なんで?

Yuma.

第一話 寂しい


『由奈ァ!』


私はこれ見よがしに「SPRITE」を掻き混ぜた。


30分前にはザラ、ザラと音を立てていた氷もいつの間にか疎らになっていた。


 私は先程幼い頃から付き合いのある千賀由奈 ―高校、大学は違っていたが――と今人気らしい映画を見て、いつになく充実した時間を過ごしていた。



しかし、先刻まで大いに笑っていた映画から一転、私はひどく撃沈していた。


久し振りに由香と話せて楽しかったのだが、辺りはもう暗くなってきて、家族にに夕飯は外で食べるとも言ってないことに気づき始めていた。

――つまり、さようならの時が刻々と近づいているということだ。


高校大学は違っても、高校の時はLINEで連絡取り合ってどこにでも行ってた。

変に気を遣わず、本当に何でも言い合えるのが由香だった。


けど、由香は県外の大学に行って、私は県内だったりお互い就活だったりして最近全然会えていなかった。LINEでは連絡を取ってたけどそれ以外何もなく、予定が合った時はかなり嬉しかった。友達といる時は時間が過ぎるのが早い。――だからこそ、ギリギリまで私は粘りたかった。




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