妹と。①

貴方(キャンプ)のことが、好きだ。


どうしたって、貴方(キャンプ)の事を一日中考えてしまう。


季節とは、全て貴方(キャンプ)から感じるものであるくらいに、貴方(キャンプ)は私にとって全てなんだ。


本当に、大好きなんだ。



……中々、ロマンチストだろう?


まぁ、それは置いておいてだ。


さて、今回は先日行った、謎深きキャンプの話をさせてもらおう。


△ △ △


「お兄ちゃん!さぁ、行くんでしょ?」


喧しい声が朝早くから我が麗しき家に響く。我が妹が泊まりに来ているのだ。


妹は5個下の36才で、私と同じく独身。彼女の言うには仕事バリバリ系キャリアウーマン、らしい。


キャンプに行こうと誘われて予定を立てたら、


「家見に行きたいから前泊するね!」


とLINEが返ってきた所から今に至っている。


今日も今日とて相棒のninja1000で行こうとしたが、2人乗りなんて怖くて有り得ない、と言う。と言うかそれ以前に、荷物を置く場所が2人乗りでは確保出来ないのだ。完全に忘れていた。

 

相棒よ、今日明日はゆっくり休んでくれ。


というわけで今回は、愛車のJeep ラングラーで向かう。久しく乗っていなかったなぁ。申し訳ない、じーさんよ。


彼は荷物をかなりの量運べるので、ソロキャンだと持て余してしまうが、こう言った2人キャンプであれば割とちょうど良い。


乗車して、さぁ出発だ。


乗り込んだ瞬間、妹はなんだかよく分からない最近の邦楽を流そうとしたので、慌ててそれを制してBluetooth相続された私のスマホから guns n’Roses

の1stアルバムを流した。welcome to the jungleから始まる名盤だ。私は完璧にガンズ世代である。


気分よく聞いていると、妹が文句を言い出した。どうやらこの素晴らしさがわからないらしい。全く……。


と言うわけで折衷案としてJohn Mayerを聴くことにした。爽やかな朝、よく音楽とマッチしている。


ドライブと言ったらロックンロールだと思っていたが、こう言うのも悪くないな。


さて、今日向かうのは千葉は成田のオシャレなキャンプ場だ。妹の好みである。彼女が見つけてきた。


私も調べてみたが、とてもカッコよく、私自身もワクワクしている。


はやる気持ちを抑えながらも車を勢いよく走らせる。おっと、法定速度は守って150キロで走行しているから安心して貰いたい。


△ △ △


チェックインが15時からだったので、最初に地方に住んでいる妹に東京を案内する事にした。


渋谷やら原宿やらに行きたがるかと思ったが、意外にもお台場に行きたいらしい。キャンプ場もそっち方面なのでちょうど良い、という事でお台場に向かった。




「おぉー!ユニコーンガンダムさんじゃあ無いですか!!カッケェーー!やっぱイケメンだわ!これって確か時間になったらデストロイモードに変身するのよね?それだったらさ。ちょっとそれまで、昼ごはん食べて待ってましょ!」


なんと。妹は実はかなりのアニメオタクな様だった。初めて知ったので正直驚いている。いやしかし、やはり血というものは繋がっているのだな。ジョースター一族が如く。


因みにここお台場はラブライブ虹ヶ咲学園の舞台なので、色々とファンとしては楽しい場所が沢山ある。このガンダムもそうだし、なんならこの広場もそうだ。後でゲマズへ行こう。


ダイバーシティのフードコートで適当に飯を食う事にした。私はめちゃめちゃアツイ匂いが漂っていた豚骨ラーメンを。妹はなんだか面白いカツ丼にしていた。


うむ。旨い。女性からしたらこの匂いは厳しいかもしれないが、豚骨とはこう臭くあるべきなのだ。


細麺にコッテリスープがうまく絡んでいる。トッピングのチャーシューもトロトロだ。海苔はしなしなにならないうちに食べるのが個人的におすすめである。


妹の食ってるカツも美味そうだったし、良い昼飯だった。


飯を食い終わってまた外に出ると、丁度先程のガンダムが変形していた。


「うぉーーー!!やべぇ!デストロイモードカッケェー!!!」


妹は発狂しながら写真を撮りまくっている。


わかるぞ。その気持ち。もしこれがエヴァ初号機だったらば、私も同じ錯乱状態に陥ることだろう。


私の聖地巡礼の諸々を終えて、やっとキャンプ場に向かう事にした。


本当はもっと行きたいところがあったのだが、まぁまた来ようと思う。

 

△ △ △


キャンプ場はお台場から1時間程度だったので、私たちはチェックインよりも少しだけ早く着いてしまった。


サイトの他にもコテージやら何やらと色々あり、なんだかリゾート地の様な場所である。


妹がその中の一つのちょっとした牧場に行きたがったので、時間まではそこで適当に遊ぶ事にした。この歳になって動物に会いたがるとは、余程日常が孤独なのだろうか。


我が妹だが、なんだか不憫に思えてきた。仕方がない、今日は目一杯楽しんでもらうとしよう。


小さい牧場だったが、可愛いポニーとヤギがいた。そいつらはよく人に懐いていて、思っていたよりも癒やされてしまった。


動物のこういうパワーは本当に凄い。私ももう少し老いたらば犬か猫か飼ってみても良いかもしれない。


ポニーをわしゃわしゃ撫でている間に、いつの間にかチェックインの時間を過ぎていた。


遂にキャンプ本番である。


妹よ、兄の背中を見ているといいぞ。



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