第17話 トリン、カイト様のこと好きだもん

「カイトさま~」

 誰かがオレの名を呼んでいる。

 振り返ると露天風呂の脱衣所からトリンが覗いていた。

「温泉、一緒に入っていいですか~?」


「オレはいいけど、トリンは恥ずかしくないの?」


「何言ってるんですか、毎日一緒に寝てる中じゃないですか~」


「誤解されそうなこと言ってんじゃないよ」


「だって本当の事だから…」とトリンは笑った。


 既に温泉に入る準備していたのか、トリンが小走りでやってきて、ドボンと音を立て温泉に飛び込んだ。


「おいおい、お湯掛かったじゃないか」


「ごめんなさい、こうしないと恥ずかしくて入れなかったんです」


「やっぱり恥ずかしいじゃん…」


「えへへ〜」

 トリンは、笑ってごまかした。


「ご主人さま~」とまた声がした。

 振り返るとメイドたち数名が、こちらを見ていた。


「露天風呂、ご一緒しても宜しいですか?」


「あ~、いいよ、入りたいならおいで〜」

 そう言うとメイドたちが12人とメイド長のソニアも入ってきた。


「ご主人さま、お邪魔しま〜す…」

 メイドたちは、恥ずかしげもなく、何処も隠さず温泉に入って来た。

 オレが目のやり場に困るほど堂々としていた。


「メイドチームA全員で温泉入りに来ました~」とレナが代表して言った。


「ご主人さま、私たちも温泉に入れるようにして下さって、ありがとうございます」


「ありがとうございま〜す」とメイドたち全員が声を揃えて礼を言った。


 露天風呂にはトリンとメイドたち12人の合計14人、対する男はオレ1人。

 湯船に浸かっているので下は見えないが、胸の膨らみは十分に確認できる。

 こうして見てみると実に壮観だ。


 いずれ劣らぬ美少女揃い、しかもプロポーション抜群の美女たちに囲まれて、これぞまさにハーレムだ。


「私たち、みんなで決めたんです、お仕事があるのでメイドが温泉に入れる時間は夜8時以降にしました。

 今日だけ例外で~す」とレナがオレに報告した。


「分かったよ」

 と言うことは、夜8時以降に来れば、美少女だらけって言うことか。

 φ(. .)メモメモ。


 この露天風呂は広めに造ったから、普通に入れば20人、少し詰めれば30人は入れるはずだ。


 仕事中は、私語をほとんど話さないメイドたちだが、今は勤務時間外なので、よく喋る。

 こうして見るとメイドロイドも年相応の娘と変わらないように見える。

 今日は普段バックヤードで仕事をしていて、じっくりと見たり話したりできない娘も来ているので、余計新鮮に感じた。


 今いるのがメイドチームAっていう事は、この前プールサイドバーでオレに生ビールを注いでくれたリアもいるのかな?

