第48話 交通網の整備

ケインズの製塩工場も順調に稼働し、今や毎日1トンの塩がケープそしてグランデから王都ジュネべ迄『快速魔動鉄道車』が毎日往復しているが、王様と宰相からブルネリア王国の各都市を主要駅として、ケープ、グランデ、ジュネべと結んで国の活性化と発展をさせるべく鉄道網を施設したいとハヤトに連絡が入った。


宰相ブレンディーから「明日午前中10時までに王宮に来て王様に謁見する様に」との『遠距離通話』を受け取り、カツヤ家五人とキラービーと銀龍は『万能乗用車』に乗って翌日10時少し前に王宮の入り口に来ていた。


衛兵に宰相殿と王様に呼ばれた旨、伝えると執事が来て王様達がいる部屋に案内される。


「おお、ハヤト君忙しいところ済まんじゃった!実はブレンディーと話をしていて

我が国の主要都市に『快速魔動鉄道車』を通して、更に街を発展させようと思い立ちその方に其の敷設をたのみたい。受けてもらえぬか?」と王様から頼まれる。


「かしこまりました。ジュネべからルーベン、ギンバリー迄とジュネべからデルミロ経由フェルトンに行く路線、ケープからハース、マール経由でハーセル迄の3路線を早急に準備して敷設いたします」


「すまんのう!車両はそれぞれ2両編成で6両作成してもらい、鉄道代金と敷設代金全て込みで白金300枚でお願いしたい」とブレンディー宰相から発言があった。


「そこでじゃが、未だに隣国のオルバル帝国では『空飛ぶ船』や『快速魔動鉄道車』を自国で作り武器に転用したいとの夢を捨てきれていない様で、今回の工事に伴い帝国から色々スパイが入ってくる事が考えられる。それで、この仕事に関してはハヤト家のみで他の人間を雇わずに頼みたいのだが大丈夫であろうか?」

と王様が聞いてくる。


ハヤトは最初からそのつもりでいるので「全く問題ありません」と答え明日からジュネべとギンバリー間の敷設、次にジュネべからフェルトンまでをやる旨伝えて

自宅に戻って来た。


ハヤトは最初に『マジックアイテム創造ボール』の生活のボタンを押しながら魔力を流し込んで『魔動鉄道車』6両を庭に1台ずつ出しては【次元収納ボック】に入れて行く。


更にレールを1000本を作り出して同じく収納して、五人で王都の鉄道駅舎からルーベンまでの鉄道敷設をドリス、アレンに頼み午後4時ごろまでに先ず初日の作業を終える。


駅舎を設営するわけではないのでレールにだけ一応【結界】をかけてルーベン側の

鉄道をしいた近くのに『万能乗用車』を止めて五人でそこに1泊するつもりで駐車してセリーヌとハヤトは夕食をドリスが用意したマナバイソンのステーキを食べて

夜を過ごす。


翌朝、五人で朝練をしてセリーヌとハヤトはシャワーを浴びて着替えて、ドリスの作る朝食を食べたら、ルーベンからギンバリー迄の線路の敷設を終える。


ちょうど昼前でキンバリーの街中の空き地に『万能乗用車』を止めて、昼食を食べてお茶を飲んでから再びドリスとアレンがレールを敷設し、ガードマンが二人の作業を見ながら警護してルーベンからギンバリー迄のレール敷設を4時ごろ迄に全て

完了した。


セリーヌ達は再び王都ジュネべに戻り”寛ぎの広場”に行ってダブルの一部屋を2泊予約した。


カードから銀貨2枚を支払い、205号室にセリーヌとハヤトが入る。


残りのドリスら三人はキラービーと銀龍を連れ『万能乗用車』で宿の裏庭の空き地に駐車させて【バリア】をかけ一夜を過ごす。


宿の朝食をてべ終えて直ぐにジュネべからデルミロそしてそこから更にフェルトン迄の鉄道線路敷設を終えてジュネべに戻って来た。


ジュネべで帝国の間者らしい人間が近づいて来てハヤト達にではなく線路を設置していたドリスとアレンに近づいて来た。


「ちょっと済まんがジュネべからルーベンまでレールの敷設をしている作業を見て聞くのだけど、このレールはどこでつくっているのだ?」とアレンに聞いてくる。


「いや〜!我々も敷設の依頼を受けているだけで何処で作っているのか全く知らないのだ」ととぼけて答えるアレン。


「それじゃ、走る魔動車は何処で作るのかも知らないな?」と帝国の間者らしき男が『魔動鉄道車』のことも聞いて来た。


「何でも王宮の優秀な魔法師が何処かで作っていると小耳に挟んだわ」とドリスが

適当なことを言ってごまかした。


ハヤトとセリーヌは車の中にいて、聞いて来た男には会わずにアレン達に任せて、彼が二人から去ってから車を”寛ぎの里”の裏庭に駐車させてハヤトとセリーヌは2階205号室にいく。


「セリーヌ、明日はフェルトンからグランデ迄設置したらケープの街に戻りケープからハース、ハースからマールそしてハーセル迄敷設し終えたら完了だからね」


「明日からは自宅ですね?」とセリーヌが喜んで聞いてくる。


「作業はドリスとアレンに任せるので僕らはあまり顔を出さず自宅でキラービーの映像を見て様子を確認しよう」とセリーヌにハヤトは言う。


二人はシャワーを浴びて、夕食を食べに階下に降りて行く。


食堂には冒険者風の男女や一人冒険者たちが3、4人お酒を飲みながら食事をして

ハヤト達には目もくれず談笑していた。


ハヤトとセリーヌは【認識阻害】の魔法をかけているので目立たないので二人の世界に浸りながらゆっくり夕食を殿しむ事ができた。


ドリス達に話しかけて来た帝国の間諜も食堂に入って来て一通り冒険者達を値踏みするように眺めていたが、ハヤト達の席は目線が止まることもなく通過して舌打ちをして出て行ってしまった。


