クリスマスじゃない赤と緑

@yumirin43

第1話

未だ春とは名ばかりの3月に震度6の地震がこの地方を襲った。

水道も電気もないってこんなに不便なんだ。

電気がないと、近視の私にでも、空ってこんなに星がいっぱい見えるんだ。

幸い反射式の石油ストーブが1台、物置に眠ってた。

7LDKもあるうちは、すぐに外の気温と近づいて、家族5人で一部屋にまとまって寝た。


翌日は土曜日で食料がかえるところを探しに外に出た。どこも行列だけど、娘と並んで人家族10点まで、というので10点購入して帰った。


翌週、ガソリンが買えないから自転車で30分かけて職場に行き、帰り道にコンビニで「今、カップ麺が入ったのでお一人様10個までご購入いただけますよ、」と外に向かって叫んでいる店員さんがいた。


有難い。


でもカップ麺は娘が嫌いで食べてくれないのだ。でも食べてくれるものが赤いきつねと緑のタヌキ。5個ずつ買って帰った。


テーブルに並べるとその向こうには「赤と緑でクリスマスみたいだね、」という娘の笑顔があった。


その日の夜にやっと電気がついた。

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