第1章【ロミオは、アメリカンドッグみたいな女の子だ】①
――ロミオ洋品店春服の青年像下半身無し***さらば青春 塚本邦雄
〈2/7(Sat.) 25:14〉
門田ロミオは、アメリカンドッグみたいな女の子だ。
そして、ぼくはそのアメリカンドッグがどうにも苦手だ。特に、まわりのパンの部分の暴力的な甘さに、うんざりさせられる。
けど。悔しいけど、どうしてだかまた食べたくなる。「今度こそ、その甘さも含めておいしいと思うんじゃないか」なんて、おかしな期待を抱かせるんだ。それでも、いざ食べるとやっぱり同じ感想を抱いてしまう。自分の学習能力の無さにつくづく嫌気がさすが、結局いつかまた、アメリカンドッグを食べてしまうだろう。
ロミオは、度々ぼくを辟易とさせるくせに、なぜだかまた会いたくなる――やみつきになるような引力を持った、ぼくの幼なじみだ。
ロミオは二一歳で、ぼくの二つ上。幼いころはずいぶん離れているように感じていた。今は年の差はそこまで感じなくなった。
彼女はなにせ、昔からちっとも変っていないんだよ。
さて、女の子なのに「ロミオ」って名前は変じゃないか、と思う人もいるだろう。これは、当時高校生だったぼくの兄貴・康が考えた名前だ。彼が尊敬する歌人の塚本邦雄の一首からあやかってつけたそうだ。「他人が名前をつけていいのか」とも思うけど、なにせロミオの母親は、兄貴のことをひどく気にいっていたんだ。
ロミオもその名前に愛着があるようだし、別に構わないけどさ。
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