第252話 フローリア・フェスティバル
クーデター未遂事件の影響で延期となっていた『フローリア・フェスティバル』が開催された。
実に3ヶ月遅れでの開催であったが、今年はソランスター王国建国120周年記念として例年よりも盛大に行われることとなっていた。
王都最大の祭りである『フローリア・フェスティバル』は、3日間に
開催期間中、宿はどこも満室で、宿泊施設がもっとあれば、観光客は更に増えるであろうと予想されていた。
王都のメインストリートは至る所に花が飾られ、沿道には所狭しと露店が軒を並べた。
メインイベントの『花のパレード』は初日から毎日行われるが、今回から年齢別に3日間に分けて行われる事となったのだ。
因みに初日の『花の天使のパレード』に参加出来るのは、予選で選抜された6歳から11歳までの美少女120名だ。
2日目の『花の妖精のパレード』に参加出来るのは王都とその近郊で選ばれた12歳から15歳までの美少女60名だ。
3日目の『花の女神のパレード』に参加できるのは、王都とその近郊で選ばれた16歳から19歳までの美女30名と王室推薦枠6名程度である。
3日目の今日は、祭りの花である『花の女神のパレード』が行われ、ソランスター王室の花と呼ばれる王女3人の他、今回はサプライズゲストも登場する予定だ。
そして、夜には王宮の上空に2万発の花火が打ち上げられるのだ。
爽やかな日差しの中、マーチングバンドの軽快な音楽を先頭に『花の女神のパレード』が始まった。
王都のメインストリートは、色とりどりの花々で飾られていた。
まずは王都とその近郊から選ばれた美女30人が「花の女神」に扮し、チューリップや紫陽花、スミレ、カーネーションなど、それぞれの花をテーマに装飾された台車の中央に立ち、沿道の見物客に笑顔で手を振るのである。
その周りでは花娘たちが、色とりどりのフラワーシャワーを沿道に蒔いている。
一見すると紙吹雪に見えるが、すべて本物の花びらなのだ。
沿道には『花の女神』をひと目見ようと大勢の見物客が押し寄せていた。
パレードも終盤に差し掛かり、いよいよ王室推薦の美女たちの登場だ。
当然のことながら、この辺からは王室親衛隊の兵が周囲を取り囲み、警備が厳重となっている。
最初に登場したのは、チューリップの花の妖精に扮した『ASR39』のリオナであった。
唄って踊れるアイドルグループ『ASR39』のメインセンターとして、今や王国全土で絶大な人気を誇るリオナを、一目見ようと沿道は人で埋め尽くされていた。
リオナは、色とりどりのチューリップの花で飾られた台車に乗り、愛くるしい笑顔で見物客の声援に応えた。
2番目に登場したのは、マーガレットの花の妖精に扮した『ASR39』のマリンであった。
マリンは、マーガレットの花で飾られた台車の上から、手を振り笑顔を振りまいていた。
唄って踊れる
3番目に登場したのは、プルメリアの花の妖精に扮した『ASR39』のトリンであった。
トリンは、プルメリアの花で飾られた台車の上から、明るく元気に手を振り笑顔を振りまいていた。
唄って踊れる
4番目に登場したのは、アルテオン公爵家令嬢のエレナであった。
普段はやんちゃなエレナであったが、着飾ってすましていれば誰もが振り返る超絶美少女なのである。
エレナは、ハイビスカスの花の妖精に扮し、普段は見せない
5番目に登場した薔薇の花の女神に扮した第1王女のフローラは、薔薇の花で飾った台車の上から、沿道の見物客に笑顔で手を振っている。
その見目麗しい顔立ちと、気品あふれる立ち姿は、沿道の見物客を魅了し、溜息が出るほどの美しさだ。
6番目に登場した
鮮やかな
7番目に登場した
ジェスティーナは細身ながら均整の取れたスタイルで、その顔立ちは可憐で愛らしく、ひと目見ただけで、思わず息を飲むほどの超絶美少女なのだ。
陽が沈み、濃いブルーのマジックアワーの時を迎えると、間もなく大輪の花火が打上げられた。
ソランスター王宮の後方からと、王宮の手前の湖上から、次々と打ち上げられる2万発の花火は圧巻だった。
闇夜に打上げられた花火は、城を極彩色に照らし、池の水面に反射した光と相まって、得も言われぬ光のページェントを繰り広げた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
花火が終わり、祭りも最高潮に達し、多くの人々がその余韻に浸っている頃、オレは一人で『踊る銀ねこ亭』を目指していた。
『花の女神のパレード』の打ち上げを行うため、娘のマリンが予約してくれたのだが、王女も一緒だと伝えると女将が気を使って貸し切りにしてくれたのだ。
『踊る銀ねこ亭』に来るのは実に久しぶりだ。
トレードマークである、銀色の猫のレリーフが掛けられたドアを開けると、女将がいつものように元気に迎えてくれた。
「おやまあ、カイトさん、久しぶりだねぇ」
「女将さん、ご無沙汰してます」
「マリンから聞いたけど、隣国で大活躍だったそうじゃないかい」
「あ~、そうですね、色々と大変でしたが…」
その時、オレは大事なことを女将に伝え忘れていたのを思い出した。
それはマリンと一線を超え、男女の中となり、彼女が側妻候補の一人となったことだ。
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