第十七話 救世主万歳

 フランスからのミッションを確認した後、急いでギルドに行き、フランス宛に資源チップを納品した。

 いやぁ、久しぶりに焦ったね!


『ミッション 【救世主万歳】

 資源チップを納品しましょう

 鉄鉱石:10枚 食糧:50枚 エネルギー:30枚 希少鉱石:10枚

 非鉄鉱石:10枚 飼料:30枚 植物資源:30枚 貴金属鉱石:10枚

 汎用資源:10枚

報酬 19000ユーロ

依頼主:フランス共和国32代大統領フランソワ・メスメル

コメント;TOMOME、君だけがフランスの希望だ! 愛してる!!』


 よっぽど追い詰められてたんだなー。

 そして報酬がしょっぱい。

 ジャンボジェット機を複数機ポンッとくれる日本を見習えよなー!

 とりあえず、今度からはミッション報酬に換金物資を用意するよう伝えて食堂に戻る。

 もしも俺が序盤に死んで、高峰嬢一人になっていたら、日本もあんな感じになっていたのか?

 もしかしたら在り得たかもしれない惨状に、思わず背筋が冷えた。


 食堂では、俺が少し席を外していた間に、すっかり空気が重くなってしまったようだ。

 片隅のテーブルでトランプしている従者ロボの音しか聞こえない。

 重苦しい静寂が場を支配していた。


「ははは、二人ともすっかり打ち解けたみたいだな!」


 心にも無いことだが、言わないと本格的に日仏冷戦が勃発してしまう。

 なぜここまで彼女達の機嫌が悪いのかは謎だが、仲間になったのだから、ある程度は関係改善して貰わないと俺が困る。


「白影、もう少し…… 高峰嬢に対して警戒を解いてやってくれないか?

 頼むよ、本当に、お願いだから、なっ?」


 とりあえず危険度の低い白影に頼み込む。

 コミュ力もカリスマも持ち合わせていない俺にできることは、拝み倒すことだけだからな!!


「うっ、うぅむ…… 別に、警戒していた訳ではござらんのだが…………

 主の忍びなれば、主の命に従うのは当然。

 拙者、頑張ってみるでござるよぅ」


 白影は少しだけ渋ったものの、俺を主と仰いでる自己設定上、俺の頼みを無碍むげにできなかったようだ。

 妄想癖も、こういう時は便利だなー。

 よし、まずはNINJAが堕ちた!

 ちょろいわ、こいつ!!


「よし、高峰嬢も、なっ?

 頼むから、仲良くしてくれよー

 お願いだよー」


 いつもなら、ちょっとお願いすれば、素直に言うことを聞いてくれる高峰嬢。


「…………」


 しかし、今回に限っては、仏頂面でそっぽを向いてしまった。

 やはり、何の相談もせずに白影を仲間に引き入れてしまったことで怒っているのだろうか。

 それとも俺の知らないところで、白影と因縁でもあったのだろうか?

 どちらにせよ、ここは真摯に接した方が良いだろう。

 なにせ俺は紳士だからっ!!


「高峰嬢、今後のダンジョン探索を考えると、君と従者ロボだけではどうしても戦力が足りない。

 今回の魔界を見ても思っただろう?

 明らかに第1層と比べて、魔物の数が増えている」


 第1層では、多くても1000体ほどだった魔物。

 それが第2層では、7000体の旅団規模にまで増えていた。

 如何に超戦力を有していても、高峰嬢が近接戦特化である以上、対処には限界がある。

 

「これからもダンジョン探索を続けていく以上、戦力の強化、人員の増員は必要なことなんだ。

 もちろん、俺としては直轄戦力の増員はこれ以上考えていない。

 あるとしても同盟関係として、連携するという形になるだろう」


 今は人類同盟、国際連合、第三世界の諸国家とは距離を置いているが、いずれダンジョン側兵力の拡大によって、連携を取らざるを得なくなる。

 そんな時、今のようにいちいちヘソを曲げられていては、人類に勝利はこないだろう。


「だからさ、お願いだよ高峰嬢。

 今後のためにも、白影、アルベルティーヌを受け入れてくれないか?」


 俺のお願いに、高峰嬢は困ったように目じりを下げる。

 釣り目がちなパッチリおめめの高峰嬢も、今だけは垂れ目みたいになっている。

 やがて、彼女は深い溜息を一つ吐いた。


「………… はぁ…… しょうがないですねー、ぐんまちゃんは」


 やれやれとワザとらしく首を振りながら、高峰嬢は苦笑いを浮かべた。


「もうこれ以上、変なのを拾ってきちゃ駄目ですよ?

 変なのが変なことしないように、ちゃんと注意してなきゃ駄目ですよ?

 絶対に、私から離れていったら駄目ですよ?」


「はーい!」


 気分は捨て犬を拾ってきた小学生だ。

 高峰嬢の言葉に元気よく返事をするしか、俺にできることはない!


「ぐんまちゃんは全く、本当にしょうがない人なんですからー」


 そう言ってキッチンに向かって言った高峰嬢。


「拙者も手伝ってくるでござる」


 この機会に仲を改善しよう思ったのか、白影も彼女の後を追ってキッチンに入っていった。

 食堂に取り残される俺。

 気づけば俺の隣に美少女1号が座っている。


ガンッ!


 思い切り叩きつけられる美少女の脚部装甲。

 その下敷きになる俺の足。


「イッタ!? イッタァァ!!? イッタアァァァァァァァァァ!!!?」


 あまりの痛みに床を転がるが、美少女1号は気にした風もなく、トランプをやっている仲間達の元へ戻っていく。

 えっ、なに?

 反抗期なの?


 俺は高峰嬢達が料理を作り終えるまで、ずっと床で蹲っていた。

 暴力は駄目だと思います!


『上野群馬 男 20歳

状態 肉体:疲弊 精神:疲弊

HP 7/9 MP 25 SP 6/14

筋力 11 知能 18

耐久 9  精神 17

敏捷 11 魅力 11

幸運 20 

スキル

索敵 80

目星 20

聞き耳 50

捜索 45

精神分析 15

鑑定 40

耐魔力 15』


『高峰華 女 20歳

状態 肉体:健康 精神:消耗

HP 30 MP 1/2 SP 30

筋力 32 知能 2

耐久 28 精神 24

敏捷 32 魅力 20

幸運 4 

スキル

直感 75

鬼人の肉体 10

貴人の一撃 75

貴人の戦意 85

我が剣を貴方に捧げる 9

装備

戦乙女の聖銀鎧

戦乙女の手甲

戦乙女の脚甲』


『アルベルティーヌ・イザベラ・メアリー・シュバリィー 女 19歳

状態 肉体:健康 精神:疲弊

HP 12/14 MP 3/10 SP 12/18

筋力 16 知能 12

耐久 16 精神 6

敏捷 26 魅力 19

幸運 4 

スキル

超感覚 25

隠密行動 25

投擲 15

耐炎熱 20

無音戦闘 15

妄執 45

装備

黒い頭巾

黒い装束

黒い手甲

黒い脚甲』



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