終わってからの道

数年後


私の目の前には蒼白色のロングヘヤーに黄金の瞳を持つまだ幼くも凛々しい少女がいる。


その名はアロエ、見た目も性格も正反対のように見えて、実は結構似ている。


とても可愛い子。


今日は珍しくもアロエが嬉しそうに私にの前に来た。


これでもクールな感じを出しているんでしょうけど私には嬉しそうにしか見えないわ!


「では、約束通り教えてください。先生の先生について」


そう彼女は呟いた。


ちょっぴり、息が詰まる……


でも、分かっていることなの。


それにしても先生の先生か〜


「フフッゥン〜」


つい笑い声が漏れてしまった。


「なんですか?先生。急に笑い出して」


本当に不思議そうに聞いてくる。


ほんとそうなんだろうけどね。


まぁでも、先生の先生かぁ……


もうそんなにたったんだねぇ〜


まだ笑いを堪えきれない声で言う


「先生の先生だなんて、おかしいねぇ」


「先生今回こそは誤魔化さないでくださいよ?」


「はいはいわかってるよ〜」


全く用心深い弟子だわ、先生悲しいなぁ。


今回は、ちゃんと心の準備してきてるから大丈夫よ。


今回は。


…でもどうやって切り出すか考えてなかった……


えぇえぃ!こうなったらいつもの!


「じゃぁまず質問だよ。数年前に起きた革命についてどう思う?」


質問からスタートだ⭐︎


少し考えた様子だったけど、すぐに答えは返ってきた。


「3年戦争ですか?2年と2ヶ月と10ヶ月で終わったものですよね。」


「そうだよ〜」


おみごと!


さすがだねぇ〜


さぁここからが考え所だ。


どう攻めようか……


…ここはあえて無言で!


何とかなるでしょ?


「…教科書には、多くの事が書かれていません。最初は先の時代を終わらせた賢王として出てきて、次の瞬間には強欲に、権力に溺れた愚王として出てきます。」


ほら言ったとおりだ!


うんうん 


その可愛い声を沢山聞かせてくて〜


さぁ続けて!


「たしかにそうではあるけども、かの王は本当の賢王でした。誰にも思い付かないようなことを瞬きをする間にあらゆる事を変えていきました。」


「しかし、教科書にはその内容が最底辺の事しか書かれていませんでした。」


「まるで誰かが消したように……」


「…かの王が、権力に溺れた事が本当に残念だと思いました。」


…分かっていたんだけどなぁ………


……分かっていたはずなんだけどなぁ………


つらいなぁ………………………………



切り替えて、大丈夫。大丈夫。


私は大丈夫だった。彼も大丈夫だった。


失敗を2度と…2度……しないように……


これからやるんだから……


思いっきり笑顔でこう言う


「正解ー!すごいね!そこら辺の学者ですら知らない事も……」


そしてあの質問の答えも!


「まぁここまで来れば分かると思うけど、その愚王が私の先生だよ」


取り敢えず第一関門突破…ってとこかな?


「先生は知り合いだったのですね……」


「うん、幼馴染でもあるよ」


あれ?あんまり驚いてないよ?


ははぁ〜ん


さては予想してたなね?


驚きを与えられただけでもいい方かな。


「ほんと驚いたんだよ〜よく愚王が変えてきた事を調べあげたなぁ〜って。」


「いつのまにか出てきたものが、いつ出てきたのか気になる事があったので」


「さっすがぁ〜私の弟子1号君だ〜」


本当にすごい!


私ならまだ泥遊びしてた自信があるね!


「私は最初の弟子じゃありませんよ。」


「でも最優秀な弟子じゃん。」


あっ!気まずそうな顔したぁぁぁぁ


可愛い!優しい子だ!好きだ!末長くお願いします!


…ちょっと、ほんのちょっぴり、暴走しちゃったかも……


おっほん


そんな君にさらなる追い討ちを!


「そして!そんなアロエ君には特別にいい事を、教えてあげよう!」


あぁぁぁぁ驚いてる!


驚いてるよ!


いったいいつぶりだ?


1年か?2年か?それとも2ヶ月か?


2ヶ月だったわ


さぁさぁ次のだ!次!


「愚王は権力に溺れたんじゃなくて、溺れるように見せかけたんだよ」


納得のいった顔してる、わかりやすいなぁ〜


「……さぁ想像はついたかな?」


「そっそうやって国に消されそうな事を教えるんですか!?」


「天才ならいずれ気づくし、時間の問題でしょ?」


「でっでも」


真面目だなぁ〜


バレなきゃ犯罪じゃなですよぉ〜


って名言があるでしょ!


「それに!君は国を築いていく1員なんだからね!これぐらいショートカットしよう!」


納得のいった顔をして……考え事かな?


もしかしてもう終わると思ってるぅ?


思ってるね!


すかさず追撃


「そして2つ目だ!」


「まだあるんですか⁉︎」


おっ


これはツッコミのような驚き。


珍しい。


これだけで、いいわ。


今日の生きる価値だわぁ


はい終わり!ご飯食べよぉ〜


と言いたいとこだけど、追撃⭐︎追撃⭐︎


「誰かが消したようにって言ったけど、それ消したの愚王だから」


驚いてる?めちゃ驚いてる!


予想すらしてなかったな?


まったく、まだまだだねぇ


これだから私がいないと…………


はッ


今何を?


取り敢えず続きを


「たしかに愚王は死んだってされてるけど死体見つかってないよね?」


「そっそれは最後の一撃で城もろとも消えった」


「でも死体見つかってないよね?」


「………………」


「アロマ君が勝手にそう思い込んでただけじゃん」


「誰だってそう思いますよ……」


「所詮アロマ君もまだまだって事だね!」


かわいいぃ‼︎!


何この生き物!?


頬っぺたがむくーって!


むくーてしてるよ!


これは永久保存版だね!


そんな事を考えていると、いきなり手を引っ張られた。


転びそうになったけど、何とか立て直せた。


「わぁわぁ ちょっといきなり引っ張らないでよ」


「知りません、さぁ質問は終わりました。」


もぉ酷いよいきなり引っ張るなんて


「さぁ次の試験へ行きますよ!」


えっ?


いや


「それは私が決める事!」


「関係ありません。」


えぇ……でも私が先生であり、師匠でしょ?


さぁ今日は奢ってもらいますよ。


何故いきなり話変えるの?!


拒否権はあげませんよ‼︎


普通は奢らせるものじゃなくて奢るものでしょ


それとこれとは話が別、ってやつです。


それにお金沢山持ってるでしょ?


奢る飯と奢られる飯じゃ味が違う!だから奢るべきだ!


知りませんよ!大体いつも……………


何おぉ虐待反対!いじめ反対!


そんないつもの流れの様な会話で、時間は過ぎていく。


本当に最高で可愛くて、1番の弟子だなぁ


それにそしても、先生の先生か……


本当に時間が過ぎるのが早い……


綺麗な夕暮れを見て、不意にあの頃を、あの時を思い出した。




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