第6話 今夜のお相手は?

 部屋に戻ると夜9時を回っていた。

 ちなみに、この世界も1日24時間だが、感覚的には元の世界より少し長い気がする。


 オレは8階の専用居住スペースに戻り、部屋の風呂で汗と焚き火の匂いを洗い流した。

 今夜は、雲もなく星がよく見えるので、屋上のペントハウスを透明にして天然のプラネタリウムで寝てみよう。

 このペントハウスは、ドーム型で光の透過率を変更すると全面を透明にできるのだ。


 ベッドに入り、照明を落として夜空を見上げる。

 今夜は新月で、周囲に人工的な灯りは無く、小さな星までくっきりと見える。

 しかし、見覚えのある星座は無く、自分が異世界にいることを改めて思い知らされた。


 しばらくすると、ソニアが3人のメイドを連れてペントハウスへ上がってきた。


「ご主人さま、お休みの所、失礼致します」


「こんな時間に何か用?」


「宜しければ、今夜のお相手をと思いまして…

 どの娘が宜しいですか?」


 オレはベッドから飛び起きた。


 入口にはリナ、レナ、ルナが悩ましいキャミドレスに身を包み微笑んでいた。


「ど、どの娘がいいか決めろって?」


「もし、この中にお気に入りの娘がおりませんでしたら、36名のメイドの中からご指名いただけますが…」


「もしお望みでしたらわたくしでも構いませんが…」とソニアは自分を指さした。


 オレはソニアの言葉に固唾かたずを飲んだ。

 これは俗に言うハーレムではないか。


 ソニアの言ったことを頭の中で消化しようとしたが、咄嗟のことで頭が回らない。

 それに動悸が激しいし、変な汗まで出てきた。


 改めて3人のメイドを品定めする。

 リナは細身だが胸もあり、髪の色は濃いブラウン系で背中までの長いポニーテール、見た目は可愛い妹タイプの美少女だ。


 ルナは3人の中では一番大人っぽく、肩まであるサラサラの美しい金髪、自己主張の激しいナイスバディ、端整な顔立ちで笑顔が印象的な美少女だ。


 レナは黒い瞳に黒髪の真面目そうな優等生タイプの美少女だ。

 胸は小さくもなく、大きくもない、ちょうど良い大きさ。

 髪は普段はロールアップにしているが、今は下ろして背中に垂らしている。


「2人でも3人でも宜しいですよ」

 こんな恵まれた状況は前世で一度も無かった。

 いつも女運が悪く、女性恐怖症の一歩手前まで行ったくらいだ。


『据え膳食わぬは男の恥』と言う諺がオレの脳裏に浮かんだ。

 決断力のない男と思われるのも癪なのでオレは決めた。

「それじゃ、3人共でお願いするよ」

 その時のオレの声が明らかに上ずっていた。


 ソニアはオレの意図を理解し、メイドたちに指示を与えた。


「どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さいませ」

 そう言ってソニアは部屋から消えた。


 リナ、レナ、ルナの3人はベッドの手前まで歩いてくると、膝を折り、床にひざまづいて三指みつゆびを付いた。

「ご主人様、どうぞ宜しくお願いします」

 いずれ劣らぬ美少女3人が上目遣いでオレを見上げ微笑んだ。


 よく考えれば、女を抱くのは、実にしばらくぶりだ。

 しかも今夜は、オレ好みの美少女ばかり。

 この世界に転生したオレは今18歳で、これが初めてだから「童貞喪失」になるのか?


「うん、分かった、任せなさい」

 そうは言ったものの、こんな状況は初めてなので、どうしたらいいのか分からない。


「それじゃ、早速脱ぎますね~」

 3人の美少女は、躊躇なく一糸まとわぬ姿となった。


 天井の灯りを消し、ベッドサイドの間接照明だけであるが、彼女たちの美しい裸体は十分確認できる。

「3人とも、こっちにおいで」


「は~い、ご主人さま、お邪魔しま~す。

 今夜は私たちを可愛がって下さいね」

 3人のメイドはベッドへ入って来た。


「さて、ここから、どうするかな?」

 オレの目は彼女たちの形の良い胸に釘付けになった。


「ご主人さま、最初は私たちにお任せ下さい」

「まずは、仰向けに寝て下さい」

 そう言うとリナ、ルナ、レナの3人は統率の取れたチームのようにオレに奉仕を開始した。


 オレにピッタリと密着してきた少女たちの体からは、甘い女の匂いがしてオレの性欲を刺激した。


 ソニアが言ったように3人とも十分に訓練されていた。

 いったい何処で誰から伝授されたのだろう。


「ねぇ、君たち、いったい何処で、覚えたの?」


「これはソニア様の指導で、メイド同士で訓練しました」


 なんだと~、メイド同士の訓練っていったいどんな!

 オレの脳裏にはメイドたちが技を駆使しあうスゴい映像が浮かんできた。


 女神フィリアが作りし、超生命体メイドロイドは外見や骨格、皮膚、毛髪に至るまで人間と全く同じに見える、しかし人間ではないと言う。


 しかも彼女たちは人間を超越する能力を持っているとソニアは言っていたが、今のところそれを垣間見る機会には恵まれていない。


 3人の統制が取れた動きは、ひとつのチームのようであった。

 オレは前世を通じて初となる4Pを夜も白み始めるまで楽しんだ。

 そしてオレはいつの間にか眠ってしまった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 次の日、昼近くに目覚めると既にメイドたちの姿はなかった。

 不意にドアがノックされ、ソニアが入ってきた。

 やはり、どこかで監視しているのか?


「昨夜は、お楽しみいただけましたか?」


「ありがとう…

 十分に楽しませてもらったよ」


「そうですか、ご主人さまにご満足いただけて、彼女たちも喜んでいることでしょう。今度は、私にもお声掛け下さいませ」

 ソニアは意味ありげにウィンクした。


「お食事のご用意が出来ておりますのでダイニングへお越し下さい」


「昨夜カイト様にご奉仕させていただいたメイドたちには、本日1日休みを与えました」


 メイドロイドと言えど、昼夜連続の仕事は疲れるのだろう。


「今日は別のメイドがお世話致しますので、後ほどご紹介します」

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