神様とか居るわけねぇwwwとか思ったが、居たわ。目の前に~異世界転生したけど神様がめっちゃウザイ~

デルタイオン

第1話 神ちゃまの元へ

松崎遠矢まつざきとうや

彼は神へ罰当たりな事は・・・していなかった。

論理的ろんりてきにそんな事は大人がしてくれると思っていた。

だから、しなかった。

しかし、現実は非情ひじょうである。

彼が高校生になった時。彼は自分がどれだけダメだったのか理解した。

親戚や、ネットでもオススメされていた高校は良く言えば自宅から通える高校で、悪く言えば頭が良いだけのDQNが集まる場所だった。

礼儀れいぎを少し習ってきた日本人の彼から見たら非常識だけがその空気に・・・いや。今吸っている空気さえ毒ガスなのかもしれないと思うほど汚かった。

DQN達に馴染めず。逆に反発した事により車に轢かれた。

彼はガラスへと手に持っていた大きな石を投げ、車に轢かれて共に暗闇くらやみへと落ちていく。

その暗闇は奥深く、地面を侵食して彼を蝕む。

ただちた。

そんな事がどうでも良かった。

産まれる先はここではなかったのだ。

生まれ変わるなんて期待していなかった。

父が最後に言った言葉は「そんなに死にたかったら死ね」だった。

だから、これで良かったのだ。

心が黒く蝕まれる。

ただ、その中心まで心を蝕む事が出来なくて。もどかしさから涙が流れ出す。

走馬灯そうまとう

瞼の裏に走馬灯が流れ出す。

幼稚園。

初めて大人から殴られた。

監視カメラに残されていたデータにより非は向こうにあった。

しかし、大人も。彼を殴った彼女も謝りはしなかった。

小学校。

いじめが原因で友達が死んだ。

裁判に初めて出た。

しかし、相手は理不尽な理由だったので10:0でこちらが圧勝した。

また、初めて殺されかけて人を殺した。

判決では正当防衛だが、母が死に。父とは離ればなれになった。

友達の遺言を果たしたので墓参りをやめた。

中学校。

まただ。

また人が死んだ。

いじめじゃない。殺人だった。

候補に自分が上がったが。最後の最後で犯人が自白してくれた。

しかし、社会での信用が落ちた。

ネットではまだ僕が犯人扱いされている。

反発はしなかった。

そして、高校生になった。

あの事件の犯人扱い。

正当防衛で人を傷つけたし、助けもした。

そのおかげで社会での信用度は上がったらしく、死ぬ前に引き込もうととある会社が来た。

校長先生が追い返した。

その後ろにはやっぱりお金が流れていた。

そして、今。

なんだ、思ったより短いな。

一週間もするかと思ったのに走馬灯ではたったこれだけ。

ああ、そうか。夢なんだ。

夢なんだよ。

いや、逃げるな。

だめだ、もう持ちはしない。

死んだか死ぬんだ。もう諦めてもいいだろう?

そうか、そうだな。


「違う」


なにが?そうは言っても心は穴が埋まっただろう?


「だめなんだ」


いったい何が!?

今までこんなにも頑張ったじゃないか。


「まだ、ダメなんだ」


景色が加速を始めた。

月明かりに照らされながら、車の破片に体を貫かれながら。死んだ。

赤い景色に染みていく。

血なのだろうか?

音がまだ聞こえる。

燃えている。

叫び声も聞こえる。

燃えているのか・・・

火葬も心配ないみたいだな。

できれば・・・

そう、できれば。このゴミと一緒は嫌だから。

彼らを、助けてくれ。

誰か


頼む


「ああああああ!!もう、しかたがないのう!そんなにぃ↑ワシをぉ↑求めるんならしっっっっかたがないのう!!」


瞬間、月明かりが眩しくなった。

そして、目の前に居たのは狐。

しかも目の下に隈なのか闇なのかわからないほどに疲れを報告しているなにかがあり。頬は凹み、九尾の尻尾は土やら葉っぱやらが付いていて少し汚く感じ、腹は骨が見えるぐらいに無かった。


「かみ・・・さま・・・?」


「チガウ!!お主の守護神じゃ!」


守護神?

狐の?

守り神?


「守りは良いが神とは違うからの?」


「え?は、はあ」


未だに信じきれない。

だって神様だよ?

今まで全く神様を信じなかった僕に神様?


「ん?神様?」


が目の前?


「・・・も」


「も?」


「申し訳御座いませんでしたァ!!」


「なんなんじゃ急に!?」


誠心誠意を込めた土下座を神へと向けてする。

顔は今にも泣きそうだが、それを必死に堪えている顔だった。

ちなみに突然だが、守護神様がスゴく綺麗になっていたりもする。


「いままで神を信じないどころか罰当たりな事をしてしまい、しかも助けていただいただいたのにこの無礼ッ!どうか私に罰を!罰を与えていただきたい!!いえ、いっその事魂さえ煮たり焼いたりしてください!」


「食べんわッ!!ワシにカニバリズムは無いんじゃ!・・・多分」


目を逸らした守護神だが、直ぐにコホンと咳を一つ吐いた。

ビクッと震える彼に少し哀れみと何かが紛れ込んだ感情をやめて説明しようと口を開いた。

そして思い出したかのように口を閉じて狐の姿から変わった。

一瞬で。


「ふぅ...」


そしてそこには少女の姿があった。

純白のマントから出る灰色のズボンにはどこか人間味があり、整えられた顔と大きな目で土下座している一種の変態にはご褒美のような場所からの視線で彼を見る。

金箔なんかよりも美しい髪の毛は腰よりも長く、耳を隠している。

茶色の目は彼のうなじに集中しているが、他人は見たらいけない光景である。

とりあえず実際に見なければ大丈夫だろう。


「お主はかなりの勘違いしておる。それをいまから正そう」


そうして唐突に始まった説明は少々・・・結構長かった。

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