第444話 ハンバーガー丘 4

 意外と燃えるな~。


 松ヤニ的なものでも含まれていたのか? 煙も凄い凄い。防煙マスクしてるのに煙たくて仕方がないよ。


 まあ、ゴブリンが集まるまでの我慢。ホームに入り、ラダリオンに出撃準備をさせた。


「煙いからしっかりフルフェイスマスクをしてこいよ」


「わかった」


「ミリエル。ブラックリンの操縦はどうだ?」


 頭がいいだけに古代エルフ語を覚えるも早く、プランデットとブラックリンを同調させるに必要な言葉を覚えてしまったのだ。


「細かい動きはまだですが、飛ばすだけなら問題ありません」


 ほんと、この子は天才だよ。ダメ女神に頭を焼かれないと覚えれないオレとは大違いだ。


「今日中に終わらせる。やるぞ」


「はい!」


 いい感じに集まってきてくれてるし、いい感じに稼がせられた。あとはオレたちでいただくとしよう。


 VHS−2装備を外して近接戦用の装備に換えて外に出た。


「よし。水の準備をしてくれ」


 ポリタンクの蓋を外させた。


「濡れないようにしろよ」


 全員が雨ガッパを着たら櫓に上がり、一呼吸したらチートタイムスタート。


 砦にある水を集め、谷に打ち込んでやった。


 千リットルもないが、火や煙を消すには充分。櫓から跳び出し、丘の上に着地。そのままホームに入った。


「ラダリオン! 蹂躙しろ!」


 その場を退き、ラダリオンに立たせてダストシュート移動させた。


 ◆◆ラダリオン◆◆


 外に出たら丘を駆け下り、燃えたゴブリンを飛び越え、丘を駆け上がった。


 ざっと見回し、ゴブリンが固まっているところに向けて鳥撃ち用の弾をばら撒いた。


 鳥撃ち用とは言え、巨人状態からの威力はおーばーきる。ゴブリンどもがミンチになっていく。


 三十六発撃ち尽くしたら背中に背負ったとぅえるぶに持ち換え、逃げるゴブリンをミンチにしていった。


 すべてを撃ち尽くしたらグロックを抜いて周辺を見回すと、あたしの半分くらいの赤い肌をしたゴブリンがいた。


 ……あれが王だ……。


 グロックの銃口を向けて連続で撃つ。けど、距離がありすぎて腕を吹き飛ばすのがやっとだった。


 緑肌のゴブリンどもは山に向かって逃げ出している。


 あたしの役目はこれまで。ドラムマガジンを拾い、少しジャンプしてホームに入った。


「三時方向にゴブリンの王! 腕を吹き飛ばした! 他は山に逃げている!」


 すぐにその場から退くと、タカトがフォークリフトを動かしてブラックリンをダストシュートの上に置いた。


「ミリエル。王はあとでいい。たくさん眠らせろ」


「はい! ラダリオン!」


 ミリエルをダストシュートした。


 ◇◇ミリエル◇◇


 外に出たらアクセルをフルスロット。上空に飛んだ。


 二百メートルくらい上昇したら大きく旋回。地上を見回した。


 ラダリオンが言ったようにたくさんのゴブリンが山脈のほうに全力で逃げていた。


 すぐにそちらに向けて飛び、その上空を越えて、ゴブリンたちが逃げる先に着陸させた。


 ゴブリンたちは逃げるのが必死でわたしの存在など見えていない感じだ。


 魔力増幅の腕輪はしてないけど、眠らせるだけなら魔石を使えば事足りるわ。


 深呼吸を繰り返し、精神を集中。ギリギリまでゴブリンを引きつけたら眠りの魔法を発動させた。


 発動時間は約十分。発動効果範囲に飛び込んでくるゴブリンが眠りについていく。ただ、倒れたゴブリンにより塞がれてしまい、左右に別れてしまった。


 一旦魔法を止め、ブラックリンを飛ばして右に移動したゴブリンをEARで薙ぎ払ってやった。


 それでもゴブリンは五百匹以上残っている。


 旋回させて背後から襲いかかり、榴弾を落とした。


 背後で爆発が起こり、小さく旋回。生き残ったゴブリンを薙ぎ払った。


 粗方駆除したら空に上がり、動体反応センサーを起動して生き残りを確認。散り散りに逃げていた。


 ここまでと判断してブラックリンを残してホームに入った。


「眠らせたのは約三百。駆除したのは約五百。他は散り散りに逃げました」


「ご苦労さん。アシッカにラダリオンをいかせた。ミリエルはブラックリンで残党狩りをしてくれ」


 タカトをダストシュートさせ、わたしも外に出た。


 ◆◇◆◇◆◇


 なかなかどうしてエグすぎる戦果だな。一騎当千とはこのことだな。


「王は見たか?」


「出た瞬間にチラっと見えたていどです」


 それならまだ遠くには逃げてないな。


「王を探して駆除してくれ。見つけられないときは構わないから」


 逃したら逃したで構わない。片腕をなくした王など狩られる立場になったようなもの。仮に再起を図ろうともすぐには無理だ。何年とかかるだろうよ。


「任せてください。すぐに見つけて駆除します」


 恐ろ頼もしいミリエルさん。王が無惨に殺される未来が見えたよ。


「ああ。頼りにしてるよ」


 肩を叩き、満面の笑みで飛んでいくミリエルを見送った。


「イチゴ。職員の半分を連れてきてくれ。残りは生き残りの排除と魔石の回収だ」


 イチゴに通信をした。


「ラー」


 さて。職員たちがくるまでオレも生き残りを片付けるとするか。


「これからが本番だな」


 ため息一つ吐き、生き残りのゴブリンに止めを刺して回った。

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