第38話

「凛々花ちゃん、陰陽寮へようこそ!」


 ひらひらと紙吹雪やテープが舞い落ちてくる。

 クラッカーの口は四つ。出月、隼、雅、忠幸だ。


「忠幸さん?」

「凛々花ちゃんさっきぶり〜! ご飯持ってきたついでに一緒に食べようと思って!」

「ありがとうございます! 嬉しいです!」


 テーブルにずらっと並べられる、豪華な料理たち。

 オムライスにシーザーサラダ、具沢山のコンソメスープ、筑前煮、串揚げ、ブロッコリーの和物。


「……品数多いね」

「そりゃあ、凛々花ちゃんのためだから頑張ったよ! あと冷蔵庫にケーキがあるから、食後に食べよう」


 食べ切るのかな。ケーキまでたどり着けるかな。


「残ったら、明日の朝になこちゃんが食べるから置いておけばいいよ」

「さ、冷めないうちに食べよう!」


 凛々花が座らせられたのは誕生日席。気恥ずかしさもあったが、自分のために催してくれているので、大人しく席に収まった。


「えっ、僕がここ⁉︎」

「そうだよ。これからたくさん関わるんだから、話しときなさい」

「待って、出月にい、せめて出月にいを挟ませて」

「却下。俺の隣で我慢しろ」


 ピシャリと言い渡され、雅が凛々花の隣に座る。


「ねえ出月にい、僕も凛々花ちゃんと話したいから隣行っていい?」

「え! あたしも凛々花ちゃんと話したいんだけどなー」

「じゃんけんで決めてくれ」


 累が目をぱちくりさせる。そして、忠幸と向き合う。


「忠幸さん、アラサーなんだから譲ったらー?」

「隼ー? 明日は白米のみね」

「ヤダーッ! 白米だけはヤダ! 白米美味しくない! 味がついてないとヤダ!」

「ふふふ……これで敵はいなくなったね」


 なんでもいいから早くご飯が食べたい凛々花は、視線を彷徨わせる。テーブルを見るとお腹が鳴ってしまいそうなのだ。


「最初はグー!」

「じゃんけん」


 ぽん。


「……負け、た……?」

「勝ったー」


 累がそそくさと凛々花の隣に座る。


「じゃああたしは、せめてもの抵抗で凛々花ちゃんの向かいに座るね……」

「じゃあ俺、累の隣!」

「よし! みんな座ったな? じゃあ、いただきます!」


「「「「「いただきます!」」」」」

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