第25話 猫貴族、お披露目会に参加する
翌日夕方、お披露目会に参加するため父さんと母さんの三人で王城へ向かっている。
今日はクロエと別行動だ。
いつもの様に肩に乗せていくのは論外だし、魔法で影に潜るにしても、王城内には魔法を無効化するアーティファクトがあるらしく、神獣の魔法に効くかは微妙ではあるが無用なトラブルを回避するためにも断腸の思いで屋敷においてきた。
「王城からなんだか不思議な魔力を感じるんだけど」
「ん?そうか?父さんは何度も行ったことがあるが特に感じたことはないけどな。もしかすると王家だけが知る警備用の魔道具かアーティファクトなんかがあるのかもしれんな」
(なんだか感じたことのあるようなそうでもないような…)
「ところで今日はしっかり頼むぞ。まぁルークは年の割にしっかりしているからあまり心配していないがな」
「そうね~。どちらかと言うとお友達が出来るかの方が心配ね~」
(ふっふっふ。甘いな母さん。僕がどれだけ友達を欲しているか理解出来ていないようだね。今日のルーク・ロッソに死角はないのだよ。)
……そう思っている時期が僕にもありました。
(なんじゃこれえええ!!もう既にグループ出来てるじゃん!焦るなルーク。こうなったらプランBだ。)
「ルーク?何変な顔してるの?ご挨拶に行くから早くいらっしゃい」
「失礼しました。母さ…母上」
何人かの貴族と挨拶を交わしたころ、主役が登場した
「国王陛下並びに、王妃様、クリストファー殿下のご入場です」
一斉に貴族が跪き、国王陛下のお声掛けを待つ
「面をあげよ」
元日本人の僕からしたら頭を上げそうになるが、一度目で上げてはダメらしい
「面をあげよ。楽にしてくれてかまわん」
顔を上げると、金髪にオーラバリバリの50歳ぐらいの男性と、白髪を後ろでまとめた上品な女性、金髪長髪でザ・王子様といった感じの子どもがそこにいた。
国王陛下は一度全体を見渡し…え?こっち見てる?口元笑ってない?
「皆の者、この国の未来を担う子どもたちのために今日はよく集まってくれた。見て分かる通り、今日は孫のクリストファーも参加する。よろしく頼むぞ。今日は存分に楽しんでくれ」
目があったことなんてなかったかのように威厳ありありで話し出した国王陛下。
クリストファー殿下は王太子の第三子で光魔法の使い手としてかなり優秀らしい。
ちなみに王太子夫妻は公務で友好国へ出向いているため不参加とのこと。
陛下のお言葉が終わると皆が国王陛下への挨拶のために動き出した。
まずは公爵家からになるが、今日参加する公爵家はあのマクベス公爵家とティアのネーロ家の二つだけだ。
さっき聞いた話だが、マクベス公爵家はやはりティアに婚約話を持ち込んできたらしい。
しかもかなり上からの物言いで、貰ってやってもいいとかなんとかほざいたとのこと。
(襲撃のこともあるし、いつか痛い目見てもらうからな。覚えてろよ。)
続く3つの侯爵家の挨拶の終わり、ロッソ家の番が回ってきた。
「ご挨拶失礼致します。ご無沙汰しております、陛下、王妃様。そしてお初にお目にかかりますクリストファー殿下。グレン・ロッソに御座います。こちらは妻アリアと次男のルークでございます」
「うむ、久しいなグレン。しかしそなたが辺境をしっかりと治めてくれているが故に国が成り立っているのはよく理解しておる。それに面白そうな息子を連れてきたようじゃの」
(またニヤッとしてるよ…。やり過ぎないように挨拶して誤魔化そう!)
「お初にお目にかかります。グレン・ロッソが次男ルーク・ロッソで御座います」
「ルークは色々と起こしそうで先が楽みじゃの。クリストファーとも仲良くしてやってくれ」
「クリストファー・ビヤンコだ。これからは同じ学園に通うことになる。是非仲良くして欲しい」
「願ってもないことでございます。どうぞよろしくお願い致します」
挨拶も無事?済んだので陛下の御前を辞去する
よーし!友達作るぞー!
え、クリストファー殿下はって?いやいやあれは社交辞令でしょ。
僕は絶対に友達を作るんだ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます