第4話 除霊ナウ
店を出た、時刻は10時過ぎ。
夜が更けてもまだまだ蒸し暑い。
「ほんじゃ気を付けてな、あ、振り返らんと帰るんやで」
「ん? 振り返らんのってなんでなんすか?」
「人間って両肩と頭に火があるらしい、ほんで振り返ったりしたら自分の息で消してまうんやって」
「へー、消えたらどーなるんすか」
「消えてる間は憑かれやすくなるらしいよ、消えたら朝くらいまではつかんらしい」
「もう幽霊が憑いてる場合は?」
「憑きやすくなるってことは離れにくくなるってことじゃね? もしくはもっとずっぷり憑かれるとか? まぁ、なんしええことはないんちゃう」
「嫌すぎますね。 なるほどっす、じゃあ気つけて帰りますね」
「おーお疲れ」
「お疲れっす」
駅まで歩いていき、別のホームへ行く時に別れた。
ホームへ上がっていく恒樹の背中を見送っていると普通に振り返って手を振っていた。
危機感の無いやつだ・・・
二時間弱ほど居酒屋で過ごし、家についたのが11時を少し過ぎた頃だった。
リビングに入ると妻が寝室から起きてきた。
「ごめん、起こした?」
「いや、布団の中でスマホいじってた」
「そっか、はいお土産」
コンビニで買ってきたスイーツを渡した、いつの間にか飲みに行ったときにはコンビニスイーツを買って帰るのが定番になっている。
「また、買ってきてくれたん? いいのに~」
と、言いながら嬉しそうに中身を物色している。
「ほんで恒樹はなんやったん」
スイーツに手をつけながら聞いてきた。
嬉しそうにローソンのモチモチロールケーキを頬張っている。
「なかなか面白い話しやったで」
今日の話を面白おかしく話して聞かせた。
===========
「いくつやねん」
明子の聴き終わった後の第一声がそれだった、俺もそう思う。
笑いながら呆れている。
「地元のツレやったからアイツもしゃーなし
行ったんはわかるけどな、大分損くじ引いたな。 あ、俺お風呂行くから先に横なっといて」
妻に声をかけて恒樹に「掃除してるか~?」というラインを送ってから風呂に入った。
風呂から上がるとLINEの通知が来ていた。
「除霊ナウ」
という呑気な一言と共にお香を焚いている
写真が送られてきていた。
「基本的に肝の座ってるやつやけど、幽霊相手でもまったく怯んでないな」
独り言を言いつつ
「ヨクデキマシタ」
と、メッセージとスタンプを送って寝室に入った。
布団に横になりながら、アイツは掃除してお香焚くんに嫁になんて言い訳すんねやろ?
そんなことを考えながらいつの間にか眠っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます