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『あの、あ、ありがとうございます・・・。』
この時代に湿布やテーピングは無いのかお医者さんには葉っぱをすり潰したようなものを足首に塗られ包帯でぐるぐる巻きに固定された。心なしが足がスースーするので効き目はありそうな気がする。
『あとは医者からもらったこれを飲むとよい。』
時継様から白い紙に包まれた白い粉薬とお水を渡された。
『痛み止めだ。さ、早く飲みなさい。』
・・・・・。
時継様が悪い人でない事はすぐに理解出来たけどだからって正体不明の白い粉を飲むのは正直気が進まなかった。
『飲まなきゃ・・・ダメですかね?』
恐る恐る聞いてみる。
『お主、時継様の言う事が聞けぬというのか!』
近くで一部始終を見ていたお侍さん1号にまた怒られた。
『秋道(あきみち)、大きい声を出すな!怖がっているではないか!ここはいいから、一旦下がれ!』
『し、しかし!・・・はっ。』
お侍さん1号は秋道さんというらしい。
時継様の有無を言わさない怖い視線を受けて秋道さんは何か物を言いたそうに私をガン見して部屋から出て行った。
あの人絶対私の事嫌いだよな・・・。
『どうして飲みたくない?毒だと疑っておるのか?それは困ったな・・・。』
そう言うと時継様は少し考えこんでからうなづいた。
『では、こうしよう。』
ごっくん。
『え。』
出していた白い粉薬を私の目の前でお水と一緒に一気に飲み干した。
『どうだ、なんともないぞ。これは毒ではない。安心して飲むのだ。』
そう言うと新しい包みを私に差し出してくれた。
この人、本当に心配してくれてるんだな。
なんだかとても申し訳ない気持ちになってしまった私は水が入った入れ物からコップっぽいものに水を注ぎ薬をしっかり飲み込んだ。
に、苦い。
あんまり飲んだ事ないけど漢方チックな激まずな味がした。でもまあまずいほうがよく効くと言うし。
『よし、よく飲んだな。』
そんな私を時継様は終始穏やかな顔で見守ってくれた。
『今日は疲れただろう。話は明日聞く。ご飯や着替えなどはすぐに持ってこさせよう。今日はこの部屋でゆっくり休みなさい。しかし・・・。』
『・・・しかし?』
『面白いものを着ておるな。』
面白い?
今自分が来ているのは完全な寝巻きの一部でよくあるグレーのパーカーとスウェットのズボンだった。
ズボンはまあ袴と似ているし、パーカーの事かな?確かに時代劇にパーカーは合わないわな・・・。
手当をしてもらった今でも自分自身がどんな境遇に立たされているのか全くもって想像つかなかった。
この数時間で分かった事は目の前にいる時継様がこの空間では一番偉くて、私に対しても一番優しい人物であるということだけだった。
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