子供な僕らの居場所

綿麻きぬ

僕らは子供

 僕ら二人はきっとまだ子供だったんだよ。


 僕らの居場所なんてものはあっという間になくなった。僕が僕らの居場所を壊した。そんなことにはならないって信じてた。だけど結果的に簡単にそんなもんは無くなった。


 僕らがいた居場所は僕らにとって心地良かった。内輪ノリがあって、その空気が楽しかった。僕はそんな居心地の良い場所を他の人にも感じて欲しかった。


 だから、その場所を教えた。それがいけなかった。


 まぁ、当たり前だが居場所のノリや均等は崩れる。崩れないって思ってた。信じてた。望んでた。


 僕が呼んだ人は悪くない。それによって変わった場所を拒絶してしまった僕らが悪いんだ。


 ノリについていけなくなった。会話が怖くなった。話せなくなった。場所に行き辛くなった。そこで息が出来なくなった。そうなってしまった僕らが全部悪い。


 そう僕らが悪い。他の人が適応してるのに適応できていない僕らが悪い。距離感が掴めない僕らが悪い。


 人は人をどんどん乗り換えていく。そう誰かが言った。


 それを僕らは忘れていた。大事なことなのに。居場所の居心地が良いことを理由に。


 いや、僕らは悪くないか。僕が悪い。人を呼んでしまった僕が悪い。僕が悪いんだ。僕が全て悪いんだ。そう、僕が…


 違うだろ!!僕らは一切悪くない。責任転嫁と言われようが、僕らは悪くない。


 僕らの居場所を壊したやつが悪い。ノリを変えたやつが悪い。雰囲気を変えたやつが悪い。


 そうだ、やつが悪い。


 そう… やつが悪いんだ…


 違うな、やつは悪くなくて、人が僕らじゃなくてやつに乗り換えたのに嫉妬して、適応できなかった僕らが結局悪者なんだよ。


 僕らが子どもだっただけだよ。


 僕らも人の居場所を奪って居場所を作ってたのに、自分がやられると拒絶する子供だったんだよ。居場所に適応できなかった子供だったんだよ。大人になれなかった子どもだったんだよ。


 あぁ、きっと僕らはこうやって子どものまま居場所をなくした。

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子供な僕らの居場所 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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