第10話 聞きたくないの
「それでね。○○君がかっこよくて!英語教室で席近くなれるから嬉しすぎて!!」
今日も友達の”好きな人„の話
「本当にかっこよくてさ、わたしの作品とか褒めてくれて!!」
やめてよ。私だって好きなんだから
「も~やばい。かっこいい。」
こんなに彼が好きな友達に「私も○○君が好き」なんて言えやしない
ほんとはすっごく好きなのに
「ただ、わたしのこと、じゃがいもとか言ってきてさ。ほんとうざいんだよね。」
ほんとは嬉しいくせに
「ごめん。私、トイレ行ってくる。」
「そう、あとで話聞いてね!」
「あ......うん。」
トイレの個室に入り、気持ちを落ち着かせる。
「ッ__あぁっ!」
うざい、うざい、うざい、わたし以外の人に話してよ。
「......戻ったらまた、話聞かないといけないのか......嫌だな。」
教室に戻り、席に座ると友達が寄ってくる。
「で、さっきの話の続きなんだけど......」
「あのさ、その話......ちょっと、やめてもらっていいかな?ちょっと聞くの......嫌でさ。」
「なんで?いいじゃん。別に。」
「ごめん。本当に嫌なの。」
「......仕方ないな......分かった。明日は絶対聞いてね。」
「ありがと。」
本当は一生聞きたくないんだけどな。
「じゃ。私、席もどる。ばいばい。」
「うん。ごめんね。」
友達は私の話を聞いてくれて席へもどっていった。
「......ふぅーーーー」
心を落ち着かせる。
こんなことで疲れてちゃ駄目なのに。
「なんで、好きになったんだろ___」
私の言葉をかき消すような教室のガヤガヤといった音はチャイムが鳴ると徐々に小さくなっていく。
「起立。」
授業が始まった。
私の胸のモヤモヤとした感情を置き去りにして___
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