第2話 これから・後編
プルル――
「はい
「飯田ー。俺だ。中島だ」
~~日常会話が積もること数分~~
「じゃあ飯田。また今度」 プツッ
そう言って私は友人との会話を終えスマホの会話終了ボタンを押した。友人と会うのはもう少し先になりそうであり、医者に言われた通りならばギプスが取れるまで最短一ヶ月。意識ばかりが先のことを考えてしまうが、今は準備期間と考えて、先ずは普段通りの生活を送らなければならないし、自営業の仕事の事もある。
以前はサラリーマンをしていた身であるが、馬車馬のように働く事に疲れを感じ、退職がてら自宅で出来る仕事に手を付けた矢先の出来事(交通事故)であった。
そういえば私が助けた人は無傷と神様は言ってたが、その無事を直接確かめたわけではない。まだ私がベッドの上で入院していた時も病院の関係者の人に聞いてみたがそれらしい情報は得られなかった。
と、思ったのも束の間、スマホの音が聞こえたと思ったら病院からの電話だった。
「〇×病院の△□と申します。中島様の携帯でお間違いはないでしょうか?」
「はい。そうですが、何かございましたか?」
「実は先ほど、中島様が入院中にお話しされていた事故の時に助けたお相手様からご連絡がございまして、直接お礼を申し上げたいとの言伝を伺ったのですが、中島様は既に退院された事をお伝えした所、連絡先を教えて貰えないかという申し出を受けまして」
「あー、なるほど、でしたら教えて頂いても構いませんよ」
「左様でございますか。でしたら、お相手様から電話をかけて頂くようにお伝えしておきますので、
〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇という電話番号から電話が掛かってくると思いますのでご了承ください」
「はい。分かりました」
そう言って病院とのやり取りを終えた数分後、聞いていた番号からの着信が入った。
「もしもし、中島様のお電話でしょうか……?」
スマホのスピーカーから女性の声が聞こえてきた。
「はい。そうですが、そちらは?」
(今日はスマホでよく電話する日だな………)
「私は
「あ、いえ、どういたしまして。お怪我はございませんでしたか? 入院中もそういったお話はありませんでしたので」
「はい、おかげ様で怪我もなく、つきましては直接お礼を伺いたいのですが」
「今、丁度自宅に戻って来ておりまして、どこか場所を指定して頂ければ」
(さすがに自宅に来てもらうのは気が引ける…)
「いえ! 事故に遭われたばかりで、まだ骨折されていると病院の方からお話は聞いております! 私がそちらに向かわせて頂きますので!」
「え? あ~、です…か…。分かりました。〇×の△□に住んでいるんですが、分かりますか?」
会話を続けながらも女性の押しに負けてしまった。これで部屋の片づけをせねばならぬというミッションが追加された……というくだらないことを考えながらも会話を続ける。
「その場所でしたら分かります。私も近くに住んでいまして、この後すぐでは問題ございませんか?」
お片付けミッションが緊急ミッションに変更された。
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