My sweet home~恋のカタチ。15---something blue--

森野日菜

第1話 Marry me(1)

ね・・



眠い・・



夏希はマズイと思いつつ、もう目が開かなくなり



頭がフラフラして




ダメだ



寝ちゃ!



その気持ちはあるのだが



もう



どうにもこうにも



身体が言うことをきかない。




「夏希さん!!」



ビンビンに響く声でハッとした。




「はっ、はいっ!!」



ビクっとして背筋を伸ばした。



目の前に鬼のような形相で



高宮の母が立っている。



「あなた。 寝ていたでしょう、」



おどろおどろしい声でそう言われて



「いっ・・いえ、そのっ・・ ね、寝てませ・・」



夏希は一生懸命ぶんぶんと手を振って否定しようとした。





その怖い怖い視線に耐え切れず



「す、すみません・・。 つい、」



と、うつむいた。



「まったくもう! せっかく今日は白石先生のお祝いの席だっていうのに!」



「はあ・・」



この日は高宮家と古くからつきあいのある元大物国会議員の米寿のお祝い会に招かれ



高宮は仕事で来れないので、夏希だけにお呼びがかかった。



何とか気をしっかり持とうと思いつつ、そのエライ先生の話が長く、延々と続いていたので



途中から意識がなくなった。




高宮の母は夏希が舟をこいでいるのをいち早く見つけ、話が終わったのを見計らって思いっきり指摘した。



もうその話がいつ終わったのかもわからないくらい寝てしまったようだった。



「舞台の上からあなたが寝ていたのも丸見えよ! ほんっと、恥ずかしいったら・・」



「す・・すみません・・」



もう大きな体を小さくして恐縮しきった。



「夏希さん、毎日忙しいのよ。 ほんと芸能社って普通の就業時間じゃないって前にお兄ちゃん言ってたし、」



見かねて恵が助け舟を出した。




確かにここのところ会社を出るのが10時より早いことはなく。



年末に近づき多忙を極めているのは事実なのだが。



昨日は寝る前にちょっとだけテレビゲームをしようと思い、やり始めたら止まらなくなって気がついたら3時だった。



恵にそんな風に庇ってもらい、



「い、いえ! あたしがいけないんです! ほんっと・・・ダメですね、」



もう穴があったら入りたい気分だった。



「あなたももう高宮の嫁なんですから。 少しは自覚を持ってちょうだい!」



義母は怖い怖い顔でそう言い放った。

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