第2話 これから・前編
目が覚めた私は自分が病院のベッドの上にいることを確認する。
先ほどまで見ていた夢のような出来事を再確認……。ぼーっとしながらも
ふと目をやったその先に、私はギプスで巻かれた左腕を見つめていた。
痛みを感じ、多少の動きづらさがありつつも骨折しているという事が感覚で理解できる。
夢で言われたことを思い出しながら半信半疑に思いつつも、頭の中で念じてみた。
<<カルマ>>
すると、さっきまで感じていた左腕の痛みは消え
動かしづらかった手首から指の先まで抵抗なく動く。
なるほど、確かに今までの一連の流れからすると筋は通っている。
しかし痛みが消えたとはいえ、たまたま痛みを感じなかったのかもしれない。
そうこう考えていても結論は出ないので次の試す機会を設けることにした。
回診の時間になったのか、看護師の方が来訪し、現在の状態の質疑応答に答えた。
さすがに「痛みを感じないから退院させてくれ」等という言い訳が通じる訳も無く。
おとなしく退院の日までベッドで横になっていた。
―数日後―
退院し、自宅のアパートに戻った私は簡単な荷物整理を終え、本題である自分の身に起きたことを試すことにした。本当に怪我が治るのか、その辺に仕舞ってあったカッターを取り出し、左手の甲を軽く切ってみる。薄く血が流れたのを確認し心の中で<<カルマ>>と念じてみた。
………。すごい…。本当に怪我が治った。
これで自分の身に起きた事、与えられたものが本当にあったことなんだと確信を得たのだった。
であるならば次にやるべき事は、神様に言われた事。
「一日一善。困っている人がいたら、自分のできる範囲で人助けをしなさい。その行為の結果として、ひとつお主に祝福が与えられる」
神様はそう言っていた。そもそも一日一善ってなんだっけ? スマホを取り出し、ネットで語源を調べてみる。余談だが、事故の時に私はスマホをポーチに入れていたおかげで、事故の難を逃れていた。良かった良かった。
ん-と、どれどれ……。
一日に一回は善行をする。それを積み重ねる……。
色々なサイトを調べてみたが、どこのサイトでも同じような事が書かれていた。
もっと簡単に考えてみるか。
困っている人が
この行為の結果、人助けが完了した時点で、
そして言葉通りならば祝福が与えられるのは一日につき一つまでという事か。
さて、実際に人助けをするといっても何から手を付けていいのかと思慮。
そういえば友人が部屋の整理をしたくて悩んでいたのを思い出す。
夢で自分が言った事を思い出してみよう。
1、例えば『重い荷物を持っている人』がいたとして
2、『荷物を持ってあげる』という人助けをすると
3、行為の結果として『重い荷物を持つことができる祝福』が与えられる
先立つものが無ければなんとやら、先ずはやってみるか。
私はスマホで友人に電話をかける事にした。
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