不良は不良のトモダチしかいない。

夜瀬 冬亜

第1章(出会い)

第1話


「弱い者いじめ、して楽しい?」


ドカッと蹴られ、裏路地に寝そべっていた僕の頭上から声がした。


「あ?んだてめぇ」

「そんなのどうでもいいだろ、さっさとその手離せよ」


僕は力が入らない瞼を懸命に開いて、声がする方を見た。

そこには、ショートの髪で目が鋭く、僕と同じ制服の女の人が立っていた。


「ぁ、...」


知ってる。この人確か...

呑気に考え事をしているとまた腹を蹴られた。だけど、その瞬間、ドンッという音をあげて僕をいじめていた奴らは悲鳴をあげて去っていった。


「おい、大丈夫か?」


男みたいな口調で話しかけてくる彼女。僕が、大丈夫、と言うと


「大丈夫じゃねぇだろ、怪我してんじゃん」


見せてみろ、と顎を持たれグイッと上にあげられた。


「げー、首元とか顔とか傷いってんじゃん。災難だったなぁー」

「あ、あの...」


近い。と言おうとしたら彼女は掴んでいた顎を離し、ポケットから絆創膏を出した。


「ほら、これやるよ」


そう言って彼女は僕に絆創膏を2枚渡してきた。


「あんま絆創膏持ってなくて悪かったな...。さっさと帰って家で手当しろ」


彼女はそのまま帰ろうとした、だけど1度止まって僕の方へ振り向いた。


「ここ、あんま通らねぇ方がいいぞ。さっきみたいな目に遭う」


それだけ残して彼女は帰って行った。




それが彼女と僕の出会いだった

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