第30話 猫貴族、冒険者登録する
同じクラスの生徒たちと自己紹介を終えた後、クルト先生はあとはお前らで適当にやってろよ~!鐘が鳴ったら帰っていいからな~と声をかけるなりどこかへと去っていった。
「ねーねールーク君!ティアちゃんとの話聞かせてよー!」
「自分だけ可愛い婚約者いるとかずるいっす~」
僕は今、女子とカイトにすごい勢いで詰め寄られている
アンナにクリストファーという婚約者がいたことで、他の女子たちに婚約者がいないのかという話になり、ティアが僕と婚約していると明かすと一気にこんな状態となった。
アンナという婚約者がいるクリストファーはというとルドルフと二人でニヤニヤとこちらを見ていた。
なぜ僕だけこんな目に…おのれ!
ジョセフの方はというと…未だアダンにまとわりつき、アダンの実家の料理がいかに素晴らしかったかを語っている。
僕もそっちに混ざりたいよ…
カイトを含む女子たちの質問をのらりくらりかわしていると、場所を変えてじっくりとお話をしましょうというアンナの提案で女子ともう一人はどこか近くのカフェへ移動するようだ。
やっと解放されたと思って周囲を見ると、もう誰も残ってはいなかった。
薄情者どもめ…。
気を取り直した僕は一度屋敷へ戻ってヴィクターと合流すると、その足で冒険者ギルドへ向かった。
「おそらく私がいるので絡んでくる輩はいないと思いますが、念のためお気をつけ下さい」
現在の僕は絡まれると悪夢を見させるか、相手を消滅させるかという物騒な解決手段しか持ち合わせていないため、絡まれるのは避けたいなと思いつつヴィクターの説明を聞いた。
ヴィクターの説明によると冒険者はG・F・E・D・C・B・A・Sの8段階のランクに分類されるらしい。
Dランクになれれば一人前、Aランクは超一流となるようだ。Sランクは大陸に5人しか存在しておらず、一国の戦力に比肩すると言われるそうだ。
また、Bランクからは国境を越境する自由が与えられ、厳しい審査なしに各国を移動できるようになるらしい。
「とりあえずはBランク目指して頑張らないとね。ヴィクターは今どのランクまで上がったの?」
「先日ようやくDランクへ昇格致しました」
え、登録したの一週間ほど前だよね?
それでようやく?僕の感覚がおかしいのかな?いや、でも悪魔だし…
「そ、そうなんだ。なら、ヴィクターについてけば安心だね」
そうこうしていると冒険者ギルドに到着した。
冒険者ギルドは二階建てになっていて、一階は受付のいる依頼受付、報告用のカウンターや依頼の張り出された掲示板、素材解体や買取を担当する三つのエリアに分かれていた。
二階は書庫やギルドマスターの執務室を始めいくつかの個室があるらしい。
受付を見ると、三つの窓口があるにもかかわらず、二つの窓口に行列が出来、残りの一つは閑古鳥が鳴いている状態だった。
「よぉ、坊主!見ない顔だな!ヴィクターの言ってた主ってのは坊主のことだな?」
閑古鳥が鳴いていたカウンターに向かうと屈強な身体でスキンヘッドのいかにもなおっさんが先に声をかけてきた。
なお、他の二列は美人な受付嬢が担当していた。
「そうです。ルークといいます。今日は冒険者登録をしに来ました」
「俺はエドモンドってもんだ!よろしくな!登録だな、規則についてはヴィクターに聞いてるか?」
「ええ、聞いてます。受けられる依頼はランクの一つ上まで。ただし、持ち込んだ素材に依頼が出されている場合は達成扱いとなるでしたか?」
「依頼の基本はそれであってる。あとは、冒険者に爵位は通用しねえ。必要なのは実力だ!ただし、Bランク以上になるには実力だけでなく、最低限の礼儀や知識が必要になる」
他に冒険者同士の争いには冒険者ギルドは関知しないなどの説明を受けた。
これだけを聞くと放置かよと思ってしまいそうだが、争いを極力減らすために、過去ギルドにあった酒場の撤去と、受付に必ず男性職員が一人はつくというルールが規定されたらしい。
「だからエドモンドさんみたいな強面の人が受付にいたんですね」
「がははは。そうゆうこった。お蔭でほとんど冒険者は寄り付かねえから暇で仕方ねえんだがな。じゃあこの紙に必要事項を記入してくれるか?」
渡された紙に名前、年齢、出身地を記入し、エドモンドへ返す。
すると、その紙を何かの魔道具に通すと代わりに一枚のプレートが出てきた。
「こいつは冒険者証だ!さっき書いた情報とランクが書いてある。あとはこいつにルークの血を垂らすと完成だ」
なんでもこの魔道具は古代のアーティファクトらしく、偽造や複製などは一切出来ない仕組みになっているそうだ。
「ありがとう。じゃあさっそく依頼を受けたいから何かおススメの依頼ないですか?」
「そうだな。ルークはある程度強いんだろうが、まずは王都周辺の地形を覚えることからやった方がいいだろうな。だから薬草採取とゴブリンの討伐の常設依頼でどうだ?」
薬草もゴブリンも王都近郊の森や草原の浅いところで見かけるらしく、土地を覚えながらこなすにはいいだろうとのことだった。
書庫で必要とされる薬草の形や、周辺の地理、過去出現した魔物などの情報を確認したうえで、クロエとヴィクターとともに王都周辺の森へ向かうことにした。
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