第3話

彼女らが談笑していた最中のことだった。モモゾノが都庁上空に殺した三重県民全員を模した殺戮兵器を、世界中に送ったとのニュースが入る。

二人の間には一気に緊張感が走った。馬鹿な、行動が早すぎる。まるで先手を読まれているかのような__桃虎の頭は急速に回転し始めたが、考えても答えが浮かばない。


そして、リニア新幹線は岐阜県内の駅で急停車していた。

「なんで新幹線停まっているんですか?」

 海斗が問う。今は立ち往生している場合ではないのだ。時間をこんなところで浪費する訳にはいかない。

「実は……これ、誰にも言わないでくださいよ。あの兵器があるじゃないですか。この新幹線、脅されて停めざるを得ないんです。ご理解とご協力を申し上げます」

「そんな……」

「三重県以外にも被害が拡大するなんて、そんなのは絶対あかんで。新幹線が無いんやったら在来やな」

 桃虎は拳を握り、口調が元に戻っていた。よっぽど想定外の事態なのだろう。

一方の海斗は覚悟を決めた様で、「行くぞ!」と新幹線から飛び降りた。


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