 リアは背中までの黒髪のポニーテールで、静かに微笑む癒やし系の美少女だが、この前会った時から、気になっていたのだ。


 リアを探すと、すぐに見つかったので、近くに行って話しかけた。

「リア、この前はプールサイドバーでビールをサービスしてくれてありがとう。

 注ぎ方が上手だったから、とても美味しかったよ」


「お褒めいただき、ありがとうございます。

 ぜひまたいらして下さいね。

 美味しいビールと熱々のソーセージをサービスさせていただきますから」


「リアみたいな専属メイドじゃない娘とは、なかなかじっくり話す機会が無いからね。

 ここには普段会えない娘も来るし、露天風呂は良い親睦の場として使えるかもね」

 これがホントの『裸の付き合い』ってやつか。


 オレとリアの話を聞いていたソニアが口を挟んできた。

「ご主人さま、お話中のところ、失礼致します。

 実はまだ、お話してなかったのですが、専属メイドは1ヶ月単位でローテーションしますので、あと1週間で別のメイドに交代致します」


「え~、そうなんだ、それは知らなかったな」


「全部で12組おりますので、1年の間にメイド全員がお世話させていただくことになります」

 そうかメイドは全部で36人いるから、毎月3人ずつ交代していくと1年でちょうど一周するのか。


「ちなみに来月の専属メイドはリア、ルイ、レイでございます」


「え、マジか…

 来月からリアが専属とは、楽しみだ」


「ご主人さま~、お背中流させて下さい」

 そう言って、あまり見かけない美少女がオレの方に寄ってきた。


「ありがとう、せっかくだし、お願いしようかな」

 オレは洗い場で椅子に腰掛けて、背中を洗ってもらった。


 オレは洗って貰うのに専念していたが、無意識なのか背中に何か柔らかいモノが当たるのだ。

 どう考えても、それは女性の胸の膨らみ以外考えられない。


 条件反射でオレの男の本能が反応してしまった。


「今度は前洗いますね~」と、その娘は前を洗おうとするのたが、この状況は無理がある。


「ご主人さま~、洗うだけですから、遠慮しなくてもいいんですよ~」


「キミの好意は、とてもありがたいんだけど、緊急事態だから失礼するよ」

 オレは逃げるように露天風呂を後にした。


 嬉しい状況ではあるが、流石にあんなにたくさんのメイドがいると、こちらの方が恥ずかしくなる。

 オレは、そのまま自室に戻った。


 部屋でベッドに横たわり、本を読んで煩悩を沈めているとトリンが帰ってきた。

 そして何も言わず、ドサっとオレの横にダイブしてきた。


「カイトさま~、なんであんなに早く帰っちゃったんですか~。

 もっとゆっくり温泉に浸かってれば良かったのに~」


「いや、トリンもあの状況見てただろ。

 あんな事されたら、男は色々とヤバい状態になるんだって」


「やばい状態?…、ですか?…」


「いやトリンには、分からないかも知れないけど…

 露天風呂にたくさんの女の子がオレと一緒に入って、みんなキレイで可愛くて、見てるだけで興奮しちゃうんだよ」


「あ~、なるほど、男の生理っていうやつですね。

 トリンもそれくらい分かりますよ〜」


「なんだよ、分かるんかい」


「もうカイト様ったら、恥ずかしがり屋さんなんですね」


「さすがに14対1のあの状況は、ちょっと恥ずかしかったな」


「カイト様の男の生理、トリンが鎮めて差し上げましょうか?」


 へ、今なんて言った?

 トリンが鎮めてくれる?

 確かに可愛いし、美少女だし、性格もいいし、好きだけど。


「いや、好きでもない男にそんな事したくないだろ…、義理なら遠慮しとくよ」


「義理じゃないですよ~。

 だってトリン、カイト様のこと好きだもん」

 トリンは、オレにキスしてきた。


「この館に来てカイト様といつも一緒で、いつの間にか好きになっちゃったみたいです」


 これって、もしかして女神がくれた英知の指輪のスキルが効いているってことか…

 このスキル、メイドロイドには効果がないみたいだけど、トリンはこの館に来た初めての人間だから、スキルが効いたのかも知れない。

 トリン可愛いな~って、ずっと思ってたし、会ってから約2週間、そろそろ効果が現れてもオカシクないはずだ…。


「オ、オレもトリンのこと好きだよ」

 咄嗟にそう答えていた。


「うれしい」

 頬を赤らめ、はにかんでいるトリンが、またカワイイ。


「それじゃ、トリンが楽にしてあげますね…

 一応そういう知識はあるんです」


 なんでか知らないが、そのような知識はあるらしい。

「どこで、そんな知識仕入れたんだ?」


「内緒です」と恥ずかしそうにいう。

「灯り暗くして下さい」と耳元で囁くと、オレの下着を脱がせ始めた。


 灯りを落とすと、トリンは裸になった。

 そしてオレの上に乗り、唇を求め濃厚なキスのあと、舌を絡めてきた。


 そして、肩までの長さの黒髪と可愛い顔を上下させ、オレに至福の快感を与えた。

「トリン、巧すぎ、ヤバいよ、行っちゃいそう」


「行っちゃって下さい」

 オレは2週間以上の禁欲で溜まりに溜まったモノを一気に放出させた。


「トリン、ありがとう、楽になったよ」

 頭を撫でてやるとトリンは嬉しそうにニッコリと笑った。


「今度は、私を気持ち良くして下さいね」

「カイト様に、私の初めてを差し上げますから…」

 トリンが初めてとは…、それは責任重大だ。


 とても初めてとは思えないようなテクニックで行かされたオレにもプライドがある。

 前世を含め、それなりの経験があるオレが、ここで負けるわけには行かない。


「優しくして下さいね」


「分かった」

 オレは、2週間の禁欲の反動もあり、その夜は朝までトリンを求めた。


 ♡ ♡ ♡ ♡ ♡


 次の朝起きると、隣でトリンが頬杖突きながら、じっとオレの顔を覗き込んでいた。


「トリン、おはよう」


「お早うございます……

 カイト様、激しすぎです…

 私壊れちゃうかと思いました…

 でも、これで私、カイト様のものになりましたね」

 そう言って人懐っこい笑顔でキスしてきた。

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