第27話
二人で神社の
昨日で三が日も終わり、地元民しか来ないような近所の神社ということもあって、
有名な神社になると、
用が済み、さっさと帰ろうとしたが『お参りに来たら当然おみくじもやらなきゃ!』というロコの強い希望により、境内の脇にあるおみくじ売り場へ。
「
「へへーん、私はほら! 大吉でした!」
パッとしない結果の俺をあざ笑うかのように、ロコは両手でおみくじを顔の前に突き出した。
その紙の持ち方されると、雰囲気的に大吉が『
「どうよ、私の
「でもこれ、大吉のわりには
大吉というと何やっても上手くいきます的な文言が書いてあるイメージだが、ロコが引いた大吉の文言は違った。半分以上がマイナスな文言という、印刷ミスを疑う内容。
特に商売の文言......大吉であまり利益はないでしょうって、これが凶だったらなんて書かれているのか凄い興味がある。
「内容なんてどうでもいいの! 大吉を引き当てたことに意義があるんだから」
「そんなもんなのか?」
「そういうものなの☆」
「
おみくじを横にあるおみくじ掛けに結びながら、ロコが言った。
「なんだよ急に?」
「いつもなら私の誘いにすぐに乗るのに、初詣行こうって言ったら
俺、そんなに顔に表れてたのか。上手く隠してるつもりだったけど。
「......実は俺さ、
「本当は母さんの異変に気付けなかった俺の責任なのに、何かのせいにしてさ。20歳を過ぎた大人のくせに、ガキの頃から変わってなくて情けないよな」
ロコが保健所に連れていかれた時も、自分の無力さを呪いながらそれ以上に無慈悲な神を恨んだ。
人間に創られた存在をいくら恨んでも意味が無いというのに。
「......そうだったんだ。ごめんね、無理に連れてきて」
「別にロコが謝ることじゃねぇだろ。それに、さっきお前と一緒にお参りして思ったんだ」
「去年初詣に行ったおかげで、俺はロコにまた再び会うことができたのかもなって。行ってなかったら、お前とも再会できず、まだ一人孤独を抱えたまま日々を過ごしていると思う」
俺がここまでポジティブな思考に戻れたのも、全部ロコのおかげだ。
「だからこれは神様へのお礼だ。俺とロコを再会させてくれたことへのな」
「......剣真」
優しい微笑みを浮かべ、ロコは俺を見つめる。
神社の中という吊り橋効果も働いて、恥ずかしさで直視することができない。
「正月から恥ずかしいこと言わせんなよ」
「剣真が一人で自爆してんじゃん。人のせいにしないの」
「あ、そうだな」
お互い鼻を鳴らしてくすくす笑う。
こんな風に今年もロコと過ごせたら、どんなに幸せだろうか。
おみくじも結び終わり、このあとの予定を話しながら神社の境内を出ようとした。
その時だった。
「――
「......
鳥居をくぐると、たった今、横をすれ違った女の子に背中越しから声をかけられた。
ゴスロリ
反応から察するにロコ、
初詣にその服装で来る限り、個性的な女子であることは確定だろう。
「もう! グループのメッセージに全然既読がつかないから心配してたんだよ!?」
「......ごめん。最近全然チェックできてなくて」
「......こっちこそごめんね。大志葉さん、ホント大変だったのに......もう大丈夫なの?」
「う、うん......まぁね」
「元3年2組の皆も心配してるけど、特に玄徳の奴がさ~。だから近いうちにまた昔みたいに集まろうよ」
「そうだね......」
「じゃあ私、彼氏待たせてるから行くね。皆には私の方からフォロー入れておくから、今日にでもグループにメッセージ送ってよ!」
そう言って彼女は、足早に境内の奥へと消えて行った。
ほんの
「知り合いか?」
「......中学の時の同級生。今でもたまにクラスのグループのメッセージを通じて連
絡が来るんだ」
個人ではなくグループを通じてというところに、彼女との関係性が見えてしまった。
女子は男子と比べていろいろ人間関係が面倒だよな。
「そうか......あの子が大変だったって言ってたけど、何かあったのか?」
「別に。何もないよ」
ロコは薄い笑顔で頭を横に振った。動揺している。
「俺達家族なんだから、何か困ったことがあったら絶対言えよ? いくらでも協力してやる」
「だーかーら、何も困ったことなんてないし。心配してくれるのは嬉しいよ。でもされ過ぎるのはちょっとウザイかも」
その言葉に軽くショックを受ける。そうだよな、ロコが何でもないというのなら何でもないのだろう。行き過ぎた心配は逆に相手に対して失礼だ。
俺にできることはロコを信用してやることだけだ。
「......ならいいけど」
「お参りしたらお腹空いたねー。たまには外でご飯食べようよ? もちろん剣真のおごりで☆」
これ以上触れるなということは大体分かった。
だったら無理にこの話を掘り下げる必要はないな。
「牛丼屋だったらいいぞ」
「いいね~! 私牛丼屋入ったことないんだ~。剣真となら初体験も怖くないよ~」
「公衆の面前で初体験言うな」
表面上はいつものロコに戻ったように見える。
だがなんとなく無理にテンションを上げている。そんな風に感じて
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