「旦那様、私たちには目もくれず出て行きましたね!」


「そうだね、【認識阻害】の効果で全く気にしていなかったね」


二人はのんびり食事を終えて二階の205号室に戻って行った。


”ご主人様、我々に話しかけて来た男が車に近づいて来ましたが50センチ以上近づけず結局何処かへ消えて行きました”とドリスから念話が送られて来た。


【結界】を一瞬だけ解いてキラービーが彼を追いかけて皆に映像を送って来るが他に仲間がいる様子は見られない。


しばらくしてその男は他の宿に入って行き食事をしてその宿に泊まるようだ。


キラービーも車に戻りゆっくり羽を休ませて明日に備えると念話して来て映像が切れた。


翌朝かなり早めに起きて朝練を済ませてから朝食を一番で食べて車でケープに向かって飛んで行く。


小一時間程でハヤトの自宅に着き、ケープの街からハース迄とハースからマールまでのレールの敷設をドリスとアレンが始める。


街は未だ早朝で動き出している人たちは少ない。


距離もそれ程ないので10時ごろにはマール迄の敷設を終了して、残るはマール、ハーゼル間のみとなった。



ここも距離がないのでドリスとアレンの二人で1時間ほどで全てのレールの敷設を終えて、ハーゼルの終点地から車両2両をレールにしっかりと載せて、五人で試運転しながらケープに戻って来る。


全線の敷設完了を冒険者ギルドのケントとギルバード侯爵には連絡を入れて、グランデまで『快速魔動鉄道車』2両を走らせてグランデからフェルトンを経由して王都ジュネべ迄レールの調子と鉄道車の試乗を兼ねて走行させた。


王都ジュネべには操車場を作りっこんでいるのでギンバリーまでの車両も2車両を

レール場に載せてジュネべからギンバリー迄ドリスとアレン、ガードマン三人に試乗を任せ、ハヤトは王宮に宰相を訪ねた。


衛兵に冒険者カードをではなく王様から下賜された王宮へのフリーパスカードを見せて宰相に全ての線路の敷設と車両6両をレールに載せ終えた旨報告する。


王様も王都の駅舎に出て来てギンバリーまで騎士団長と宰相を同乗させて新たに製作した2両編成の『快速魔動鉄道車』の試乗をし、次に王都からデルミロ経由フェルトンを通ってグランデから王都までぐるっと一周をして、乗りごごちに大変ご満悦で王都の駅舎に戻って来た。


昨夜帝都のスパイが色々メイドや執事のものに近づいて探ろうとしていたが諦めて

未だ王都の何処ぞの宿に潜っていると王様と宰相には伝えた。


「ハヤト君、特に破壊工作をしなければほっとくよ」と王様も無視すると言うので特に捕まえたりしないで放置した。その頃王国に潜り込んだ密偵は翌日の朝には新しい車両が既に動いていることに驚いて慌てて帝国に戻り皇帝に報告するのだった!


「宰相様、ブルネリア王国は各主要都市間を『快速魔動鉄道車』でもって完全に結んでしかも2日間程度で線路敷設も終えて車両をあっという間に増設して走らせております」


「して、アウレールよ、誰が魔動鉄道車を作成しているかわかったのか?」


アウレールと呼ばれたドリスに話しかけて来た男は首を横に振り


「残念ながら、作業をしている男女は王宮の優秀な魔法師が作ったので全く知らないようです」と答えてた。


宰相アーロンは皇帝になんと言って説明しようか悩んでいる。


下手に2日でレールを敷設して魔動車を増産して走らせたなどと報告したら我が帝国は何をしているのかと叱られるのは目に見えている、かと言って王国内の街々に鉄道車が全て開通して走り回っていることは冒険者や商人達からいずれ耳に入るのでここは考え所と、意を決して現状を少し変えて報告に上がることにする。


「ハンニブ皇帝様、王国に潜入させていたアウレールからの報告で王国の主要都市に

今必死で鉄のレールを設置させて後数ヶ月で王国の主要都市をくまなく設置し終わるようです」


「『魔動鉄道車』の製作現場はわかったのか?」


「はい、アウレールが確認したところ王宮の魔法師達の中でも特別な魔力を持った人間が王都の作業場で篭って後1ヶ月ほどで6両程作り上げるようです」


「そうか、その魔法師を拉致して我が国に連れて来ることは可能か?」


「いえ、その場所が何処だかわからないのと、騎士団が密かに警護していて難しいようです」


「それなら、わが方の魔法師達に『魔動鉄道車』に乗って具に観察して仕組みを解明せよ」


「はっ、早急に動きます」と言って宰相は皇帝の前から引き下がった。




************************


各都市の位置関係

マール  ハーゼル

◯ーーーー◯

| ハース

|ケープ  ヌーベル グランデ  ジュネべ    ギンバリー

◉ーーー◯ーーー◯ーーー◉ーー◯ーーー◉ーー◯ーーー◯

|   ロゴニー    |  ボース |   ルーベン

|           |      |

◯ ケインズ      ◯ーーーーーー◯

           フェルトン  デルミロ




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