その7 メンバーにも言えないこと ※

 「今日も来てくれてありがとうー! みんな大好きー!」

ライブ中、俺はアンナとしていつものように女装姿で観客に手を振る。

「みんなが来てくれてマリサ嬉しー!」

メンバーのマリサも手を振り叫ぶ。俺と同じでコイツも女装した男だけど。

「最後まで、僕達の歌聴いていってください……!」

そして更にもう一人のメンバー、ユズミちゃんも恥ずかしながら声を上げる。もちろんコイツも男だ。そんな感じでライブは進み、無事に幕を下ろした。


 ※


 「お前の弟くん来たか? 俺は見つけてないけど」

「ううん。アイツ役所勤務の地方公務員だから平日公演には来ないよ」

ライブ会場の更衣室で俺達『Man made Lily』のメンバーはそれぞれ着替える。

ライブが終わり、女装を取って帰り支度をしているマリサ、もとい操(みさお)に聞かれる。マリサとしての女装姿も可愛いが普通に男としてもイケメンなのがコイツはずるい。

「……敏郎、ずっと弟くんに黙ってるの?」

着替えたユズミちゃん、もといタケルさんにも言われる。この人も女装は可愛いしスッピンもイケメンだ。二人とも幸男がアンナとしての俺を応援しているのは知っている。

「だって言えるわけないでしょ。弟の夢壊すのはちょっと気が引けるんすよ」

俺は鏡に映る自分の姿を見る。ウィッグを取らず衣装も脱いでいない恰好を改めてみて罪悪感を覚える。

「……敏郎はまだ仕事あったな。俺達は先に帰るぞ」

「じゃあね」

操とタケルさんは荷物を持って先に更衣室を出た。俺だけはまだ撮影の仕事があったので女装姿でカメラマンと社長を待っている。

「アンナ、カメラマン来たぞ」

「社長」

少し待っていると来栖社長が呼びに来た。


 ※


 「アンナさんお疲れ様でしたー」

「はーい、ありがとうございます」

ライブ会場内での撮影が終わると、カメラマンさん達が帰っていく。

「アンナ、今日は送るぞ」

「ありがとうございます、社長」

俺は女装姿のまま、社長に連れられて移動する。その先は社長の自宅マンションの部屋だ。

俺と社長はいわゆるそういう関係を持っている。つまりやることは決まっている。


 ※


 「今日もお疲れさん。アンナ」

「はい」

俺は社長のベッドの上に座る。そして社長が俺に被さるようにキスをしてくる。ぐいと舌が入る。

「んふ、ん」

口内の刺激にビクンとしていると、俺は押し倒される。社長の唇が離れると社長は俺のアイドル衣装を脱がし出す。パンツも脱がされ俺はウィッグと化粧以外無防備にされる。

「やっぱりお前、すけべな身体してるな」

「社長のせいですよ……」

「やっぱ胸、膨れてるな」

「ひゃ、」

社長に胸を触られる。社長と関係を持ってからはすっかり社長好みの身体にされた。

メスイキ、尻でイケるようになってから、腕は前より少し細くなり尻は以前より幅が増え(俺は元々尻は普通よりでかい)極めつけは、胸部分に脂肪が付いてきた。噂で聞いていたけど掘られると女の子っぽい身体になるのは本当だったらしい。しかも俺がそうなるなんて……

「ひあ!」

膨れた胸を揉まれて乳首を吸われる。吸われていくと涙目になる。

「アンナやっぱり可愛いなぁ」

「ひ、言わないでぇ」

社長は自分の上着を全部脱ぎ、ジュレで濡らした手で俺のアナルに触る。

「あああ! ひゃあ」

社長の堅い指が入って俺はぞくぞくした。

「指入っただけですげえ感じてんな」

「はわ、ひ!」

俺の性器にも触る。俺は腰が砕ける。社長はズボンを脱いで自分の性器にゴムを付ける。

「もういいな」

「う、はひ……」

ヨダレを垂らす俺と四つん這いにし、社長は自分の性器を俺のアナルにずぷんと、挿入した。

「あああ! んあああ!!」

俺の腹は刺激でいっぱいになり、すぐに射精しイッた。

「お、もうイッたか。やっぱりすけべだな」

「ひあああん! ひぎぃ……」

社長に出し入れされ、俺はそれをただ受け入れ犯され続ける。社長は覆いかぶさり、俺の胸をまた触る。

「ああ! さわらないでぇ……」

挿入され乳首を触られ、俺は頭の中を真っ白にさせられる。アナルのナカがまた狭くなったのを自覚する。社長がイッたと同時に俺はまたイッた。

「あー、お前やっぱ最高だ」

「ひぎゃ!」

勢いよく社長のが抜け俺はまだびくんとなる。俺の足元に使用済みのゴムが落ちる。社長はそれを結んでゴミ箱に捨てる。

「今度は舐めてくれ。俺はまだ一回しかイッてないぞ」

「あ、はあ……」

社長の性器が座り込んだ俺の顔の前に来る。やっぱでかいな。

「はふ」

俺はゆっくり口に入れて中で舐める。ちょっと苦しいけど、全部口に入れる。

「舐めてる顔も可愛いな。お前のこと応援してる連中は、悔しいけど見る目があるな」

「んふぅ」

社長は俺の口から性器を抜いて俺の顔に向けて射精する。

「弟クンはこんなスケベな兄貴に気付けないなんて鈍いよなぁ」

「ああ! 触らないで……」

乳首をつねられ俺はまた電気が走ったような感覚になる。俺の性器から我慢汁が出るのを社長は見る。

「乳首だけでイキそうか?」

「おかしくなるからやめてぇっ」

幸男の顔が頭に浮かんで余計にビクビクしてしまう。社長と関係持てば幸男への思いを忘れられるって思ったけど、むしろ嫌でも思い出し興奮材料にしてしまうことに余計な罪悪感を覚えるのだった。

「弟クンともこういうことされたかったか?」

Sっ気ある社長の言葉に俺はずっと喘がされるのだった。

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