第26話 猫貴族、友達が出来る


解放された僕はさっさくプランBを発動することにした!

プランBとはずばり、ボッチ仲間を見つけ声をかける、名付けて「ボッチ仲間は友達作戦」である。


まずはお皿に料理を盛り付け、人がいない壁際へ移動し、全体を観察する。


(陛下への挨拶もそろそろ終わりそうだな。もぐもぐ…しかし美味いなこの料理。流石は王城で出される料理なだけあるな)


「……てる?」


(やっぱり料理はこっちの世界の方が美味いな。バリエーションは余裕で前世の方が多かったけど、こっちの食材の方が質が上だな。)


「……聞いてる?」


(不思議だよな。魔力を帯びてるからなのか魔物食材が半端なく美味い。…ん?誰かなんか言ってる?)


「おーい!さっきから話しかけてるんだけど聞こえてる?」


「あーごめんね。あまりにも美味しいから夢中になってたよ。あはは」


友達を作るという目的を忘れ一心不乱に王宮の食事を堪能していると、

いつの間にか隣には銀髪で一見クールそうな男の子が皿を片手に話しかけてきていた。


「いやー周りに見向きもせず一心不乱に食べてるから気になってね。僕はルドルフ。ルドルフ・ブローニュ、よろしくね。ロッソ辺境伯家の子だよね?」


「これはどうも。僕はルーク・ロッソ、ロッソ辺境伯の次男だよ。ブローニュ家と言えば西の辺境伯家だよね?同じ辺境伯家の息子同士よろしく」


(もしかしてこれは友達ゲットチャンスでは…?)


「どうして一人で食べてたんだい?みんな人脈作りに奔走してるってのに」


「気付いたらみんなグループになってたから、一先ず様子を見ようと思ってね。そしたらご飯に夢中になってたよ。そういうルドルフ君も一人じゃないか」


「ウチは中立派だからあまり派閥争いに巻き込まれたくなくてね。でも一人で食事に夢中になってる面白そうな子がいたからついつい声をかけてしまったよ」


話してみるとルドルフはクールな見た目とは裏腹に、明るく社交的そうな奴だった。

派閥争いも頭に入れて、一人でいた僕に声をかけてくる辺り、ただ明るいだけではないとは思うが…。


(これは是非とも友達になっておきたいな)


「おい。ロッソ辺境伯家の息子ってのはお前か?」


せっかく人が楽しんでたというのに丸々とした子どもが声を掛けてきた。


「そうですが…どちら様で?」


「このスッカラーン伯爵家のノーナイ様のことを知らんとは。これだから田舎者は困る」


「こちらが話し込んでいたところにいきなりやってきて失礼では?」


ルドルフが間に入って諫めようとしてくれるものの


「確かお前もブローニュ辺境伯家の息子だったな。揃いも揃って田舎者どもが。お前たちは早くあそこにおられるマクレガー公爵家の後継者であるブランデン・マクレガー様に挨拶せんか」


スッカラーンから言わせると辺境伯の方が爵位は上だが、辺境の田舎者であるため、中央に近い伯爵である自分の方が偉いのだそうだ。

よく見るとスッカラーンの後ろの方で、マクベス公爵家の息子も他の取り巻きとともにこちらを見ている。

更にその後ろではティアが心配そうにこちらを見ている。


(なるほど。ティア関連で僕に話があるってことか…)


「お断りします。もう既に両親とご挨拶に伺いましたので」


「なんだとぉ!せっかく声をかけてやっているというのによくも恥をかかせてくれたな!決闘だ!決闘でスッカラーン家の恐ろしさを思い知らせてやる!!」


スッカラーンが大きな声で騒ぐせいで周囲の注目が一気にこちらへ向いてしまった。


(穏便に収めるのは難しそうだな…)


しかし、このままこちらも舐められたままでは困る。

常々父さんからは貴族は舐められてはならん!と教えられてきたこともあるし、あまり目立ちたくはなかったんだけど決闘するしかないか…。


「なにやら物騒な話をしておるの。決闘をするやらなんやらと聞こえたが」


陛下がマントをはためかせながらこちらへ歩いてきた。


「こ、これは陛下。こちらの田舎も…いえ、ロッソ家の者が私に恥をかかせましたので一つ懲らしめてやろうかと思いまして」


「ふぅむ。こう言っておるがルークも決闘でよいか?」


(これは叩きのめせって意味かな?父さんは…っと)


慌てて父さんを確認すると、口パクでこちらへ何か伝えてくる


(「こ・ろ・す・な・よ」か…あれを試すいいチャンスでもあるしここは決闘で一つ叩きのめすか)


「承知致しました。ただ、決闘を吹っ掛けれてこちらも迷惑しておりますので、勝てば今後スッカラーン家はロッソ家及び、その関係者には不干渉として頂きたく」


「な、何を勝手なことを!」


「スッカラーン家の要求で決闘をするのじゃからロッソ家の要求を認めるのは道理よの…。よし、わかった。その条件で騎士団の修練場にて決闘するがよい」


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