100億の命の上に俺は立っている
幌筵陽炎嫁提督
病弱の私が勇者に選ばれた理由
少年は思った。「東京なんて大嫌いだ。人類なんて滅びてしまえ」
彼がなぜ未来人によって勇者に選ばれたのか? おおよそ、勇者に相応しくない性格
仲間が窮地であっても、クエストクリアすれば復活できるので平気で見捨てる。
仲間の一人からは、かくも言われた。
月舘由香「谷君って、本当や勇者じゃなく魔王として召喚されたんじゃないの?」
四谷「ドラゴンが来る前に滅んでいたりして・・人類」
筥崎(四谷君はそう冗談っぽく言うけど、ちょっとだけ本心な事を知っている)
筥崎「四谷君、もしウイルスが地球を傷つけずに人類だけ滅ぼすとしたら四谷君は嬉しいんじゃないの? ログで四谷君が賢者オズと話している所をみたんだけど」
四谷「ガイヤ理論だっけ? ”地球そのものを一つの生命体だとすると”っていう思考概念。それにおいては人類こそ、地球を穢す害毒で、その人類を減らそうという ウイルスこそ白血球の役割。人類っていう雑菌が増えれば、それを減らすように蔓延しだすって話。実際は感染は人口密度や行動によって変化し、死亡リスクは個々の人間の免疫力や寿命に比例しているだけだけど」
四谷「で、ガイヤ理論でいったら俺はウイルス側の仲間・・・だろうな」
筥崎「四谷くんは、やっぱり人類を滅ぼしたいんだ」
四谷「・・・ただ俺はウイルスのように無作為に人間を殺したい訳じゃない。俺には敵と味方がいる。死んで欲しい奴とそうでない奴。死ぬべきじゃない人間を死なせるべきじゃない。新堂さんやグレンさんとか、箱崎さんもね」
筥崎「私は四谷君と反対の考えをもっているよ」
四谷「知っている。だけど俺と意見が違うかどうかが、俺の敵か味方かを分ける指標じゃない・人類は次のステージに行くべきだと考えている」
四谷「箱崎さんたちはその進化すべき方向にいる。だから俺と反対意見だろうが死ぬべきじゃない側に入っているって事」
箱崎「・・・・・じゃあ、四谷君の敵って誰?どういう人なの?」
四谷「人間ってさ。自分の欲望のために周りに迷惑をかける奴とそうじゃない奴がいるよね? それは法律に違反した場合は処罰されるけど、脱法的、合法的な搾取をしている連中には適応されない。」
四谷「最近も、児童虐待や殺人事件の話をよく聞くよね?でも、あれは余程、酷いケースを除いて犯した罪の罰は司法が下す。ああ言う粗暴犯は俺の敵ですらない。
でも人を殺しておきながら、心神耗弱だのやり手弁護士を使って罪を免れる奴ら。
それは俺の敵。」
四谷「次に、社会というシステムのなかの既得権益。格差を拡大しておいて、偽善を振る撒く連中なんかが俺の敵」
四谷「今でいうと、ウイルスでさ、蔓延防止のために国同士の人の行き来が減ったわけじゃん?。それを幸いにと、他国の干渉が少ないうちに力で他所の国を侵略して領土を広げたり、クーデターで政権を乗っ取ったり自分たちの意見と違う民族を虐殺している国があるよね?それが俺の敵。こんな事をしている限り、人類は次のステージに進化できない。だから俺はコイツらを滅ぼさなければならない。この逆行を招いたのはウイルスのせいだ」
四谷「例えばさ、アフリカの貧困国で、多くの子供が飢餓や病気で亡くなっているじゃん。あの子供たちの命って、先進国の人達が寄付金を募って小麦とかトウモロコシとか食糧援助して食いつないでいるでしょ?」
四谷「でも、そういう援助に頼り切ったら、その国の農業はどうなる?せっかく小麦とかトウモロコシを作っても、無償援助でたくさん来るから、農家の人達は作った作物が売れずに困る。貧困国に対する食糧援助なんて、『命を守る』って聞こえはいい偽善をならべているけど、本当はアメリカとか農業大国が余剰農作物を処理するために利用していうだけさ。」
四谷「授人以魚 不如授人以漁。人にただ食べ物を与えるんじゃなく、食べ物を作る方法を教えたり、自給自足を促さなきゃ、食糧援助も害悪でしかないんだ」
四谷「日本だって、一流大学を出た人間が大企業や官僚になって高給を取るけど、2流、3流大学とか高卒・中卒の人達の多くは大企業の正社員になれずに派遣労働で裕福な生活が送れない。」
四谷「俺の親父は中堅ゼネコン社長・・暴力団とも繋がりがあり、俺の故郷の山をコンクリートの土砂採取のためにぶっ壊した。その山には俺と友達の秘密基地があり、リスとかウサギとか小動物の楽園だったのにね。親父は知っていたんだろうか?」
四谷「オヤジは外に愛人を何人も囲っているそうだ。オクフロとの間に子供は俺しか居ない。オフクロはオフクロで出会い系とかマッチングアプリで男漁りをしているようだ。この数年、オヤジやオフクロは小学生から運動会の応援に来てくれたこともないし、食事だって殆ど一緒に食べていない。」
四谷「要するに俺は親から愛情ってものを受けずに育った歪んだ人間なんだよ」
箱崎「歪み・・?」
四谷「俺は自分の考えが歪んでいるのは自覚している。でも世間の一般常識だって歪んでいるのも知っている。公平中立な社会を作りたい。」
四谷「だから俺はガイヤ理論におけるウイルス側。だけど今 蔓延しているウイスルとは考えが合わない・・・って感じなか?」
箱崎「それは四谷君が今言った『自分の意見と異なる人を虐殺する事』と何が違うの?」
四谷「なにも違わない。俺は『俺の側から見て正しい行動をするだけ」
・・・前回クエストの回想・・・
グレンダ「破壊願望のある中高生は少なくない。だが大抵の子供は大人になるにつれて、それが現実不能、浅はかさを知り、その考えをなくしていく。だけど私たちはこの世界でレベルを上げると現実でも強くなる。彼の心を直さないと。」
・・・回想終わり・・・
箱崎「四谷君が人類の敵になると言うなら、私は絶対に四谷君の邪魔をするよ。私は私が生きてきた恩をみんなに返さないといけないから」
四谷「知っている。箱崎さんはそういう人だ。」
箱崎「それでも・・・・むこうで私たちを助けてくれる?」
四谷「もちろん。絶対にクリアして 生かして帰すよ。」
箱崎(この人の暴走を止める。いまはまだ、やり方はわからないけど・・・それがきっと私が(ゲームマスターに)勇者として選ばれた理由)
・・・・・・・・・中略・・・・・・
そして、季節は秋になり、世界各地でゴブリンの出現事例が出始める。異世界とこちらの世界が繋がり始めているのだ。
・・・・・・・
若干、加筆、修正しました。
プレビューみたら、一話しか見ていない人が多いので順番を変えました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます