【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。
望月ナナコ
プロローグ 【働き詰めの毎日から逃げたい】
毎日朝早く起きて、クタクタになるまで働いて、終電近くに帰る。
それが私のルーティーン。
わかってるつもりだ。
今の世の中、仕事があるだけましなんだから。仕事が激務でも、通勤時間に往復3時間かかっでも、上司にセクハラ、お局にパワハラされようとも、給料が薄給だったとしても、まだましだ。大変な人なんて、もっと沢山いるんだから。
そう自分に言い聞かせ、なんとか毎日を送っていた。
でも時々1人の時間が出来てしまうと思うんだ。
一体何のために、私は生きてるんだろう。
一体誰の人生と比べ安心してるんだろう。
苦しいと言葉にしてしまったら、今まで無理やり止めていた気持ちが一気に溢れてきてしまいそうで自然と自分の気持ちに蓋をする。
このまま、歳とっていくのかなあ・・・。
何が幸せかわからないまま。
欲しい幸せが何かでさえわからないまま。
◇ ◇ ◇
第五次世界恐慌が起きてからこの国も他国にもれず日に日に不況になっていく。
いつも行っていた商店街はシャッターが閉まっている店舗も増えたし、そもそも夜はどこのお店もやっていない。
有名な大企業でさえ早期退職者を募ったり、不採算店舗をどんどん閉店させていく。
そんな中、私が勤めている会社は周りの影響をもろともせず、仕事量は常に増加傾向にあった。
家に仕事を持ち込む事は増えたけど、私の仕事に対するストレスは一向に減ることは無く夜一杯ひっかけながら仕事をやるのが日課になっていた。
こっちは絶賛サビ残体制な訳だし、仕事さえきっちりやり遂げればアルコールが入ってるとか入ってないとかは関係ない。そこんとこはゴチャゴチャ言わないで欲しい。
よし、終わった・・・。
金曜日の日付が土曜日に変わった頃、持ってきた仕事が全て終わり身体中が開放感と達成感でみなぎった。
誰も褒めてくれないから自分で自分を褒めるんだ。よくやったぞーわたし。
外に出ると今日は満月。綺麗なお月様を見ながらほろ酔い気分でコンビニに向かいご褒美のデザートと缶チューハイをしこたま購入し上機嫌で帰路につく時だった。
ん?・・・なんだありゃ・・・。
そういえばこのコンビニの横には何故か大切に祀られてそうなお地蔵さんがいるんだよね。
いつもチラッと目にするだけだったけど今日は違った。
何故ならお地蔵さんがいるはずの場所が見たこともない青い光を放っていたからだ。
思わず目をこする。
夢見てる訳じゃなさそうなんだけど・・・。
普通なら夜にお地蔵さんの前が青く光ってる訳で怖くなって走り出すとか、隣がコンビニなんだから従業員を呼びに行くとかなんか違う方法があったと思う。
でもその時は飲んでたせいか興味のほうが勝ってしまい私はズカズカとその青い光の方に歩いて行った。
・・・あれ?
近づけば近づく程何故かその光は薄れていきお地蔵さんの手前に着いたときには青い光は消えていた。
やっぱり夢だったのかな・・・まあいいや、せっかくだしお祈りでもしとこ。お地蔵様。いつもお世話になっております。来世は是非、こんなに働かなくてもいい人生が送れますように。美人に生まれてお金持ちのイケメンと結婚して何不自由なく生きていけますように・・・。
無事にお祈りを終えたと安心し目を開けた途端、さっきまで消えていた青い光が突然私の周りを包んだ。不意に自分の身長が小さくなっている感覚に襲われる。
えっ!?何これ、ちょっ、ちょっとぉー!?!?!?
感覚、なんかじゃない。
気づいた時にはもう遅かった。
自分の真下に現れたブラックホールみたいなのを一瞬確認した隙に私はあっという間にそのままその中に吸い込まれていった。
お地蔵様の残像を見上げ手を伸ばそうとしながら私はそのまま意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます