第4話 いきなり始まる共同生活
―次の日―
その後、村瀬さんは「荷物を纏めてまた後日に来ます」と言って去っていった。この数日で色々な出来事があったなと思い返してみる。事故にあったり、神様と出会ったり、異世界人に遭遇したり……。
そういえば異世界人とか言ってたけど、村瀬さんって名字も名前も偽名なのかな? 今日、来るみたいだし、聞きたい事を今のうちに考えて
・お名前偽名ですか
・私(中島義行)に聞きたい事って何だろう
・異物ってどんな物なのか
・村瀬さんの他に、この地域に異世界人はいるのか
・こちらの世界の人間が異世界に渡ることは出来るのか
・言語を喋れるのも魔法の力なんだろうか
他にもあるかもしれないが、大体こういうのはパッと思い浮かばないものである……。それよりも先ずは自分の事だ。曲がりなりにも一応事故に遭ったわけで、入院中に相手方の保険会社から連絡が着たりもしていたし、事務的な手続きやら…。
とりあえず、冷蔵庫の中身も
ハッ――! そういえば……。
『また後日に来ます』って、つまり、女性が、
男のグッズ(アレなヤツ)は処分しておかねばならぬ。
お出迎えの準備も整い、そろそろ時間かと待っていると、丁度玄関のチャイムが鳴った。事前に連絡を貰っていたので誰が来たかは既に分かっている。私は玄関のドアを開け、その人物を出迎えた。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは。中島さん。これからお世話になります」
相変わらず綺麗な人だなぁ…。まるで異世界に来たみたい。いや、この人は異世界人だが。
おっと、会話を忘れていた。
「村瀬さん、荷物はそれだけですか?」
「はい、元々この辺に住んでいたわけでは無いので」
私は挨拶を済ませた後、村瀬さんに部屋に上がってもらった。村瀬さんが荷物整理をしている間に、私は例の如くお茶菓子などを用意したので、声をかけて一息入れて貰った。
テーブル越しに面と向かい合った私は村瀬さんに話しかける。
「さて、お互い聞きたい事はあると思いますが、どちらから話を始めますか?」
「では、先に私から聞きたい事をお話させて頂きます。中島さん。貴方の能力についてです。この間、
私は腕を組み、天井を見つめる。
「実は…あの交通事故に遭った後、夢で神様に出会って能力を授かった。と言ったら信じます?」
すると、村瀬さんは考える人のポーズを取った。
「神様に? う~~~~ん。そういう事もあるか……。ん-ーーー。信じましょう」
「ずいぶん悩みましたね。お気持ちは分かりますが」
「中島さん。私はてっきり、中島さんも異物によって能力を与えられた人間ではないかと考えていたんですよ。でも、嘘を言っている様子もないし。この前ここに来た時も、異物の事を知らないようでしたから、その時はあえて聞きませんでした。もしも中島さんが異物所持者だった場合は、説明をした
「え、いつの間に魔法を使っていたんですか」
「この間、ここに来た時です。私が座り込んで考え事をしていた時ですよ」
(全然気づかなかった…。)
「という事は防御魔法を見せてくれる前に、既に魔法を使っていたんですね」
「フフッ。そうなりますね。それに、こう見えても私のように、こちらの世界に来ている者は。異世界人とバレてはいけない訳ですから。それなりの技術は身に着けているのです」
「あ、確かに。言われてみるとそうですよね。その仕事…と言えばいいのでしょうか」
「仕事。というよりは使命ですね。異物によって、こちらの世界に混乱を招くのは本意ではありませんので。さ、次は中島さんのほうから質問をどうぞ」
「では、いくつかありますが…。村瀬さんって偽名ですよね?」
「はい。そうです。本当のお名前は…またの機会に教えましょう。他には?」
(教えて貰えないのか。別にショックではないけど)
「異物とはどんな形をしているものなんです?」
「一概には言えないのですが、この世界の物ではないので、見ればすぐ分かると思いますよ」
「なるほど…。村瀬さんの他にもこの地域に異世界人はいるんですか?」
「今は私だけですね。他の仲間たちは遠い所にいます。なので中島さんからの協力の申し出は、正直こちらとしてもありがたく思っています」
「面と向かって言われると照れますが…。つ、次の質問です。私たちの世界の人間が、そちらの世界に行くことも出来るんですか?」
「それは、正直難しいですね。私たちは異物の回収という使命でこちらの世界に来ていますので、こちらの世界の言葉で言うならば『パスポートを持っていない人が外国に行けない』のと同義です」
「そうですよね。すみません下らない質問をして。あ、最後の質問なんですが、こちらの世界の言語を喋れるのは、やはり魔法の力なんですか?」
「私が中島さんと出会う前、最初にこちらの世界に来た時は魔法の力を借りて言語を喋っていました。今は独学で覚えたので普通に言葉を話せます。早く覚えられたのは魔法のおかげでもありますが」
「はぁー…。魔法って便利なんですね。あ、すみません。話しているうちに言葉が砕けてきてしまいました」
「いえ、私としてもそのほうが話しやすいです。お互い、慣れて行きましょうか」
「ええ、頑張ります。ふう……緊張で疲れてきました」
「そうそう。最後に、一番重要な話なんですが、実は異物の場所は既に判明しています」
ゲホッゲホッ。
私はお茶を丁度含んでいたので
「ぞ、ぞうでじだが。それはっ、良かっだ」
「中島さんが事故で入院されている間に、調査を進めていました。それについて、分かった事もあります」
私は気を取り直して喋る。
「そ、そうなんですか。また聞きたいことが増えましたけども…」
「私は中島さんの事故があった次の日、異物を回収するために、異物がある場所までかなり近づけたのですが」
「ですが?」
「異物から防御反応が示されまして、意思のようなものを感じました。どうやら、自動的に自己を守ろうとするようで、異物は、事象に干渉するような能力を使って私を遠ざけようとしてきました」
「事象ですか、ピンと来ないですね」
「
「物を操る…。あーーー。もしかして、それであの時、
「中島さんが交通事故に遭われた時ですね。間違いないかと」
「なるほど。ん? そうすると、別に私が助けようとしなくても、防御魔法で村瀬さんは車を防げた?」
「いえ、さすがにその時は無警戒に異物に近づいていたので、防ぎきれませんでした。あの時は助かりました」
(良かった。助けた意味はちゃんとあったようだ)
「どういたしまして。それにしても、その
「車で攻撃してきた時は、異物に対して探知魔法を広域で使用していたので、敵対行動と取られたのだと思います。本来、異物は“そのような行動に出る代物ではない”はずなのですが、それについてはまた今度お教えします。そして、探知魔法のおかげで大まかな位置まで判明していたので、2度目は魔法を使用せず、かなり接近できました。その時にもう一度、今度は精度の高い近距離探知魔法を使用した時に石ころを飛ばしてくる攻撃を受けました。その場では危険と判断し、一度撤退する事にしたのです」
「そういう事でしたか……」
グゥ~~~~~(2人揃ってお腹が鳴る音)
「お腹、空きましたね。中島さん」
「ははっ。何か、買い物にいきますか」
テーブルからお互い立ち上がり、村瀬さんが続けて話始めた。
「あ、私この世界の料理結構得意なんですよ」
「え、それは楽しみです。そういえば途中からお互いの話す感じが、時々柔らかくなってましたね」
「フフッそうですね」
この後めちゃくちゃ買い物した。
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