赤いきつねマン

ムネミツ

赤いきつねマン

 「腹減ったな、コンビニでも行くか」

 パーカーにストレッチパンツとラフな格好で深夜のコンビニへと向かう青年。

 彼の名は東洋ひがし・ひろしフツメンの二十代のフリーター青年だ。

 コンビニに入った彼が向かうのはカップ麺のコーナー。

 「健康がどうとかあるけれど、赤いきつねは止められないんだよな」

 洋が三個ほど赤いきつねを籠に入れてレジへと向かう、彼はうどん派だ。

 「ありがとうございました~♪」

 店員の礼の言葉を聞き流して、コンビニを出ようとした洋の前に事件が迫った。

 「オラ~! 金出せゴラ~ッ! 死ね~っ!」

 サングラスにバンダナマスクと雑な変装で鉈を振り上げたコンビニ強盗が現れた!

 「げげっ! ふざけんな!」

 洋は自分に振り下ろされた鉈を買ったばかりの赤いきつねで受け止めようとする。

 鉈と赤いきつねがぶつかった時、閃光が発せらた!

 「な、何じゃお前はっ!」

 コンビニ強盗が驚く、何故なら目の前の一般人を殺そうとしたら赤と白で彩られたスーツを纏ったヒーローらしき存在が現れたからだ!

 「やかましい、出てけっ!」

 変身した洋はコンビニ強盗を蹴り飛ばして外へ出た。

 

 「お、お前一体何もんじゃ!」

 蹴り飛ばされながらも鉈と闘志は捨てていないコンビニ強盗。

 「お、俺なんか変身してるっ!」

 外に出て初めて自分が変身した事に気付いた洋、買ったはずの赤いきつねも消えていた。

 「死ねやコスプレ野郎っ!」

 鉈を振り回しながら襲い来るコンビニ強盗、その時洋の頭の中に言葉が浮かぶ。

 「お前を倒すのに、三分もいらねえ! 油揚げシールドッ!」

 変身した洋はマットレスほどの巨大な油揚げをどこからか取り出し、強盗へと叩きつけた。

 「ぶは~っ!」

 洋の一撃で叩きのめされる強盗だが、頑丈なのか脳内麻薬か執念かは不明ながらも鉈を持って立ち上がる。

 「何なんだその執念は、出汁だしブラスターッ!」

 再び脳内に聞こえた言葉に従い拳銃型のガジェットを取り出して発射する洋。

 「熱っ! 甘っ!」

 強盗へとガジェットから放たれたのは赤いきつねの出汁が香るスープだった。

 この一撃が止めとなり、強盗はスープまみれになってKOされた。

 「最後は、うどんバインドッ!」

 KOされても鉈を離さない強盗を、近くの街灯へうどんらしき謎物質でがんじがらめに拘束した洋。

 「あれ、元に戻った!」

 事件がひと段落すると、彼の姿は元に戻っていた。

 「げっ、買った赤いきつねが一個消えてるよ! 買いなおすか」

 再びコンビニへと赤いきつねを買いに行く洋。

 何故彼が、変身したのかはわからない。

 だがこの日から彼は、赤いきつねマンとして悪と戦うヒーローになったのだ。

 

 どこかで誰かがピンチになる時、彼は颯爽と現れて。

 「お前を倒すのに三分もいらねえ、変身っ!」

 「出たな、赤いきつねマン!」

 「覚悟しろ、出汁ブラスター!」

 「うぎゃ~~~~っ!」

 三分もかからずに悪の怪人を倒し。

 「大丈夫か? まあ、赤いきつねでも食べて元気を出して下さい♪」

 ささっと、赤いきつねを出しては助けた人に作って差し出す。

 赤いきつねマンは、いつか貴方の前に現れるかもしれない。

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赤いきつねマン ムネミツ @yukinosita

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