教えてもらった感情は仮面を剥がす
綿麻きぬ
君がくれたモノ
さぁ、この糸を君の手で切って欲しいんだ。僕と君を結んでいるこの糸を。
僕が君から貰ったこの感情はとても大切で大事な宝物だ。だけど、どうだろか。最近はその感情が溢れ出してきた。溢れてきた感情を急いで1つ1つ大切に仕舞っていっても、零れ落ちていく。
僕が初めて知った感情は僕の手をすり抜けて消えていく。心の奥底に丁寧にしまい込んでいたはずなのに、壊れないように扱ってきたのに、気づいたら消えていた。
そういや、君は僕の笑顔が好きだと言ってくれた。でもね、その笑顔は頑張って頑張って作った僕の偽物の道化の仮面さ。
僕の仮面を好きだと言ってくれたのは君が初めてだった。だから僕は嬉しくなってしまった。君が望むなら、僕はどれだけ傷を作ろうとこの笑顔を見せるつもりだった。
君に笑顔を見せるために僕が作った傷を君は知らないだろう。君に見つからないように隠していたから。
その傷は自分でつけたものもあれば、君がつけたものもある。僕が僕であるために、僕が君の好きな僕であるために。
だけど、君の愛に触れる度に傷は痛む。痛みは段々と大きくなっていく。その痛みでいつの日か仮面が剥がれ落ちてしまった。
そしたら僕の光は消えてしまった。僕が消してしまった光はもう一生つくことはない。
偽りの僕に恋して僕の光になった君は気づいたら消えた。もう痛みの原因は無くなったはずなのに、より痛むのは何故だろうか。
それによってかどうか分からないが、僕はまた仮面を被れた。君が恋した仮面を。
いつもと変わらない日々にまた戻ったよ。君がいなくなったから。
道化の僕はいつまでも笑顔を見せる。傷を抱えたまま、生きている限り仮面を被り続けるよ。仮面が剥がれかけても、君の愛をもう一度触れたいから僕は被り続ける。
ただ、時々君の言葉が仮面を剥がす、僕に愛を教えたから。
そんな滑稽な僕を君の手で終わらしてくれ、君の好きな笑顔をまだ浮かべられるうちに。それが僕が望む最後の愛だ。
教えてもらった感情は仮面を剥がす 綿麻きぬ @wataasa_kinu
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