第18話 オルバル帝国ジェニールの街

ヘルカ王国では『古代文明人ダンジョン』を踏破して『地図帳』というマジックアイテムを取得したハヤト夫婦はオルバル帝国の都市ジェニールに向かって『万能乗用車』で国境まで空を飛び、数分で国境の手前まで来た。


1キロ手前あたりで地上に降りて検問所でカードを出して出入国手続きを済ませてオルバル帝国に入った。


しばらくは歩いて、街道からほんのちょっと外れて人通りが無いのを確認し『万能乗用車』に乗り込み【透明化(インビジブル)】魔法で見えなくして上昇し時速500キロで飛び20分程で帝国第2の大都市ジェニールの近くの平原に着陸して【次元収納ボックス】に回収して街道を歩いてジェニールの街に入った。


冒険者ギルドは城門から1キロ程街中に入ったあたりにある3階建ての大きな建物だった。


ギルドの扉を開け、勿論セリーヌには【認識阻害】魔法をかけて目立たない様にハヤトが受付嬢のところに行きカードを見せて、


「すいません、ギルドお勧めの宿を紹介してください!」


「そうですね、お安く料理も美味しいと評判の宿は”猫の耳”という宿がここから出て50メートル程先に行った左側にあります」


「ありがとうございます」とお礼を言って、”猫の耳”に向かった。


「いらっしゃい、お泊りですね?お部屋は一つですか?それでしたら1泊銀貨1枚に銅貨20枚です。えっ?2泊ですね?それでしたら銀貨2枚に銅貨40枚です」


「朝食は5時から10時迄でラストオーダーが9時半です。夜も同じで午後5時から午後10時迄でラストオーダーが午後9時半です。遅れずにお願いします」と

可愛い猫耳の獣人族の女の子が言った。


「お部屋は2階の一番奥の大きい部屋で210号室です。ダブルベットでシャワーとお風呂もついて居りますのでとてもお得な部屋ですよ」


「色々ありがとうございます」と2階210号室に向かった。


中に二人が入ると本当に広々として部屋でこれが1泊二人で銀貨1枚銅貨20枚は

安すぎだろうと思うほどだ。


何と言ってもハヤトにとってはお風呂があることだ。


前世が日本人だったハヤトは温泉大好き人間でこの世界に来てシャワーばかりでお風呂がある宿はここが初めてだった。


ハヤトは「先ずはお風呂」と言って、


久しぶりというか、死んでから3週間ぶりぐらいだろう、お風呂を満喫してセリーヌにシャワーを譲り二人のお昼を【次元収納ボックス】から出して用意するのだった。


今日は餃子2人前とご飯、それに中華風スープを準備してザーサイも出してセリーヌが出てくるのを待っていた。


「ハヤト様、凄く香ばしいいい匂いですが?これって何ですか?」


「これは私の住んでいた所の食べ物で餃子と言うものでこの酢醤油につけてご飯で

食べてみてください、美味しいですから」と言って、セリーヌに勧めた。


「本当!とても美味しいです、ご飯もとても美味しくこれは病みつきになります」


二人で宿の中でお昼を食べて、お茶を飲んでから再び冒険者ギルドに行き午後の

クエストで残っている面白いものが有ればと掲示板を覗いてみる。


セリーヌには【認識阻害】魔法をかけて目立たなくして、掲示板まで一緒に見に行く。


ジェニールの街を出て20キロ先の森に居るサウンドラー討伐に金貨7枚が残っていた。


サウンドラーは低周波の鳴き声で冒険者の脳を痛めて動きを停止させるスキルを持っている為冒険者たちからは敬遠される魔物で非常に恐ろしい魔物だ。


ハヤトは魔法使いでもあるが、サウンドラーの鳴き声にも全然影響を受けずに大丈夫なのは経験していたのでこれを取って受付嬢に持って行く。


ハヤトが二人の冒険者カードを出して受付を済ませジェニールの街の城門でカードを出して20キロ手前の森を目指して二人は【マッピング】と【転移】を併用して一瞬で目的地の森についた。


