第115話 ドロップリスト

 タトルの城塞では闇の飛龍のドロップアイテムが並べられていた。


「さすが闇の飛龍。現物がこれほど出るとは」


 ロジーネの鑑定が終わった。


「これが目録です」


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 闇の飛龍の魔石 1個

 古代金貨 1万枚

 飛龍の魔槍 1本

 退魔の剣 1本

 ブラッドハルバード 1本

 牙突の短剣 1本

 魔力消費減少の指輪 1個

 暗黒の鎧一式 一着

悲しみの錫杖 一着

 業火な皮鎧 一着

 祝福されたダークワイバーンリング 1個

 ブラッドソード 2本

 アダマンタイトソード+7 2本

 エリクサー  1本

 ブラッククリスタル 10本

 各種宝石 40個


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「こんなドロップはじめてみた!」

「レイドすごいわー。オークションするなら二時間はかかりそう」


 ユキナが呆然としている。


 ポーラは大手の現地オークションを思い出し苦笑した。討伐したその場でオークションを行う場合が多い。

 駆け引きは面白いのだが、とにかく時間がかかる。

 値段がつり上がったほうが全員の分配もあがるため、傍観者も楽しめるのだ。とにかく、煽る。


「飛龍の魔槍はパイロン、暗黒の鎧はラルフでいいかな?」


 アーニーがみんなに確認し、同意を得る。


「おいおい。パイロンはともかく俺はとくに何もしてないぞ、今回は」

「いえいえ。飛龍の魔槍なんて、槍使い垂涎の品! あっさり私がもらうわけには!」

「何をいっている。俺とニックは龍牙剣あるし。前衛の装備を揃えたほうがいい。次はお前らだ」

「そーそー」

「あ、僕は闇の飛龍の素材使ったアイテムもらうから、気にしないでねん。ユキナはブラッドハルバードもらうといいよ」

「私は役に立っていませんよ?! でも嬉しいです。ハイオーガ一族の家宝にしようかな」

「魔力消費減少の指輪はポーラさん用ですよね」

「ありがたくもらっておくよ。正直、これが欲しかったのよね」

「もらっておけ」


 魔力消費が激しかったポーラ。皆に異論はない。


「俺なんて闇の飛龍を健を材料にした弓作ってもらえるんだぜ…… もう何も要らない」

「牙突の短剣はテテだな」

「僕ですか!」

「アダマンタイトソードはオーソドックスにジャンヌさんかな」

「+7! もらいますー」

「魔石と祝福されたダークワイバーンリングも闇の飛龍特有の、ユニークアイテム。これは素敵な王子様にプレゼントしたいのですがよろしいでしょうか。政治的にも使えるでしょうし」


 闇の飛龍を討伐した証としては、これほど説得力がある証拠はないだろう。

 各国に示せるのだ。政治的な意味合いが強い。


「さんせー!」

「問題ないでしょうな!」

「それは本当に嬉しいです! ありがとうございます!」


 各々、配分はそれぞれの職にあったものを分配されていった。

 魔法武器を作れるレクテナがいるため、分配で揉めることもない。


「悲しみの錫杖と業火な皮鎧は、呪いのアイテムです。売りに出しますね」

「頼んだよ。イリーネ。どんな呪いなんだろう」

「悲しみの錫杖は能力マイナスで済むんですが、業火な皮鎧は装備したのち、時間経過で炎に包まれ焼け死ぬ厄介なアイテムです。呪いの品コレクターが喜びそうですね」

「誰が着るんだ……」

「鑑定に失敗すると『ごうかなかわよろい』としか表示されないので危険なのです」

『俺はお前たちの世界でどのように表示されているか知りたいわ』


 守護遊霊が思わず突っ込んだ。守護遊霊世界でも同じようは音読み引っかけなのだろう。


「使い道はありそうだな」

「ブラッドソードも売りに出せばいいわね。赤い刀身なだけで、ただのロングソード+3だし」


 レクテナが断定する。彼女の付与術にかかれば、量産品以下だ。

 ただ、真っ赤な刀身は見栄えがよい。人気があるので良い値がつく。


「闇の飛龍の素材は、私がお預かりしますね」

「何に使うの?」

「アーネストさん用の防具ですね。あとは素材や飛膜を使ってウリカさんやエルゼさんの分の防具を」

「俺ばかり、みんなに申し訳ないな」

「私たちもですか!」

「アーニーさんは総取りしても文句言われないぐらいだからな? もらわなすぎなんだよ」


 アーニーが恐縮していると、ラルフが否定し、みんなが同意している。


「エリクサーもアーニーさんが持っておきなさい。私たちのであなたがもっとも死地にいそうですし」

「そうね。おっちゃん良いことを言う」

「おいおい、さすがに貴重品すぎるだろ。MPも含めた全快アイテムだぞ」

「いいから持っておきなさい!」

「おう。不安で仕方ねーからよ。もらっておいてくれ」

「わ、わかった……」


 みんなの剣幕に押され、受け取った。


「ロニー、なんか欲しいアイテム?」


 レクテナがロニーに聞いた。妖精族は武器防具の装備アイテムは無用となるし、金銭的に困ることもない。


「いらないー。ミスリルゴーレム修理してくれたからそれでいいよ! お金かかるんでしょ!」

「気にしなくて良いのに。でもミスリルゴーレム直ってよかったわね」

「うん! ありがとうレクテナ!」


 砕けたミスリルゴーレムの右手も、破片とドワーフから提供されたミスリル合金を用い、レクテナが修復したのだ。


 こうして、彼らは和気あいあいと分配を済ませていった。


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