第5話 明るい未来

 冴子のマンションの地下駐車場にメルセデスベンツのユーザーが1台増えた。

 B3ー204。冴子のメルセデスと色は違うが同じ車種である。

 納入したのは雨宮翔馬である。翔馬は冴子に納入したしたことをきっかけに、マンションの住人の一人と商談が成立し納入に至った。

 冴子のメルセデスに興味を持った女性に、翔馬の勤めるデイラーのことを話したことがあった。別に翔馬を紹介したつもりではないが、優秀な営業マンの翔馬の努力が実り、彼の成績に貢献した。


 その女性は五反田駅近くに小料理屋を営み、投資にも成功した優れた女性経営者であった。

 年齢は40歳前後と思われる。美しい顔立ちの中に好色な部分を併せ持ち、男を引きつける魅力をもつ。前歴は不明だが店の客に上場企業の役職者が多いことからみると、銀座か赤坂などの一流の店に勤めていたのだろう。


 彼女の店に翔馬が訪れるようになった。営業の一環として彼女の持つ客に興味があった。優秀な経営者の女性と優秀なビジネスマンの翔馬が男女の関係になるのはごく自然な流れであった。

 女性のマンションに翔馬はほぼ毎日現れるようになっていた。


 彼女は帰りが遅い。翔馬が女性のマンションを訪れるのは朝である。翔馬は10時に会社を出る。外勤がほとんどであるから毎日、決まった時間に彼女のマンションを訪れる。10時30分。定刻通りである。翔馬は彼女から有力な顧客の情報を得た。


 明日も二人はこの部屋で逢う。熱くて激しい戦いが待っている。奇しくも冴子と敦也の部屋の真下に位置する。熱い上下の戦いが始まるのを今はまだ知らない。

 冴子も翔馬も。


☆☆☆


 俊介は両親と、私立中学校に合格した時はご褒美として、スマホを買ってもらう約束をしていた。しかし私立中学校を諦めた今はそれも断念しなければならない。

 だが俊介は諦めきれない。両親は諦めた。どうせいつかは買い与えなければならない。

 その日3人でdocomoショップへ行った。docomoショップはショッピングモールの中にあった。

 ショッピングモールの中央の広場に3人の少女たちがいた。杏里とそのグループである。俊介の両親は少女たちの姿を発見するもう濡れていた。


 俊介はトイレに走った。冴子の体は毎日見ているが、今見た少女たちにも同じく体が反応した。少女たちの濃い化粧と短いスカートにむき出しの脚、たまに下着も見える。俊介には十分な刺激物であった。俊介は女に反応する敏感な神経を身につけていた。素早い反応は女を見ればすぐにできる優れた能力、と言えなくもない。俊介の未来は明るい。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る