俺、器用貧乏なんですよ。完結編。

さんまぐ

スカイタワー攻略編。

Reboot。

第1話 この男、器用貧乏。

これはとある器用貧乏の男の話。

この男が生まれる数年前、山に阻まれた北の国が肥沃な大地を求めて攻め込んできた。


そこで怪我をした1人の兵士を保護した女は自分の村に男を連れ帰り結ばれた。


閉鎖的な村の空気に馴染めない男はすぐに村から逃げ出した。

妻と生まれてきた後の器用貧乏を捨てて逃げ出した。


閉鎖的な村に素性の知れない男を招き入れた器用貧乏の母も針のむしろよような日々の中で逃げ出した男から聞いていた都会の暮らしに憧れて後の器用貧乏を捨てて逃げ出した。


村長をしている祖父母が器用貧乏を育てた。

閉鎖的な村、村人達は皆祖父母の親戚ばかりだったが器用貧乏の母が外から男を迎えたことを皮切りに外の人間を迎えて村は大きくなっていく。

そしてそれにあわせて村の治安や空気は悪くなる。


器用貧乏を守る大人は祖父母のみ。

その祖父母も村長夫婦の立場として必要以上には孫である器用貧乏を守れない。

故に物心がついた頃から虐げられ蔑まれた器用貧乏。


祖父母が亡くなると詭弁と都合の良い言葉で村中の緩衝材にされ労働力として搾取され続け更に今まで以上に虐げられ蔑まれた器用貧乏。

そこに都会に出て行った母が再婚相手と戻る。


これで多少は暮らしがマシになるかと思った器用貧乏だったが、それは甘い考えで何も変わらず数年して母の妊娠を機に村から追い出された。


器用貧乏もこれ幸いと村を捨てた。

ここで人生が変わると思ったが苦難の始まりにしか過ぎなかった。


初めは村から麓までの間に怪我をしていた男を助けた縁で師弟関係になり拳術と心を鍛えて貰った。

だが師匠は一年後に病で亡くなる。

再び世に出た器用貧乏は様々な職や師の元に弟子入りをするが生まれと育ちにより後見人もなければ身元を保証するものもなく、虐げられ蔑まれ使い潰され続けた事でNOと言えない性格、言っても無視されぞんざいに扱われ続けた器用貧乏は遂には遊びで命を狙われる日々に追い込まれる。


そして所属していた冒険者チームの全責任を負わされる形で流刑者としてダンジョン送りになった。


そのダンジョンの名はラージポット。

流刑者として貴族に入札された器用貧乏は落札価格を知らないが前代未聞に近い1,000ゴールドでの落札。

それは彼が属したチームR to Rのチームリーダー達が保身の為に貴族の問いに必要以上に器用貧乏の全てを話してしまったからであった。


技を持たぬが拳術を使いこなし、技を持たぬが剣術も使いこなす。

本来神殿で授かるはずの治癒魔術ヒールを独学で身につけ、攻撃魔術すら独学で身につけている事。


使い潰される日々、それに耐えている間に自ら身につけた独学の様々な術達。

希少だが学ぶものの少ない古代神聖語や古代語を正しく読み書き出来る。


だが器用貧乏は虐げられ蔑まれ続けた為に自分の価値を何も知らない。

売り込む術も知らない。


ラージポットに送られた器用貧乏は数々の奇跡を見せ、多数の運命の出会いを果たす。

運命の出会いにより苦難に立ち向かい、それにより奇跡を果たした器用貧乏は1人の少女と出会う。


少女は無限術人間。

相対的に無限に見える量の術を使い、無限に術を覚える存在。

少女との出会いが自身の成長を加速させ、遂には器用貧乏は無限術人間になる。


模式と真式。

ダンジョンから出るボーナスアイテム、無限記録盤と魔水晶や無限魔水晶を使った無限術人間を模式。

極度の緊張の中、虐げられ蔑まれ続けた中で自ら術に対応した身体に変質した存在を無限術人間真式と呼ぶ。


真式になった器用貧乏はラージポットを完全に救うことにする。


ダンジョンの生まれの意味を知った器用貧乏はダンジョンすら救いたいと言う。

そしてラージポットの生贄にされようとしていた人々を救い、更に無限術人間達を救うと言う器用貧乏。


この時期に無限術人間の製法が世の中に流出した。

1人の魔術師の愚行で流出した製法は器用貧乏が用いる製法とは全く違う。

覚書の通り作業を行っても成功はしない。

自身が行なっている作業の意味を考え理解する事が求められるがその点を知らない魔術師達の作る無限術人間は不完全で記憶の喪失の他に暴走の危険を孕んでいた。


器用貧乏はその全てを助ける為にラージポットを救う際に自らを狙わせて術人間達を再施術して自身の術人間にして保護もした。


これにより200人以上の術人間が保護をされ、ラージポットを救う事も成功した器用貧乏は安住の地を手に入れ、最愛の人達と暮らす事になる。


そして器用貧乏の願い。

全てのダンジョンを救いたい。

その言葉に向けて周りが動いていた。



「スードさん」

「ミチトか!?始まったぞ!ファーストテイクのオーバーフローだ!」


「見えています。今行きますから無理しないでください」

「確かにミチトが居てくれないとキツいけどやれんのか?昨日は予定通りならセルースの奴が見てたリブートストーリーのオーバーフローだろ?」


「大丈夫ですよ。だって俺、器用貧乏ですから」

器用貧乏…ミチト・スティエットはそう言って笑った。

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