るのでトロルの街を歩きながらセルーヌの家へのお土産を探す事にする。
エルフのことはハヤトは良くわからないのでセリーヌにお土産は任せた。
オババ様には何やらお菓子が良いそうで、小さなお菓子屋に入って色々買っている。
セリーヌは装飾品屋に入り、母さま宛に綺麗なネックレスを購入し、父には腕輪に魔石をちりばめて健康を維持する魔法が付与しているマジックアイテムの腕輪を父にプレゼントのため購入する。
弟にはダンジョンで手に入れたミスリル製の剣を上げればとハヤトが言ってくれたのでそれに決めて、お土産は一応買い揃えた。
そろそろ夕食近くになったので宿に戻り1階の食堂で夕定食を食べて二人はおとなしく2階の210号室に戻ってお茶を飲みながら明日にはセリーヌの生まれ故郷に入る事にしている。
翌朝朝練を終えて宿で朝食を済ませた二人は、裏庭に行き『万能乗用車』に乗り込み国境に向かって車を進めて行く。
途中国境近くの山あいで10人程の強盗の連中が襲って来るが、ガードマンが全て剣で意識を奪い、全員を衣服をはいで木に縛り付けて殺さず魔物の餌になるか兵士に捕まって打ち首になるかの選択を彼らの運に任せた。
一応出入国のヘルカ王国の兵士にはすぐ近くの森で強盗10人に襲われ返り討ちにして木に縛り付けて有ると伝えてエルフの国に無事入国を済ませた。
暫く車を走らせると間もなく森に景色が変わる辺りで車から降りて皆で歩き始める。
こ1地時間歩くと以前来た結界解除の木の幹に着く。
セリーヌが手を添えて結界を解きエルフの里の中に皆で入って行く。
以前は弓で狙われたが、今回は兵士が並んで膝を折り王女さまを迎えている。
前方から母さまが掛けて来るのが見える。
セリーヌに抱きついて来る母さま、その後ろに国王様が穏やかな笑顔でハヤトに握手を求めて来た。
「王様ご無沙汰しておりました。一段落したので少し長めの里帰りに参りました」
「ハヤト殿久しいのう!ゆっくり他国の状況なり聞かせてくれ。取り敢えず宮殿に参ろう」
そう王様が言って、セリーヌと女王様それとハヤト以下3人とキラービー3匹に銀龍がエルフの王宮に向かう。
王宮の入り口でばば様がニコニコして出迎えてくれていた。
「ハヤト殿はさらに成長して人ではなくなってしまったのう・・・」
と眩しそうにハヤトの顔を見てニコニコしている。
「ばば様分かります?旦那様は既に神の領域に到達して私には冷たいのです」
とセリーヌが冗談を言うと、
「セリーヌ、お主がハヤト殿からいかに大事にされているかはお前の顔が如実に表しているわい」
「あれっ、ばれちゃいました?ばば様には嘘はつけないわ!」
「ささ、先ずは疲れを癒して部屋でお茶など飲んでから色々話を聞かせておくれ」
とばば様が先導して、部屋に案内してくれる。
セリーヌとハヤトの部屋はかなり広く厚手のカーテンでドリス達が控えている部屋と繋がっている。
セリーヌはオババ様にはばば様が好物の甘いお菓子の袋を幾つも渡し、王様にはいつも健康が保てる魔法を付与したマジックアイテム腕輪、母様には肩こりが軽減される魔法が付与したネックレス、弟にはミスリル製の剣を渡した。
ひとしきり話して、お昼の準備ができたと侍女が言いに来て、皆で王様専用の食堂に行く。
お昼からものすごく豪勢な野菜料理がふんだんに出セリーヌは喜んでいる。
俺は、肉食なので少々物足りないのだが・・・。
食後にセリーヌとオババ様の部屋に呼ばれて二人で向かった。
「ハヤト様、だいぶ成長されて魔法もスキルも完全に自分のものに出来るまで成長してくださった!ババは嬉しいですぞ」
「成長しているかは実感としてないのですが、ダンジョンの宝箱から色々マジックアイテムを貰えてそれで私とセリーヌにとってはかなり強力な援護になると思います」
「一緒に来た人型アンドロイド達ですかな?」
「はい、古代人の人から受け継いだ知識と彼らは対魔界龍対策のためのアイテムなんです」
「遠くない未来に魔王と魔界龍は間違いなく出現します。その時ハヤト殿とセリーヌそして従魔の仲間達がこの世界の唯一の砦ですじゃ!頼みますよ」
「おババ様、おババ様は未来を見る力があるのでしょうか?私たちに勝算はあるのですか?」とセリーヌがおババ様に問う。
「セリーヌ、儂はハヤト殿が神の使徒として我が孫と共に悪と戦う事しか見えん。その後の結果は見ようとしてもどうしても見えんのじゃ!」
「それって、私たちが敗北するって事じゃないの?」
「いや、神様は儂にハヤト様に任せれば必ず良い結果が付いてくるとだけは言ってくれた。だからそれを信じておる」
「ババ様、私はそれを聞いて勇気100倍!セリーヌと3人のアンドロイドそれと銀龍、キラービーの3匹の仲間と共に必ずやこの世界を守ってみせます」
「おお、それを聞いてオババも安心じゃ、頼んだよハヤト殿」
「はい、任せてください!」
ハヤト達はそう言って、おババ様の部屋から二人の部屋に戻って行った。
「セリーヌ、僕らの役割は大変だけど頑張ろうね」
「はい、旦那様。スキルも魔力も旦那様のお陰で増えましたし、ドリス、アレン、ガードマンに銀龍達がいてくれるのですもの、魔王や魔界龍なんかに負けられませんわ!」
部屋に戻ってドリス、アレン、ガードマンと銀龍におババ様との話をして、魔王、魔界龍の復活がそう遠くない未来に来ることを伝え、今後は一人ずつの力を高めるだけでなく、3人でのコンビネーション、あるいは5人でのコンビネーションを高めて行くよと伝えた。
エルフの里でのんびりしながらも王宮の訓練所を借りてハヤト対3人のアンドロイド、銀龍対5人の模擬戦等をこなし1ヶ月近くが過ぎ、そろそろハヤト達はケープの街に戻る準備をするのだった。
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