最強の鑑定士はスキルを隠し門番として生きる
銀髪ウルフ
プロローグ
*
「起きろ。
そんなぶっきらぼうな目覚ましを受け、湊は目を覚ました。
なんてことはない、いつもと同じ自分の部屋だ。
シックな雰囲気で統一された家具に床にまで浸食している漫画本の数々。
机の上には読みかけの漫画にスナック菓子の包みが広がっている。
間違いなく湊の部屋である、それも今朝出てきた部屋そのままだ。
「ふぁぁー、夢か?」
「ようやく起きたか相良湊。神を待たせるとはいい神経をしている。」
いつもと同じはずである部屋。
そこに何事もないように平然と佇む超美形銀髪ロングヘアーの男が一人。
「誰⁉不法侵入!えっと、えっと、警察警察。」
予想外の出来事に一瞬で覚醒する脳。
慌てて形態を探すが見つからない。
おかしい、確かに寝るときは枕元にあったはずだ。
「落ち着け。私は神だ。そしてお前は死んだ。」
「は?やばい、まじでやばいやつだ。早く警察。あれ、携帯はどこだ?」
自称神と名乗るやつなんて頭がおかしいやつに決まってる。
こういうやつはさっさと通報するに限る。
そもそも母さんは何をしてる?
こんな奴が家に、俺の部屋にまで入ってきて気が付かないなんて。
「はぁ、これだから子供の転生は気が進まないんだ。湊、これで信じるか?」
思いっきりため息をつきながら自称神は手を一振りした。
すると一瞬のうちにミナトの部屋が消え、天井も壁も床も真っ白なモノになった。
ソレには足が着いているはずなのになんの感覚も伝わってこない。
壁も天井も同じだ。
そこにあるはずなのにない。
近そうで手が届きそうなのにどこまでも遠くにありそうな不思議な感覚だ。
「なんだ、コレ、、、。」
「だからお前は死んだんだ。さっきのはお前が落ち着けるように住み慣れた場所を再現してやったに過ぎない。これが本来の神界だ。何もないが何でもある。必要なのは想像力だ。」
そう言うが早いかどこからともなく椅子が現れる。
神が出したくせにそれはどこにでもありそうな椅子だった。
これしかないのであれば仕方がない、湊は出てきた椅子を自分の方に引き寄せ腰を掛ける。
やっぱりどこにでもある椅子だった。
「えっと、じゃああなたは本当に神様で俺は死んだの?なんで?」
落ち着きを取り戻した湊はいまだに信じられない気持ちを抱きながらも神とやらに訪ねてみた。
「そう言ったはずだ。原因は交通事故だそうだ。今は葬式をやっているらしいが見るか?」
誰が自分の葬式なんて見るか!
内心でツッコミつつもなんとなくこの神の性格がわかってきた湊はめんどくさくならないように適当に笑って流す。
「神相手にそんなものが通用するかバカ者。まぁいい、面倒なことはさっさと済ませてしまうに限る。貴様の魂を異世界へと転生させる、いいな?」
「嫌です。」
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