6話 状況確認
人格を持ったツインテ、
そんで私は一メートルくらいの高さがある生垣の横で、見られる能力を消して仰向けに寝っ転がっているッス。
簡単にいえば、私という存在をぼやかしているかんじ。
注視しなければ気づかれることはないッス。
念のため、胸のあたりでハローの銃口を上に向けて構え、
「やはり、楽園と外を行き来できるみたいだな」
「ヤロー、ふざけやがって」
「逃げたのなら仕方ないわ。
「分かった。行こう夕夏」
「今度会ったら必ず倒す」
捨て台詞をしっかり残して、お二人は仲間のいる宮殿へ行ったッスね。
ほ、良かったッス。
あのまま戦っていたらやばかったッスからね。
タタカイノキオクやら魔女の素養やら、いろいろと能力が使えるとはいえ、基本は生身の人間。
やればやるほど疲労は蓄積されていくし、援軍がくるわけでもないんで、頑張ればいいってもんじゃないッス。
八彩が分身で人格や意思があっても、私の力を分けて動くもんッスからね。
その負担分を考えれば一時的なものでないと頼めないッス。
「ジュマ」
「そうッスね」
ジュマの言葉を受けて答えると、空間倉庫から、その羽彩と八彩が瞬間移動的に戻ってきたッス。
「帰還しました」
「ただいまっす」
「お疲れッス」
これで元の金髪ツインテに戻ったッスね。
この空間から消えたように見せかけたのはジュマの空間倉庫を利用したもの。
向こうの空中で入って、いまこっちへ出てきたってわけッス。
「そんじゃ、ちょっと休憩しつつ、これからの作戦を考えるッスか。
「はい、はーい」
ハローの構えを解きながら、私はあぐらをかくように座ったッス。
「家出さんに仕掛けた髪は大丈夫ッスね」
「ばっちり。よく聞こえる」
私が家出さんを拘束してた時に、髪の毛を五本ほど仕込ませてもらったッスからね。
可能な限り聞かせていただくッスよ。
「ひとまず録音ということにして、ちょっと状況をおさらいするッス
「了解」
「ジュマ」
「翼魔憑きさんたち女子は全部で七人。そのうち、読書さんと令嬢さんの翼魔さんをやっつけて、お二人を安全な
「そう。そしてお嬢様の方は散射を浴びたから、翼魔は消えているか残っていてもちょっとだと思う」
「ギタリストさんや体育さんにも
「たぶんね。そして、家出ちゃんとリーダーは無傷。ただ、気をつけないといけないのはリーダーの攻撃力。とんでもないのを撃ってた」
「確かに、あれにはちょっと驚いたッス。いちおうみなさん、撃ち方は全種類できるんでしょうが、性格や得手不得手があるかもしれないッス」
「家出ちゃんやギタ子が追尾の矢を撃ってるのに、あの体育娘は真っ直ぐのしか撃たなかったもんね」
「あれはクロスボウだったッスが、魔力で作られている以上、剣なんかもできるッスね」
「それも聖剣とかの
「ッスね」
華彩のサイコメトリーで分かったことなんッスが、つらい現実から逃げようとする心をつけ込まれ、自分たちは翼に導かれたことによって天使と同等になっていると思い込まされているッス。
だから翼魔のことを受け入れ、何の疑問も抱かない。
精気を吸われ続け、やがて死に至るとも知らずに。
まあ、きっかけが何であれ性悪の翼魔さんが憑いている状態で真実を伝えても信じてもらえないんで、容赦なく排除、実行をしているわけッスけどね。
「いずれにしろ、魔法で翼魔を
「翼魔さんは半分精霊で半分魔獣ってかんじッスからね。都合よく非実体化できるんで、物理的な切除よりも魔法の方が早いのに変わりないッス」
「そのための魔導具もあるんだし」
「ジュマ!」
「想定した範囲のもんッスけどね。必要があれば
「できれば買わずに済ませたいところよね。私たちなら遠慮なく、ガンガン使うのよ、
「分かったッス」
「ジュマもしっかり働くのよ。あんたの、ジュマ! て一声だけでも応援になるんだから」
「ジュマ!」
「ジュマにはいつも感謝しているッス。華彩や他のツインテにも」
「ふふ、ありがと。代表して礼を言うわ」
にっこり笑う顔が見えそうなかんじで言う華彩。
空を飛ぶにしても、以前だったら飛行魔法を使うようなところを、能力で飛べるようになったッスからね。
自分にできることの幅が増えたのは有り難いことッス。
「と、おさらいとしてはこんなところッスか。あとはこれからどうするかッスが、向こうの出方しだいッスね」
「そうね。たぶん、あのお嬢様を守るために宮殿で
「確かに。いちおう、こちらは撤退したことになっているッスからね。あちらにしてみれば守りをかためて迎え撃つのが良作ッス」
「それじゃあ、家出ちゃんに仕掛けたのを聞いて、向こうの状況を探ってみる?」
「そうッスね」
「ジュマ!」
それを踏まえて、どう攻めるか作戦を考えるッス。
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