第413話 絶対ルール
八時くらいに外に出た。その時間なら誰かは起きているだろうと思ってだ。
「タカト!」
出たらすぐにメビが突進してきて吹き飛ばされてしまった。
……獣人の愛情表現は痛いなぁ~……。
「メビ。タカトが死んじゃうよ」
ビシャもおねえさん振りを発揮してメビを引き剥がしてくれた。
「心配かけて悪かったな。なにもなかったか?」
抱きついてくるメビと頭撫でろと尻尾を振るビシャ。完全に犬になっている。ニャーダ族って名づけたヤツ誰だよ? ワンダーズだろう、これ。
心配かけたお詫びと、二人が満足するまで頭を撫でてやった。あーよしよし。
「タカト。体調はよくなったんだな?」
カインゼルさんとアルズライズもやってきた。
「ええ。三日も休んですみませんでした」
「構わんさ。わしらもしっかり休めたからな」
「ああ。いつでも出発して構わんぞ」
と言うことで十時出発と決め、ホームから食事を運んできて皆で食べた。
少し食休みをしたらキャンプ用品を片付け、出発の準備を調える。
「やはりG3がしっくりくるな」
新たに買って渡したG3を満足そうに扱うカインゼルさん。どんだけG3に惚れ込んでいるのやら。
「リンクスもいいな」
アルズライズにも新しく買ったリンクス(せっかくだから統一することにしました)を渡すと、いろいろ構えて満足そうにしていた。
七十パーオフシールを使ったとは言え、百万円が消えてしまい、残金七百万円を切ってしまったよ。
メビはEAR。ビシャは変わらず。オレはM32グレネードランチャー。イチゴは7.62㎜弾を使う機関銃、HK−MG5を持たせた。
ミニガンとか持たせたが、弾代だけて破産する。一秒に百発。仮に一発百円だとして一秒で一万円が消える。十秒も撃ったら十万円だぞ。一億円稼がないと絶対に買えんわ。
MG5だって買うのに悩んだ。結構前から悩んでいた。だが、ローダーを牽制するなら7.62㎜弾くらいじゃないと無理なのだ。有効なら買い足すとしよう。これから先、ゴブリン以外とも戦わなくちゃならないだろうからな。
時間になり、メビを先頭に階段を下りた。
ビシャが一人で昇ってこれたように降りるのも問題はなく、無事に地下まで到達できた。
動体反応センサーで確かめたらパイオニアとウルヴァリンを出した。
仮拠点の下まで約三キロ。二台に分乗して発車させた。
これまた難なく到達。二台をホームに仕舞ったら三十分ほど休憩とする。これから六階分昇らないといけないからな。
「サイルスさんたち、やはり逃げてませんね」
イチゴに探ってもらったら仮拠点にサイルスさんたちの反応があった。
「まあ、サイルス様としてもタカトを置いては逃げられんだろう。女神の使徒であり、コラウスに必要な存在なんだからな」
「そんな重要人物じゃないんですがね」
「お前は重要人物だよ。ロズたちもお前を主人と認めている。エルフなど完全に救世主扱いだ。逃げろと言ったって言うこと聞くか。自分を犠牲にしてもお前を助けにくるだろうさ」
そういうの止めて欲しい。オレは凡人なんだからさぁ~。そんな重いもの背負わされたら潰れるわ。自分を生かすだけでも精一杯だってのに……。
「まあ、周りが好きにやっていることだ。お前が責任を感じる必要はない。お前は自分の命を優先すればいいさ」
そう言われて納得できたらどんなにいいか。オレのために命を投げ出すとかトラウマものだよ。余計に精神が病むわ……。
「安全第一、命大事に。それがセフティー・ブレットの絶対ルールだ。守れぬ者は排除されて当然。生き抜いた者だけがセフティー・ブレットを名乗ることが許されるのだ」
不敵に笑うカインゼルさん。
「タカトを守ってあたしも生きるから大丈夫だよ!」
「あたしも! タカトを守って生き抜くよ!」
ビシャとメビは楽しそうに笑う。
年下にそんなこと言われたら落ち込んでいられない。大人としてのプライドがあるからな。
「ああ。オレも皆を守って生き抜くよ」
二人の頭を撫でて笑ってみせた。
「よし。いくぞ」
「おー!」
メビのかけ声で出発する。
何事もなく昇り切り、建物の外に向かう。
「動体反応に感。外にロスキートが四匹います」
地下だからイチゴに気づかないと思ったが、考える以上に感知力が高そうだ。
「防毒マスクを」
プランデットを外し、防毒マスクを装着する。
「まずイチゴが囮になり、アルズライズが狙撃。メビは援護。ロスキートやローダーが集まってきたら煙幕を張ります。カインゼルさんとビシャは殿をお願いします。仮拠点まで走り抜きます」
ここから仮拠点の建物まで五百メートルくらいある。止まるよりいっきに駆け抜ける。
全員が把握したら作戦開始。
イチゴが飛び出し、ロスキートを集める。そこにアルズライズが狙撃して三匹を倒し、一匹は逃げてしまった。
「走れ!」
アルズライズとメビをいかせ、そのあとにオレ。続いてカインゼルさんとビシャが走り出した。
三百メートルほど走ると、羽音が聞こえた。おそらくローダーがやってきたのだろう。
すぐに発煙弾を周囲に放った。
走りながら弾を交換。すぐに撃ち、周囲を煙で覆った。
「イチゴ! 牽制!」
残り百メートル。ローダーの速度から逃れられないと判断してイチゴを離脱させて牽制させる。
ギリギリで建物の中に滑り込むと、ローダーの鎌が建物を揺るがした。間一髪!
「イチゴ! ロスキートたちを引きつけろ! 洞窟前で合流だ!」
仮拠点。ちゃんといくつものルートを作っております。
「奥へ走れ!」
立ち上がって建物の奥に走った。
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