だらしないのは美徳

ジュン

第1話

「『だらしない』って、社会人として不適格ですよね」

唯はそう言った。

「そうかな?」

「そうじゃないの?」

「『勤勉』というものは、学童期の特徴だろう」

僕はそう言った。

「おとなは、勤勉さはいらないということ?」

唯はそう尋ねた。

「勤勉さが反映されない仕事をしてるものだからね、大概の場合。社会人になってわかるんだけどさ」

僕はそう答えた。

「だとすると、だらしないというのは……」

唯は考えているようだ。

「社会や職場の人間関係に馴染むための『適応技術』じゃないの」

僕はそう答えた。

「だらしないって……美徳?」

唯はそうつぶやいた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

だらしないのは美徳 ジュン @mizukubo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