「セリーヌ、耳栓をいりますか?サウンドラーの鳴き声で体が動かなくなると困るから・・・」


「私もサウンドラーの鳴き声を聞いても大丈夫なの!なぜだか恐らく世界樹様の加護のせいかしら?」


「私も元々この魔物の鳴き声では全く影響受けないから大丈夫だよ」と言って【サーチ】をかけると何と1体ではなく2体もいた。


森のかなり奥の様だ。


かなり奥に入って行くとその巨体が2体も居る。


セリーヌが1体の頭めがけて矢を連射して簡単に倒した。


仲間が倒れたのを見て興奮したもう1匹は凄い鳴き声でギャーギャーと鳴くがハヤトには全く影響がない。


【瞬間移動】でサウンドラーの首を切り落としてすぐに血止めをし、回収した。


すると血の匂いを嗅ぎつけたのかフォレストウルフが25匹現れた。


セリーヌが5本の矢を連射し、ハヤトが【多連エアカッター】を3連発してあっという間に倒してすぐに血止めをして回収した。


森からギルドの裏に直接【転移】して素材置き場にサウンドラー2体とフォレストウルフ25匹をボックスから出して置いた。


5分ほどで納品書が出来上がり、ハヤトとセリーヌはギルド受付の女の子に納品書と依頼達成書を出して清算を待った。


受付嬢から呼ばれて「ハヤト様、ギルドの情報不足でサウンドラーが2体も居たと言うことで大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。その為今回のクエスト代として迷惑料金も入れて金貨10枚の2体分として金貨20枚、それとフォレストウルフ25匹分の銀貨375枚をお受け取りください」


ハヤトは財布に金貨20枚と銀貨375枚を入れた。


宿に戻ってハヤトとセリーヌは一緒にお風呂に入りお互いの体を綺麗に洗ってあげてベットで愛を確かめ、長いキスで締めくくった。


夕食を食べに階下に降りて行く。


食堂に行くときもセリーヌには【認識阻害魔法】をかけてあげ、猫耳の可愛い女の子に定食を頼んだ。


しばらくすると定食が来て珍しくお肉ではなく初めて白身魚のムニエルだった。


スープもついてパンはガーリックパンでハヤトもご飯でなくガーリックパンを頼んで食べた。


食べ終わると二人は部屋に戻って、アメリカンコーヒーを飲みながらゆっくりしている。


明日の予定を考えるハヤトとセリーヌ。


「セリーヌ明日はオルバル帝国第二の都市をのんびり回ってみようか?魔物討伐ばかりでなく、市場に行ったり、魔道具屋を見たり喫茶店に行ってお茶を飲んだりして過ごしませんか?」


「ハヤト様、大賛成です。ギルドに行かず街をくまなく歩いてみたいです」


「よし、明日はのんびり過ごすぞ!」とハヤトは久しぶりに気分をリラックスさせてアメリカンをもういっぱい飲み干した。


ハヤトは先日踏破した『古代文明人ダンジョン』で回収した資料を整理したり本の

種類を確認して寝るまでの時間を資料チェックに使った。


セリーヌは座禅を組み瞑想してオドを循環させることを何回も繰り返し奴隷になって訓練できなかった精霊術をもっと高みまで上げたいと時間が有れば訓練に余念がない。


二人の時間は静かに過ぎていき、ハヤトの方から「そろそろ寝ましょう」とセリーヌをベットに誘うのだった。


翌朝は比較的ゆっくり起きて朝練もいつもより2時間ほど遅く始めた。


バスターソードで5000回の素振りをして、『白兎』で示現流紅の型を終えて座禅で瞑想始めて全体でおよそ小一時間、部屋に戻ってシャワーを浴びてセリーヌと一緒に階下に降りて朝食を食べる。


