Grievous Witches
アルニクツエル
プロローグ
魔法という物が当たり前になりつつある現代社会に私は産まれた。
貴族社会が今なお生きている現代で貴族は優秀な魔導士の育成は急務だったらしい。
程度の差はあれどデザインチャイルドは当たり前のご時世だ。勿論表沙汰になれば不味かろうが我が家はどうやらそこそこ地位があるらしく握りつぶせるらしい
とりわけこの家は特殊な魔法を使えるらしく幼い頃から天才と称される兄と比較され私は無能と言われ続ける生活を送ってきた。
私の名前は『ソフィア・フォン・シュヴェリーン』シュヴェリーン伯爵家の長女で白髪赤眼の今年で5歳の少女だ。
「お嬢様!?またそんな所に!お傍付きの私が怒られるのですからおりてきて下さいよ!」
「別に良いじゃない、どうせ私が居なくなったところで。この家の人間は無能が一人消えた程度にしか思わないわ」
傍付きのメイドであるアメリアが屋根の上で日向ぼっこしている私を見つけ、下ろそうと上ってきている。今日で退職して年金生活すると言うのに殊勝なメイドで母からの愛情を受けられなかった私にとっては母替わりだ。
「本当にここから出ていくんですか?」
「えぇ、自分の娘を信じない上に無能無能と蔑む家族と住んで居たくは無いもの。大丈夫よ、もう私は誰にも負けないわ」
「お嬢様が本当にお強くなられたのは存じておりますが…せめて成人してからとかでは駄目なのですか?」
「無能と思われている今しかないと思う」
物心ついてから私は血のにじむような努力の末に私は家を出て一人で生きていけるだけの魔法の腕と知識を手に入れた。最初こそ魔法は何も使えなかったがなんて事は無い単純に大器晩成型だっただけだ。普段は
「私は魔法補助のM.A.Fを持っていなくても血統魔法のディメンショナリーは使えるから位置座標が分かれば空間転移が出来る。これが無かったら家を出る何て考えてないしね」
私には殆どの魔法を使えないが誰も使えない魔法と自負している魔法を使える。空間転移もその一つ。
魔導士の中には血統魔法と呼ばれるその血統の人間しか使えない魔法がある。貴族はほぼ全員がその血統魔法を使用することが可能だが私は要はそれが使えないと思われた訳だ。通常の魔法も碌に使用できない上に血統魔法も使えないと思われたら魔法としては終わりだろう。
部屋に戻った私は転移先で使えるお金や衣服と言った物とサバイバルグッズを背負う。サバイバルグッズはアメリアの死んだ祖父が趣味で使っていた物らしく使う人がいないという事で買い取ったのだ。
「何から何までありがとうアメリア」
「大丈夫です、私もお嬢様に対する旦那様方の対応は少々見ていられないものがありましたから…」
赤ん坊の頃から私のお世話係のメイドと別れの挨拶を簡単に澄ませ。魔法の術式を構築を開始する。
アカシックレコードにアクセスし位置情報を元にその地点に自己情報を移動する。
「魔法術式構成終了…またいつか必ず会いましょうアメリア」
「日本でもお元気で、お嬢様なら心配いらないと思いますが」
「8歳の女の子にそう期待しないでよ。じゃあね」
その言葉の後魔法が発動しその少女は始めからいなかったかのように書き消えた。
「私も実家に戻り年金生活をするといたしましょうか」
傍付きのメイドを残して
まだ午前中だというのに薄暗い空模様の下、大規模な魔法の行使が行われた。
数瞬前まで起こっていた轟音がきれいさっぱり消え去る。
一人の少女が膝から崩れ去る、彼女の特別な力を併用し情報量に耐え切れず彼女は魔法を発動し終わってすぐに脳が焼き切れてしまった。
脳の損傷だけでなく真新しい幾つかの銃痕もその少女の体についている。
その白髪の少女とは対照的な色をした少女が駆け寄り、倒れた少女を揺すり起こそうとする。
脳の損傷だけでなく真新しい幾つかの銃痕もその少女の体についている。
「起きて白亜、ねぇ起きてよ」
以前から少女は白亜と呼ばれた少女の魔法の危険性を知っていた。そしてその強力なデメリットも。
白亜の魔法を知る数少ない彼女だがそんな事は起きないと高を括っていた。苦労を顔に出すことは無かったが、それでも白亜はその魔法を人にバレない様にこそすれ多用していたのを見ていたからだ。
彼女は白亜と呼ばれた少女なら私の為なら何だってしてくれ、いつもそばに居てくれると。そう思っていた。そしてその関係が永遠に続くとも。
「起きなさい白亜、私が呼んでいるのよ!」
光を失った瞳を開けたまま白亜はピクリとも動かない。その人形のような顔に水滴が落ちる
「私を…私を置いていくの?誓ったじゃない……貴女の永遠は私の物私の永遠も貴女の物だって…あの言葉は嘘だったの?私をあのどん底から救い出してくれた貴女が何で…」
ポツポツと降り始めた雨粒は直ぐに大粒の雨粒となり少女達に降り注ぎ。
少女の鳴き声は大勢の足音と雨音にかき消された
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