帰り道
「自己紹介してなかったな。俺は七五三掛朔也。よろしく。」
道すがら、彼は言った。
彼の家は、ここからすぐ近くにあるみたい。
「しめかけ…変わった苗字ですね。」
「だろ?十中八九言われるよ、それ。」
そう言って七五三掛さんは笑った。
気さくな性格に少し安心する。
「僕は、葵です。」
フルネームは明かさなかった。個人情報だから。
「葵くん、ね。了解。」
「あの、七五三掛さん。」
「シメサクでいいよ。苗字と名前を繋げて、みんなそう呼ぶからさ。」
「あ…うーん。サクさんって呼びます。」
なんかシメサバみたい…って思っちゃったから、下の名前で呼ばせてもらうことにした。
それに、どうせ一晩泊めてもらうだけだし、呼び方なんて何でもいいと思った。
「はは、了解。で、何?」
「あの、コンビニ寄ってもいいですか?カフェラテ買いたくて。あと、歯ブラシ。」
僕は近くのコンビニを指差しで言った。
「いいよ。本当にカフェラテ好きなんだな。」
サクさんが笑いながら言うから、なんだか少し恥ずかしくなってしまった。
待たせるのが申し訳なかったので、僕はささっとコンビニに入り、ささっと買い物をして戻ってきた。
「お待たせしました。」
「はやっ。ちなみに、肉まんは買わなくていいの?」
「え、あ…、えっと、いつも買ってる肉まんは安いし食べ歩きできるから買っているだけで、特別好きって訳じゃないんです。」
僕、"カフェラテと肉まんが大好きな少年"みたいなイメージなんだなって改めて思わされた。
そう思うとまた恥ずかしさが込み上げて、慌てて俯いた。
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