ケルピーのスープにオークの照り焼き月見バーガーと野菜サラダだ。


食べ終えて一旦部屋に戻り、コーヒーを飲んでゆっくりする。


9時半ごろに宿を出て朝市を見て回る。


さすが帝都第二の都市だ。朝から凄い人数の人が買い出しに来ていた。


「セリーヌ、君は野菜が好きだから朝とかサラダ用に買って帰る?サラダドレッシングはなんとかなるけど!」


「サラダドレッシング?ってなんですか?」


「野菜を美味しく食べるために味付けする物だよ」


「それじゃ、野菜を少し見繕って買って帰りますね」セリーヌは何種類かの葉野菜を買って、金額は銅貨35枚だ。


ハヤトが財布から銅貨を出して払った。


肉屋のところを通るとマナバイソンをステーキ用に切って売っている。


野営地でも、ステーキを焼いて塩胡椒で二人で食べれるので2キロ程購入する。


銀貨1枚で買えた、地球のステーキ肉よりはかなり安い。


市場を1時間ほど時間をかけて周り商店街の大通りに出て色々な店を順番に道路からアイショッピングしていく。


武器屋さんに入って、眺めたりしていたらセリーヌが「ハヤト様、何か武器でもお探しなのですか?」と聞いて来た。


「特に武器というか魔物を解体するダガーの良いのが有れば購入してギルドに収めるだけでなく自分で解体したり、肉屋とか錬金術師屋さんに素材を売ったりしても

いいかな?と思ってね・・・」


「解体用のダガーですか!私も今後注意して見てみますよ」と言ってくれた。


魔道具屋ものぞいて見るがハヤトが考える物は特になかった。


ハヤトは魔道具として、地球でいう鉄砲とか大砲とかそういった類のものが出ていたら対人の戦闘の対処の仕方が違ってくると思い魔道具屋に入るといつも地球上に有った近代兵器のようなものがあるか注意深く見て回っていた。


幸い今の所はこの世界ではまだ見当たらない。


10時半になり、小ぎれいな近くのお茶屋さんで紅茶とクッキーを頼んで二人で

いただく。


銅貨20枚をハヤトが財布から出した。


お昼近くになりギルド周辺の定食屋に入ってみる。


「定食二つお願いします」


「へい、いらっしゃい!今日の定食はマナバイソンのステーキにケルピーのスープと野菜サラダに黒パン食べ放題、おかわり自由だ」銅貨二人分で30枚だ。


ハヤトは財布から銀貨1枚を渡し、銅貨でお釣り70枚を受け取った。


マナバイソンは300グラムもあり野菜サラダも豊富に有ってとてもリーズナブルな値段だった。


黒パンも食べ放題と言いつつハヤトもセリーヌもひとつずつしか食べなかった。


午後からも洋服屋さんとか家庭雑貨などのお店を回って見た。


1軒の魔道具やに入って眺めて居ると羊皮に包まれたダガーが目に留まり【鑑定】して見るとどうやら解体専門のダガーで、解体を全く分からなくてもこのダガーを

持つとどこの部位から切っていくか等自然にダガーが動いて解体をスムーズにできると出ていた。


こりゃ便利だと羊皮から取って握って見るとダガーが青白く光り輝き頭に念話で

『マスター、よろしくお願いします』と頭の中に挨拶を送って来た。


ハヤトはこのダガーを買おうと「ご主人このダガーはおいくらですか?」


「これは解体用専用で戦闘用とは違うよ」と言って来た。


「いや、解体用を探していたんで良いのだけど」


「そうか、それならお安くしておくよ、金貨1枚でどうだ?」


「わかりました、金貨1枚で買います」と言ってハヤトは金貨1枚を財布から出してダガーを買った。


「セリーヌ、やっと探していた解体専用の魔法のダガーを見つけることができたよ!これからは暇を見て解体も勉強するよ」


「良かったですね、目的のものが有って」とセリーヌも喜んでくれた。


いろいろ歩いて冒険者ギルドに寄ってから帰ろうとギルドの扉を開けてセリーヌには【認識阻害】魔法をかけて、ハヤトは掲示板を見ると、護衛以来でブルネリア王国の王都まで明日出発で金貨2枚だ。


「セリーヌどうせ王都まで帰って更にケープに戻るのだからこの護衛任務を受けないか?僕らは『万能乗用車』でしんがりを勤めれば良いじゃない?」


「私はハヤト様の家内ですからご主人様についていくだけですわ」とにっこり笑った。


ハヤトはこのクエストを剥がして持っていくと受付の女性がこのクエストはブルネリア王国の貴族様を護衛する任務で騎士団が5人と冒険者護衛がハヤト様セリーヌ

様を入れて他の3人のパーティーです。明日の午前9時にこの受付にお集まりください。騎士団の代表が説明されると思いますから」


「わかりました、明日9時にここに来ます」と言って依頼書を持ってセリーヌと宿に帰って行った。


宿に戻って、シャワーを一緒に浴びて愛を交わして、着替えて階下に降りていき夕食を食べに食堂に向かった。


夕食は魚の塩焼きで秋刀魚に似ている魚でとても美味しかった。


ハヤトはご飯で食べたがセリーヌはパンで食べていた。


明日は食べ物を少し追加で買って【次元収納ボックス】に入れて行こうと思った。


明日の他の冒険者パーティーは3人だということだがどんな人たちなのだろうと思いながらいつの間にかセリーヌの手を握って寝てしまった。


翌朝いつもの通り朝練をして、そのあと朝食を食べ終えて8時半過ぎには冒険者のところに来ていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る