第2話 プロローグ

俺、紅 隼人(クレナイ ハヤト)は学校を卒業してとある地方の民族博物館の学芸委員として採用され、資料整理や発掘調査の手伝いにこき使われる毎日を過ごしていた。


しかし新人が入ってこないため実質未だ一番の若造である俺だがやっと俺にも纏まった夏休みが来た。


地方の民博は訪れる人は学校関係の生徒が殆どで、学校が休みになる夏はこの民族博物館も長期休館になり俺もやっと休みが取れるという事になった!


俺はこの機会に昔から好きな日本の神話のルーツを訪ねる旅に出ていまはここ鳥取県白兎海岸に来ている。


ここは昔話「因幡の白兎」の舞台となった所だ。


二日前は京都大江山の酒呑童子のルーツを訪ねその前が奈良県の葛城山の土蜘蛛のルーツを訪ねたりして、ここ鳥取県迄足を伸ばしレンタカーのハンドルを片手に右手はタバコを持って次の所にと狭い山道の夜道を走っていた。


急に右手から白い兎が飛び出してきて、咄嗟に「因幡の白兎だぁ!」と急ハンドルを左に切ってしまった!左は崖で30メートル下が谷川なんだよね、ここは・・。


大きな岩に当たり目の前の景色が逆さになった迄は記憶があるがその後は全く記憶はとんで、気がついたら周りは真っ白な空間で境目も何も無い空間にいた。


目の前に先ほど飛び出してきた「因幡の白兎」と綺麗な女性がいた。


俺は「あっ、因幡の白兎さん!大丈夫だった?」と叫ぶと、すまなさそうな仕草をしたと思ったら白い煙と共に可愛い女の子に変化していた。


隣りの美人のお姉様が仰々しく「紅隼人、この度はわたしの侍女がとんだ間違えをやらかして死ぬ予定で無い君を死なしてしまってごめんなさい!」


すると兎から女の子に変わった子が、


「御免ねぇ、隼人君!私が急に飛び出したばっかりに・・・」


「あのー、俺は死んだの?あなたがたは神様?」


「そうよ、私は上級神のヘラ、でこの子は下級神。それでさっそくだけどが私達の間違えで殺してしまった君を転生させてあげようと、魂をここに導いて来たの!」


「それって又生き返って前の世界で、病院で生き返るとか?」


「いや、前の君が生きていた世界には戻せないのよ、その代わり魔法や剣を使って悪をやつける隼人の好きな神話に近い世界よ!」


「それじゃ少しだけ希望を言ってもいいですか?」


「ずいぶん切り替えが早いわね!いいわ、聞ける範囲で聞いちゃうわよ、こちらの不手際だからかなりの融通は大丈夫よ、神の加護も全ての神から許可を貰ったので全て付けておくわね。それと魔法も全特性を使え魔力も最大にしておくわ。あとスキルも色々付けておくから安心して転生しなさい!それでついでっと言ってはなんだけどあちらの世界に行ったら少しだけゴミ掃除的な事して貰うわ!」


「それで隼人の希望は何なの?」


「はい、少し若返って転生したいのと、現在までの記憶は持って転生できたら、それと言語と地図がわかりやすく出ると助かります」


「わかったわ!それじゃ、頑張ってねそれと『次元収納ボックス』もサービスしておくわ!お金とか入れておくから後で調べて使いなさい。じゃぁーねー!」


何やら軽いノリで言われた隼人は気が遠くなる感覚でふたたび真っ白な空間に隼人独りがおり、急に意識が飛んでしまった。


再びハヤトが目を覚ますと、そこは森の外れで目の前には緑の草原が広がり、のどかな田舎の様な所の木のそばで寝転んでいる自分に気がついた。


鏡が無いから分からないが少しは若返っているのだろう。


身長は元々ハヤトは高かったので180センチちょっとある。


本当に死んで異世界に転生したと感じたハヤトは取り敢えず周囲の様子を見渡し危

険が無いか五感を研ぎ澄まして観察した。


ハヤトが神様に生前の記憶を残してもらったのは、知識だけではなく彼は剣道と柔術を学生の時全国大会まで出た猛者だった。


そのため、人よりは危険察知は普段より鋭いのだが、流石にいきなり白兎が出た時

俺は避けられずに崖に落ちたのだったが・・・。


取り敢えず此の森の近くでは魔物が来るだろうと思い、此の近くに町があるのか試しに『マッピング』と念じて見る。


この辺の感覚は”異世界ノベル”を昔から読み漁った経験で地図を見開いたりするのは何となくわかった。


目の前にハヤトを中心に地図が現れ一番近くにある町はここから3キロほど南に行ったケープという町らしい。


まずはそこまで頑張って歩いて行くのだった。


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