Curtain Call

コトリノトリ

第1話

一人でくる海はなんだか静かだ。

波のよせてかえす音も、木々の揺れる音だってしてるはずなのに、いつも通りのはずなのに。まるで世界に自分だけのような錯覚をしてしまう。

あまりの静けさに耐えきれず、スマホでラジオを流した。

昔よく二人で聴いていたラジオは、いつのまにか知らない番組ばかりで、あの頃とはまったく違うものになっていた。

そりゃ、そうだ。出会ってから5年が経っているんだ。変わっていて当然だ。

垂れ流していたラジオから曲紹介が聞こえる。


『それでは聴いてください。SixTONESでCurtain Call』


目を閉じて曲に集中する。

出会った頃は、よくラジオでいろんな曲を知って、その曲たちを車で流しながらドライブに行っていたっけ。

好きになる曲が一緒すぎて、運命だねって笑い合ったり。

そんな思い出が随分昔のことのように思える。

いつから、いつからだろう。


『恋が恋じゃなくなってから、どれだけ経ったのだろう?』


タイミングよく流れたその言葉に、涙がこぼれる。

出会った頃は確かに好きだったのに。大切にしよう、一生一緒にいようって思っていたのに。

いつから、僕は彼女との恋を終えていたのだろう。


きっときっかけはあのとき。

彼女のプロジェクトが始まったときだ。

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