2話 機製人との初戦
できれば戦闘は避けたいッス。
いま店内にいる
集まってこられるとこちらは圧倒的に不利。
やり過ごしたいところなんッスが、そうきたッスか。
天井近くにある防犯ミラーを見ると機製人さん、レジ前を通って中を見てるッス。
そうなるともう隠れようがないッスね。
雑誌なんかが置いてある窓側から回ってくれれば、商品棚を挟んで対角線上に位置しながら隠れることができたんッスけど。
仕方がない。
こうなれば先手必勝。
可能な限り音を出さないようにして、店内で仕留めるッス!
「ジュマ!」
商品棚の端から機製人さんが姿を現した瞬間、私は飛び込んでハローの引き金を引いたッス。
仕様は
レーザーみたいになるやつを振って剣にし、その首と四肢を斬る。
強射なんかで撃たなかったのは機製人さんの表面魔法抵抗力が高く、放出系は七割減になるからッス。
だから線射の貫通性能を活かして内部から攻撃できればと思ったんッス。
斬り落ちはしなかったものの、斬り口から金色の炎があがったッス。
そのまま燃え続けて、弱体化してくれればいいッスが、修復されたッスね。
炎が圧し潰されるようなかんじで消されたッス。
回復能力があることは分かってたッスが、異常に早いッス。
無力化できたのはだいたい五秒くらい。
この方法でならこのくらいの時間、効果があるって知れたのはいいッスが、こっからが問題。
機製人さんが右パンチを繰り出してきたッス!
バ────────ン!
一瞬、しゃがんでパンチを
タタカイノキオクから、八極拳の
そんで、壁にあたって跳ね返ってきたところを巴投げ。
機製人さんを床に叩きつけたッス。
さらに私が逆立ちの状態から機製人さんのお腹へ両膝を落として追撃。
素早く離れ、入口側へ来たッス。
いちおう、気を込めての攻撃なんッスが、内臓や神経なんかがあるわけじゃないんで、多少のダメージにはなっても行動の鈍化にはならないッスね。
機製人さん、ふつうに立ち上がったッス。
人間の骨格に沿った動きをするッスが、骨はなく、肉体に相当するものしかないんッスよね。
だったら、あれをやっていみるッス。
さっきサイコメトリーに使った髪の毛を踏んで気を送り、操作。
向かってくる機製人さんの脇腹へ刺し入れるッス。
そんでハローのマガジンを交換。
「
「つ、伝える……」
「うむ」
私の金髪ツインテが赤みを帯びるのと同時に引き金を引く。
バチイイイィ────────!
機製人さんの身体にがっつりと電気が流れ、立ちながら全身をブルブルと震わせてるッス。
これは
魔法だから一方的に電流として送れるし、内部全体への攻撃なんでしっかりダメージになっているッスね。
ただ、問題はどれくらいやればいいのかってこと。
弾丸みたいに射出してるんじゃなく、出しっぱなんで魔力の消費が半端ない。
いまはマガジンに充填された魔力を使っているッスが、他に雷聖魔法のマガジンはないんで、継続するなら
そうなる前に無力化してくれると嬉しいんッスけど。
うん?
なんか機製人さんの身体から黒っぽい煙があがったッスね。
どうやら電熱で中が焦げているみたいッス。
いったん、引き金から指を離して様子をみるッス。
「……」
ドサッ。
電流が止まった瞬間、機製人さん、仰向けに倒れたッスね。
煙以外、表面に変化は見られないッスが、動くことはなさそうッス。
とはいえ思い込みで判断しちゃまずいッスよね。
「魔彩、
「うむ」
「はい、はーい」
私のツインテは金髪に戻り、華彩がサイコメトリーで機製人さんの様子を探るッス。
「中は完全にいかれてる。二度と動くことはないわ」
「ほっ。了解ッス。念のため、髪は回収するッス」
「も、もどる……」
私が足を離すと、機製人さんに刺さっていた髪が巻き取られるようにしてツインテに戻ったッス。
まあ、道路に伸びていた分の方が長いッスけどね。
「とりあえず情報を得る目的は果たしたんで、こっから離脱ッス」
「そうね、彩」
「ジュマ」
ハローを空間倉庫へ入れ、華彩がツインテの先を出して外を確認。
「いいわ」
問題がないようなんで、店内を出て、再び物陰に隠れながら移動ッス。
「目指すは駅ね」
「そうッス」
「ジュマ」
あの機製人さんからの情報によれば、救出目標の女子高生さんは駅で見失ったらしいッス。
だからそこを中心に探していて、念のため、駅から遠いこっちも少数で探しているみたい。
で、駅はどっちだってことッスが、道路の標識に書かれているんでそれを追えばいいし、空にいる
女子高生さんを狙っているのは翼魔さんも同じだったし、見失った情報は一緒のはずッスからね。
空にも気をつけつつ、まずは行ってみるッス。
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