三姉妹は新人類
深山 驚
第1話
「メロディ!キャンディ!シャンプー!起きなさ~い!!」
目覚ましロボットが軽やかな声で朝を告げると、もじゃもじゃ頭をブランケットからのぞかせて、三つ子姉妹は顔を見合わせた。
「え~、もう朝なの?」
とメロディが言うと、キャンディがうなずいた。
「ウソみたい!さっきベッドに入ったばっかりなのに」
「時間が経つのは早いわね~」
シャンプーがため息交じりに言った。
「ねえ、今日は何する?」
「わたし、パパ上を探しに行く!」
「パパ上なら今ダイニングルームにいるでしょ。なに言ってんの?」
「あ~、キャンディったら、テレパシー使っちゃダメって、タリスさんに言われたでしょ!」
「使ってないもん。オーラでわかるんだもん!」
「キャンディ、すご~い!」
「シャンプーもやればできるよ。でもパパ上とママ上にはできるって言っちゃダメ!」
末っ子のシャンプーはマイペースな性格だ。さっそくキャンディを質問攻めにする。
「え~、なんで言っちゃだめなの?」
「姉上がまだ言わないほうがいいって!」
「え~、ビビ姉ちゃんといつ話したの?」
「こないだ。テレポーテーションの練習でアイランドに言った時」
「えーっ?だってアイランド行ったことないのに、なんでテレポーテーションできたの?」
「姉上が私と手をつないでテレポートしたから」
「聞いてないよ~。わたしも行きたいのに!それいつ?」
「メロディはパパ上とエアバイク、シャンプーはママ上と乗馬の練習に行ってたでしょ。わたし、ビビとカミの家に遊びに行ったから」
「あ~、あの日か!やっと、わかった。いろいろ順番だもんね」
長女のメロディは、リーダー格で年齢より大人びている。と言っても、まだ三人とも三歳になったばかり。
「キャンディ、ビビとカミって呼んでるの?」
「だってふたりとも、姉上とか伯母さんって呼ばなくていいって言うんだもん」
「じゃあ、わたしもビビとカミって呼ぼうッと!」
シャンプーが口を挟んだ。メロディとキャンディは顔を見合わせた。三人は口々に言った。
「じゃあ、ママ上のこともアロンダって呼ぶ?」
「アロンダじゃなきゃ、ニムエかビアンカ?」
「迷っちゃうね!ねえ、そろそろ行かないとママ上が呼びにくるよ!」
「ねえねえ、キャンディ、ナラニさんに会ったんでしょ?」
「会った!すてきな人だよ~。あとで話したげる。でも、パパ上とママ上には内緒。わたしたちがテレポートできるようになったのはまだヒ・ミ・ツ!」
次女のキャンディは、母親に似て活発で物怖じしない性格だ。と言っても人類と比べたら、三人は揃いも揃って生まれつき無鉄砲で無類の冒険好き。
「ノヴァは秘密だらけって、もうパパ上もママ上もナラニさんもとっくに知ってるね」
「あんたってクールね、シャンプー」
小鳥のさえずりのようにひっきりなしに喋りながら、三姉妹はパジャマを普段着に着替えてパタパタと寝室を飛び出した。
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