第19話 ポーションを売りに行くぞ
ポーションは専用の小瓶に入れると劣化しにくくなる。
常温で1年は持つらしい。
今回作ったのは次の4種類のポーションだ。
・スタミナポーション(体力回復薬) 3級が200本、2級が10本
・マナポーション(魔力回復薬) 3級が100本、2級が5本
・ヒールポーション(怪我治癒薬) 3級が100本、2級が5本
・キュアポーション(病気治癒薬) 3級が100本、2級が5本
ちなみにポーションの品質等級は5段階あり、4級、3級、2級、1級と品質が上がり、特急が最上級だ。
等級が上がると効果も高くなり、それに比例して価格も高値で取引される。
そろそろ売りに行けるくらいの量は出来たと思うのでローレンに相談してみた。
「どこで売るのが一番いいかな?」
「ソランスター王国の王都で売るのが一番高値で売れると思います」
ローレンはそう教えてくれた。
確かに王都はこの辺で一番の大都市で人も多いし、それだけ需要もあり高く売れるはずだ。
王国に入る際に、検問所で通行証か身分証の提示が必要になるらしい。
ソランスター王国の王都フローリアは花の都と言われ、年中花が咲き乱れる自然豊かな美しい都市で、馬車で5日かかる距離にあると言う。
王都にポーションを売りに行くついでに、錬金釜を手に入れる計画だが、ローレンによると錬金釜は、そんじょそこらの店で販売されている物ではなく、ほとんどが鍛冶師に頼んで1から作ってもらう物らしい。
詳しいことは現地で聞かなければ分からないようだ。
王都遠征のメンバーは、オレとトリン、それにメイド長のソニア、専属メイドのリアとレイの5人に決まった。
一番手っ取り早く王都へ行く方法は、オレの愛車『アウリープ号』に乗って行くことだ。
定員は7名だが、食料や衣服などを積むため3列目シートは荷室として使うので乗員は5人が限界だ。
今回持っていく荷物だが、ポーションの他に、薬草や香辛料、館で醸造したワインなど高値で売れそうな物を吟味して、全てキューブの異空間収納に入れてある。
そのキューブ自体は形状変化させ、USBメモリ並に小さくして車のキーホルダーに付けてある。
食料や衣服等もキューブに入れても良いのだが、いちいち取り出す必要があるので、自分の荷物は自分で持ってもらうことにした。
いよいよ出発の朝が来た。
館の前に『アウリープ号』を駐め、荷物を積み込む。
燃料は水だけあれば済むので多目に持ったが、現地でも間違いなく手に入るから問題ないだろう。
後部座席にトリン、リア、レイの16歳トリオ、助手席にはナビゲーターとしてソニアが乗った。
ドライバーは当然オレだ。
走行計画はこうだ。
本来なら馬車で5日間かかる距離(約600km)だが、余裕を見て2日間で走破する。
国境の検問所まではステルス化した『アウリープ号』で走り、検問所を超える際は『アウリープ号』をキューブに収納して徒歩で検問を抜ける。
検問所を通過して街道に出てからは、また『アウリープ号』に乗り、王都の近くまでステルス状態で走り、残りは徒歩の計画だ。
この辺の地理と道路状況に一番詳しいソニアが旅行計画を説明した。
ちなみにソニアは王都フローリアに何度か行ったことがあるらしい。
「王都までの距離は約600kmあります。
この車に乗ってノンストップで走れば1日で着く距離ですが、途中検問所を超えたり街中を通行するので、どこかで1泊しなければなりません。
因みに検問所までの距離は100kmなので、車で2時間ほどで着きます。
検問所の手前2kmで車を下りて検問を越えましょう。
通行許可証代わりの身分証は、お渡ししてありますので無くさないで下さい。
ご主人さま、これで出発準備が全て完了致しました」
「ソニア、ありがとう。
後ろの3人も準備いいかい?」
「オッケーでーす」
今日はソニアを含め全員、私服だ。
メイド服じゃないメイドたちを見るのは新鮮な感じがする。
「それでは出発しようか」
館のエントランスには、ローレンと残りのメイドたち全員が整列していた。
「それじゃあ、行ってくるね~、みんな留守を頼んだよ!」
「ご主人さま、行ってらっしゃいませ」と全員で深々と頭を下げて見送ってくれた。
『アウリープ号』は敷地の境界にあるゲートを抜けて森の細い道をゆっくり走った。
「こんなに盛大な見送りを受けると、なんか遠くまで行く感じがするね」
「そりゃあ、600kmもあるんですから、普通なら一大旅行ですよ」とトリンが楽しそうに言う。
「王都、行ったこと無いし、この世界に来て初めての旅だから楽しみだ」
「そうですね、王都に行ったら、きっと美味しい物たくさんありますよね~。
今から楽しみだな~」
「おいおい、トリン、大事な目的を忘れてもらっちゃ困るよ。
ポーション売って、錬金釜を作ってもらうのが目的だろ!」
「そうでした」とトリンがペロッと舌を出した。
「そろそろ女神様のオマケスイッチ、押しとくか」
オレは『ステルスモード』と書かれたスイッチを押した。
『アウリープ号』は透明になり、街道に入るとスピードを上げて国境を目指した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます