アークアストラルドラゴンナイトA

佐々木正輝

第1話 赤き竜の騎士

 アケ―シャ暦5071年(惑星ドラゴの暦、地球でいう西暦20X1年)の惑星ドラゴ。天の川銀河に存在する爬虫類型怪獣スモールドラゴンから進化した種族ドラゴ星人が暮らす星で、恒星からの距離も、大きさも、質量も、環境も地球と同じ星である。

 そんな星でそれは起きた。

 惑星ドラゴにある都市で、大爆発が発生した。まがまがしい紫色の爆炎が619平方㎞ある都市全体を包み込んだ。爆発が収まると、そこには何もなかった。地面は大きくえぐれ、建物も自然も何一つ消えていたのだった。地球でいう東京23区とほぼ同じ面積である都市は消滅していたのだ。9,515,959人の尊い命が一瞬にして消え去ったのであった。

 これが「グラウンド・ゼロ」と呼ばれる大事件である。

 

 それから4年後の地球,桜市。そこでは一人の少女が準備をしていた。彼女の名は赤坂一美あかさかかずみ。銀色の髪と苺のように赤い瞳をした少女である。

「明日から中学生か。先生怖くないかな。授業についていけるかな」

 一美は人一倍臆病であった。小学校のころいじめっ子グループが一人の生徒の筆箱をラグビーボールにして遊んでいるのを見かけても、勇気が出ず助けられなかった。一美は中学生になったら誰かを助けられるように強くなると誓ったのであった。

 一美は日課である散歩に出かけた。

 4月1日の青い空はどこまでものどか。それまでは。突如、青い空から白い円盤が現れた。白い円盤はだんだん降下していき、一美の目の前で着陸した。

「やってきましたわ」

 円盤の中から青、緑、黄色、銀色の人物が現れた。頭に2本の角と髪があるドラゴン、背中に蝙蝠の翼と尻尾がある人間の体、それが中世ヨーロッパのレザーアーマーのような服に身を包んでいた。

 一美は驚いて声が出ず、その場に立ちすくんでいた。

「大丈夫か?」と緑髪の緑色ドラゴン。

「無理はありませんわ」と金髪の青いドラゴン。彼らはずっと一美を見ていた。

 その時物陰から音がした。そこからハイギョのような生物の群れが現れた。

「アラングッシュだ」

「いきますわよ」「了解」

 そう言うと四人の目から瞳とハイライトが消え、目の色が一色になった。その後「アラングッシュ」の群れに向かっていった。

アラングッシュの雌の数体が青ドラゴンに向かって口から火を噴く。が、青ドラゴンはそれをジャンプしてひらりとかわし、「ファイアバレット」と叫ぶ。青ドラゴンの口から放たれた炎はアラングッシュの雌の数体を焼き尽くした。その後、青ドラゴンは「ウォーターバレット」と叫び、手から水を出しアラングッシュを押し流した。

 緑ドラゴンは襲い来るアラングッシュの攻撃を高速で左右に動いてかわし、手から高圧水流を出した。

 黄色ドラゴンは手から電撃を、銀ドラゴンは目から白い光線を出した。五人のドラゴンの活躍によりアラングッシュの群れは次々に倒されていった。


「危なかったですわね。怪我はありませんの?」青ドラゴンは一美に尋ねた。一美は首を縦に振った。

「私は赤坂一美。あなたたちは?」

 一美は勇気を振り絞り、自己紹介をした。

「わたくし達は惑星ドラゴからやってきたローズ騎士団、別名『ナイツオブローズ』、いわゆる公務員ですわ。わたくしの名前はヴィヴィアン・ブルースリーですわ。団長をやっていますの。」青ドラゴンは言った。

「ザディーム・キミノルフだ。よろしく」と緑ドラゴン。

「ビリー・ビリー・ボルトだ」と黄色ドラゴン。

「ゲインズ・レモンバームだよ。よろしくね」と眼鏡をかけた銀ドラゴン。

「わたくし達は地球にあるカラミティリングを探し出し、破壊するためにこの星に来ましたの」

「カラミティリングは星に危害を与える物体のこと。この物体が地球にいくつもあるんだ」とゲインズが解説した。

「それとさっきのモンスターはアラングッシュという怪獣モンスターだよ」

「怪獣って」

「火や水、光線を出すことができる動植物のことだよ。基本的に大きさと生態はそれに似た動植物と同じ。怪獣は共通して目玉が特殊な膜に包まれていて目に瞳やハイライトが無いように見えるのと、体から火や水、電気、風、光線を出すことができるんだ。さっきのはどうやら別の惑星から来たものが野生化し、生態系を脅かすようになったんだ」

 突然ヴィヴィアンの腰に吊るされた指輪が勝手に一美の左手人差し指にくっついた。驚いた一美は悲鳴を上げながら手を振ったりして指輪を外そうとした。が、しばらくして、指輪がひとりでに外れた。

 これを見たヴィヴィアンは「この指輪には不思議な力がありますの。指輪の力は使わないことですわ」と忠告した。

「わかりました」そう言うと一美は家に向かうのであった。

家に帰る途中、アラングッシュの群れが現れた。このままでは市民に危害が及んでしまう。

 一美は左手の人差し指に指輪をはめた。一美の脳裏にヴィヴィアンの言葉が響く。

「指輪の力は使わないこと」

「もう逃げたくない」

 一美は指輪を掌でひねってロックを解除し、ボタンを押した。

 空中ディスプレイと炎の立体映像が出現、そこから、頭部に赤い2本の角、ハイライトや瞳のない赤一色の目、背中に鳥のような白い翼、赤い尻尾を持った女戦士が現れた。

「えっ、えっ」一美は変身した自分の姿に戸惑ったが、少しずつ自分の状況を理解した。

 そしてアラングッシュの群れへ向かっていった。

 自分の脳内に変身した自分の情報が流れてくる。

 一美は「ファイアバレット」と叫びながら指先をアラングッシュに向ける。指先から放たれた炎はアラングッシュの雌の群れを焼き尽くした。

 アラングッシュの群れは口から火や水、光線をはいて攻撃する。一美はそれを人間の目には見えないほどのスピードで左右に動いてかわし、「ウォーターバレット」と叫ぶ。今度は指先から高圧水流が放たれ、攻撃してきたアラングッシュの雄の群れを押し流した。

 最後に一美は「ライトバレット」と叫ぶと両目から赤いレーザー光線が発射され、アラングッシュにヒットした。

  別のアラングッシュの群れを駆除し終えたローズ騎士団が行くと、そこにはアラングッシュの群れはおらず、変身を解除した一美が立っていた。

ヴィヴィアンは惑星ドラゴにあるローズ騎士団本部に連絡を取った。

「こちらブルースリー。赤坂一美はAエースリングを使ったようですわ」

「分かりました。私が来るまでは、呪獣とは戦わせないように」

「了解ですわ」

 ヴィヴィアンは通信を切ると一美の目の前にきて、

「おめでとうございますわ。今日からあなたはローズ騎士団の騎士ですわ。ちなみに強制ではないからやめることもできますわ。危険な目合わせてしまって申し訳ございませんわ」

「あっあの、入団させてください」一美は大声で言った。

「分かりましたわ。今日からお願いしますわね。ではこれを」

 ヴィヴィアンは一美に赤いスマートウォッチのような機械を渡した。

「これは『ナイトウォッチ』と言って、いろいろな機能が入った腕時計型のウェアラブルコンピュータデバイスですわ。これをつければあなたも騎士の仲間入りですわ」

「あっ、ありがとう」

 こうして一美はローズ騎士団に入団したのであった。ここにドラゴンナイトAエースの誕生したのであった。




私は小説を書きあげるのに時間がかかるので、こういう形をとらせていただきます。

皆様方には迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。2021 年1月11日

シリーズ

アークアストラルドラゴンナイトAエース




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る