第14話 暖かくなってきた
「暖かくなってきたな~」
もう初春と言っても間違いないくらい暖かくなっている。もうジャケットを着てるのが辛くなってきてるよ。
「そろそろ春の装いにしないとな」
防寒用のインナーから吸汗速乾のインナーに替えて、ニット帽も虫除け網のついた帽子に替えるか。なんか細かい虫が飛び始めてるし。
「それにそろそろグロックからアサルトライフルにしないと」
ゴブリンなら拳銃の弾で充分だが、暖かくなれば他の動物──この世界なら魔物か? その魔物とも遭遇しないとも限らない。熊くらいのが出たらグロックでは心もとない。サブマシンガンでも不安だ。5.56mmくらいの弾でないと倒せないだろうよ。
ただ、アサルトライフルの弾も高いんだよな~。アサルトライフルは二十万円以上もするし、弾も一発八十~百五十円くらいする。三十発入るマガジンなら三千円くらいだ。出費を考えたら手が出せなかったのだ。
だが、手元には八十万円ある。
巣を地味に潰し、エサ探しをするゴブリンをプレ○ターの如く狩りまくった。もう数えるのも面倒になったが、一月で二百匹以上は倒したはずだ。
「そう考えるとゴブリンどんだけいんだよって話だな」
そりゃダメ女神も異世界から拐ってくるはずだ。いや、肯定はしてやらんけど。
「目覚めのときか」
処理肉を土嚢袋に詰め、木にくくりつけると、三十分もしないで集まってきた。
ゴブリンはコロニーを作る習性があるのか、ゴブリンの巣山がいくつもあった。ちなみに三つ、潰しました。
さすがに暖かくなって、ゴブリンどもは巣を出てきてエサを探している。
寒いときは多くても四匹だったのに、暖かくなってからは最大十三匹で行動していた。
さすがに十三匹は無理なので、六匹以下の群れを相手してた。それならマガジン一本(十七発入り)で駆除できたからな。
「八匹か」
ちょっと多いが、手榴弾なら問題なかろう。
木の陰で待つことしばし。手榴弾が爆発した。死んだのは四匹か。残りは重症、って感じの気配だ。
他の群れはまだ数百メートル離れている。すぐに木の陰から出て重症のゴブリンを撃ち殺し、さっさと撤退する。
ゴブリンの気配がないところでセフティーホームに入って次の罠をつかみ、外に出る。
「……ゴブリンのヤツ、やっぱり共食いするか……」
少し前からそんな気配はしてたが、今回のことで確信した。ゴブリンは飢えたら共食いもする生き物だ。
まあ、人間だって極限まで追い詰められたら共食いだってするし、そんな生き物は他にもいる。これと言った嫌悪はないが、処理を考えないとゴブリンを活気づけるだけだな。それに、他の魔物を呼び寄せることにもなる。なんとかしないとダメだろう。
とは言え、今はどうすることもできない。今は処理肉の味を覚えさせつつ罠を仕掛け、少ない群れを相手にするしかないだろう。
仕掛けのない土嚢袋を適当な枝にかけ、次なるゴブリンの群れに向かった。
その日はゴブリン三十七匹を駆除でき、十八万五千円をゲット。まずまずの儲けである。
夕方の四時くらいにはセフティーホームに帰り、その日の汚れを落とし、下着なんかを洗う。
終われば夕食。ビールは一本だけ。二時間ほど休んだら玄関で明日の用意を済ませ、柔軟運動してから三万四千円で買ったサンドバッグを打った。
これでどこまで強くなれるかなんてわからないが、山を歩いてばかりでは強くはなれないのはわかる。格闘技などなにも知らんのだから殴ることや蹴ることに慣れるしかないんだよ。
一時間やったらまたシャワーを浴びて、寝るまでにアクション映画や戦争映画を観て強くなったよう自分に思わせる。自分はやれる。できる。生き残れると自己暗示をかけるだ。
単純な。とかは言わないでくれ。素人が自力で強くなる方法など、こんなことくらいしか思いつかないんだよ!
映画を一本観たら軽く柔軟運動をしてから眠りにつく。しっかりとした睡眠は明日を生きるために必要なこと。八時間は眠らないとな。
そして、自然に目覚めて起きる。ってことの幸せなことよ。目覚まし時計で起こされる苦痛がなくなったことがこの世界にきてよかったと思うことだな。
今日の朝食は、納豆と玉子焼き。具材いっぱいの味噌汁。サバの塩焼きで今日を生き抜く力を蓄えた。
食後のコーヒーを飲み、トイレを済ませて準備に取りかかる。
「あ、アサルトライフル、買うの忘れてた」
いくつか選んでいたが、アサルトライフルなんて映像の中でしか知らない。なにがいいかまではまったくわからない。手榴弾とグロック、そしてマチェットで対処できてたから先延ばしになってしまうのだ。
「今日は早く終わってアサルトライフルを買うか。訓練しないとならないしな」
扱い方はDVDで学んだが、実際使ってみないとわからないこともある。亡きベレッタさんのためにも扱いを覚えて使ってあげないとな。
「手榴弾よし。グロックよし。弾よし。マチェットよし。装備よし。体調よし」
工場で学んだ指先チェック。安全第一。ご安全に、だ。
窓から外を確認。三百六十度よし。グロックに手をかけて外に出た。
さあ、今日も生き抜きますか!
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